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あかつき太郎の町家日記

金沢町家ゲストハウス あかつき屋をめぐる出来事や思い、人とのふれあいなどをつづるブログ。街角の話題や四季折々の風情も紹介していきます。

あかつき屋のホームページはこちらです。

韓国の学生さん、こまちなみご散策

金沢町家に興味を持って、あかつき屋にお泊まりする学生さんが、相次いでいます。この度ご宿泊されたのは、韓国・漢陽大学の博士課程で学ぶジャン・ミンヨンさんです。

ジャンさんは都市計画を専攻。特に日本の歴史的な街並みを研究対象にされ、城下町金沢にはこれまