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あかつき太郎の町家日記

金沢町家ゲストハウス あかつき屋をめぐる出来事や思い、人とのふれあいなどをつづるブログ。街角の話題や四季折々の風情も紹介していきます。

あかつき屋のホームページはこちらです。

県立美術館裏 晩秋の彩り鮮やか

お客様をお送りした後の昼過ぎ、妻とともにあかつき屋から歩いて県立美術館を訪れました。見学後、その裏手にある小道を散策しました。木々はさらに紅葉の度合いを進め、色鮮やか。雨上がりだけに、一帯は、ひんやりとした空気が満ちる中、葉のざわめきや水の音を耳にしながら、ひとときを過ごしました。

(県立美術館裏の小道。木々の紅葉が美しい)
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県立美術館では、北國水墨画展が開催されており、それに父が近作を出品しているので、鑑賞で訪れたものです。見学後、美術館の喫茶店でお茶しようとしていたのですが、満席のためかなわず、ふらりと裏手に出ました。

そこには、崖に沿って小道が整備されていました。適度にカーブしているので、景観としてよいばかりか、歩いていてもどこか心弾む感じ。晩秋の木々の色合いの妙を楽しみながら、気ままに歩きました。

(繁みの間から21世紀美術館=手前と市役所=奥が見えます)
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途中、繁みが切れたところがあり、そこから下界が望めます。下はどこだろう。見下ろすと、金沢21世紀美術館と市役所が正面にあるのでした。緑の小窓から、アートのトレンドの最先端をゆく21世紀美術館と金沢市の行政の中心が見えるわけで、金沢の中心部を象徴する風景のように映りました。

(本多町へと下りる階段。傍らでは、滝が水しぶきを上げて流れています)
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小道から、本多町方向へ下りる階段があります。市中村記念美術館へと通じる道です。傍らには、滝が流れています。雨の後とあって、ふだんより水かさが多いようです。
周囲がとても静かなだけに、滝の水音は、荒々しくさえありました。



細く、薄暗い坂 そこは「裏門坂」

あかつき屋にお泊まりのお客様をお送りした後の昼下がり。小立野に行く用事があったので、今日は木曽坂を通っていこうと思い、永福寺手前にさしかかったところ、左手に見慣れぬ坂道があります。
細く、薄暗い坂。どこに続く坂だろう。立ち止まって上を眺めていると、近隣に住んでいると思われる男性から声をかけられました。聞けば、その坂、「裏門坂」と言うそうです。

(細く、昼なお暗い「裏門坂」)
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私が、この坂に興味をもった雰囲気を漂わせていたのか、その男性はもの慣れた調子で、問わず語りにいろいろと教えて下さいました。
聞けば、この坂は、「裏門坂」と言い、前田家の菩提寺として知られる宝町の宝円寺へと続く坂道だそうです。

宝円寺は以前に小立野から行ったことがありますが、そのふもとからは、こんな坂道から行けるのか。不思議な気持ちになりながら坂を上がって行くと、道々、男性はいろいろと教えて下さいました。
「裏門坂というのは、宝円寺がかつて正門がこちら側(ふもとの扇町側)にあったのが、藩政時代、火事や大雨などの災害により、宝円寺が再建され、正門が馬坂側に移ったそうです。このため、ここが裏側になったため、その名前が付いたんです」

(裏門坂中腹から見下ろす。賢坂辻界隈の家並みと卯辰山が望めます)
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さらに男性は話しを続けます。木曽坂がある木曽谷は、深閑とした様子が、信州の木曽に似ているからその名が付いたこと。
またこの裏門坂付近で起こった藩政時代の秘話や、この坂付近は自然が多いことから、ムジナのような小動物が見られることなども説明されました。

そんな話しに素直に頷けるほど、この坂道付近は、身も縮むような神秘さを備えています。よく通る八坂と違って、この坂は両側から木々が坂にせり出し、日の光と視界を遮っています。
外灯が、数カ所に設けられているとはいえ、夜、男でも一人歩きするのには、勇気がいる感じです。

そうこうするうちに坂道を登り切り、さらにその男性の後を付いていくと、墓地群に出ました。そこは、宝円寺の裏手にある墓地だそうです。

(宝円寺の墓地にある前田家ゆかりのお墓)
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お寺でありながら、鳥居が続く珍しい一角がありました。なんか、恭しい佇まいです。
男性は、言葉を添えました。
「前田家ゆかりのお墓です。江戸時代までは、そんなことがなかったのですが、鳥居があるのは、明治になって(葬祭が)神式になったからではないでしょうか」。
鳥居は、明治になってから建てられたとの見方があるようです。




えっ!八坂にフランスの都市「Dijon」

あかつき屋からお客様を兼六園までご案内する通り道にある八坂。そこに、フランスの都市の名前があることを知りました。
今朝、日本人女性とフランス人女性2人の3人のお客様をお連れして、八坂を上っている途中、フランス人女性が驚きの声を上げられました。「あっ!ディジョン!!」。立て看板にフランスの都市ディジョンが書かれているというのです。

(八坂にあるDijonと記された看板)
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あかつき屋にお泊りになったこのお客様は、建築を学ばれる3人です。現在大学院生である日本人女性Kさんが、フランスに留学された際にお知り合いになったフランスのお友達2人とともに、あかつき屋にお越しになりました。

兼六園へと行くいつもの坂道である八坂。そこに意外な発見がありました。
坂の石段を上がっている途中、フランス人女性から声が上がったのです。「ディジョン!」と。

思わず振り返ると、看板を指しておられます。
それは、ユニーク看板で知られる「のうか不動産」さんのアパートのそれです。
「Dijon」と記されていました。

何のことか分からず尋ねると、フランスの都市の名前だそうです。
「え?そうなんですか。そこは、どこにあるんですか」。

するとKさんが説明して下さいました。
「フランス内陸にある都市です。マスタードで有名です」
そこは歴史的建造物も多く、「きれいな町」(Kさん)だそうです。

へぇー。そうなんだ。で、何でここにそんなフランスの町の名前が付いたアパートがあるんだろう。
こればっかりは、のうか不動産さんに聞かないと分からないところです。
八坂は、坂の町・金沢の風情を漂わせているだけではないのですね。

(八坂を登りきったら、前方に紅葉始まった兼六園が)
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坂を登りきったら、一同からまた声が出ました。兼六園の木々の紅葉が始まっているのです。
昨日通った時は、気がつかなかったのに。わずか一日の違いで。
百万石の城下町、秋深まる、ですね。










近隣にある湧水 お客様と馬坂不動尊へ

真夏日が続く中、あかつき屋に連泊されたお客様のご要望で、近くの馬坂不動尊へ歩いていきました。そこは、坂の山肌から湧き水が流れ出ているところ。そこで、ひしゃくに水をくみ、いっとき涼感を楽しみました。
坂を登りきったところには、小立野寺院群のひとつであるお寺「高源院」があり、お参りさせて頂きました。

(馬坂不動尊で霊水をくむお客様=写真掲載了解済)
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お客様は、神奈川県からお越しになった娘さんとお母様の親子で、金沢は初めてとのことでした。
娘さんがこのブログをご覧になり、ブログで以前にふれた馬坂不動尊へ行ってみたいとおっしゃったので、ご案内したのでした。
途中、扇町や天神町の歴史的街並み「こまちなみ」も紹介しながら、馬坂の坂を登り、その中腹にある不動尊に着きました。東屋風の木造の建物の奥に進み出ると、上のほうから水が流れ落ちていました。見ると、竜の口から水が出ているのでした。
(竜の口から湧き水が流れ落ちています)
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その娘さんとお母様は、ひしゃくで水をすくって、手を清められました。そんな時、娘さんは突然声を上げられました。
「あ、カニがいる!」と足元の水がたまっているところを指差されました。
「え?本当ですか」。私は、その方向に顔を向けましたが、カニは直前、土の中に身を隠したあとでした。
そんな自然もここには、残っているんだ。新たな発見をしました。

眼病に効くという言い伝えがあり、霊水とされているこの不動尊にしばらくたたずんだ後、さらに「く」の字の坂を上がって、加賀藩主・前田家ゆかりの「高源院」さんへたどり着きました。

梅雨明け 涼求め笠舞の清水(ショウズ)へ

梅雨明けが待ちきれないといはんばかりに、真夏の日差しが急に降り注ぎ始めました。早くも連日の30度超えと熱帯夜に戸惑うほどですが、湿気の多い気候よりは、暮らしやすいのかもしれません。
でも、さすがにこの暑さのなかでは、片時でも涼を求めたくなり、笠舞地区で「清水(ショウズ)」と呼ばれる、湧き水が出ている水辺を訪れました。

(善光寺坂下の大清水)
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小立野台の犀川側のふもとに位置する笠舞地区は、金沢市内でも有数の湧き水が出る個所が多いところ。特に段丘状の小立野台の側面は、水が湧きやすい地形になっているようです。

そんなことを知ったのは、妻が笠舞生まれであることが理由にあります。
妻は子どもの頃、暑い時期、ショウズでよく遊んだと言います。
「ショウズには、(山肌から)水がたくさん出てきていて、海水浴に近いことをしたことがある。カニも出てきたわ」
そんな思い出を話す妻の案内で、太陽が高くならないうちの今日午前に、笠舞の名水スポットに足を運びました。

その中で圧巻だったのは、地元では「善光寺坂下の大清水(オオショウズ)」と呼ばれるところでした。
ショッピングセンター赤坂プラザ(パレット)の裏手にありますが、家と家との間にある細い用水伝いの奥にあり、ちょっと分かりにくいところです。
しかし、着いたら思わず声を上げてしまいました。きれいとしか言いようがない、透明度100%の水が、台形状に広がっているからです。底がはっきり見えるので、水深がとても浅く感じます。
そこには先客があり、近くの主婦が、慣れた手つきで洗い物をしていました。
(大清水の表示板)
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そばには、この清水について説明する表示板があり、それによると、「非常に冷水で、寒中の時、この霊水で口中をすすぐと、冷気が激しく、まさに鼻も欠けるかのように感じる」ために、「はなかけ清水」とも言われているそうです。

この清水の純粋さと神秘さを目の当たりにすれば、人に知られず、そっとしておいてあげたいという気持ちになりました。

(暗がり坂のショウズ)
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妻が子どもの時に、よく水遊びしたというのが「暗がり坂のショウズ」で、笠舞本町にあります。
やはり山肌から水が流れ出ており、炎天下では、文字通りオアシスです。
以前は、この水辺にホタルが数多く舞ったそうですが、今は水量の減少とともに、その数はまばらになったようです。
ただ近くに青々と苗を伸ばした水田があり、この付近は市街地の近くにありながら、農村風景も残している地域と言えそうです。


笠舞のショウズ探訪は、小立野台地に沿っての徒歩行でしたが、途中、熱心にショウズの変遷について語る地元の人とも出会いました。
(石引温泉前坂道下のショウズ)
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石引温泉前の坂道の崖下では、配管口から水が出ていました。
そのショウズのそばに長年住む年配の男性は「前はもっと水が出ていたけど、新しく道を造ったりすると、水の流れが変わるのかなー」と少し残念そうな表情で話されました。
それでも、ここが行政が関わって整備された場所であることから、工事の当時は何とか自然の湧水を残そうと、いろいろと知恵を絞ったのかもしれません。
(Aコープ笠舞店裏のショウズ)
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笠舞1丁目のAコープ裏手にもショウズがあります。ここも土手の擁壁に手を入れ、湧水を流しています。
無機的な水の流れですが、ペットボトルがそばに置いてあるところを見ると、ふだんその水を利用する人がいるようです。

エコとか、景観保全が盛んに言われる昨今の世に生きる身の上なので、個々のショウズを間近にすると、いやが上にも、いろんな思いが胸の内に去来しました。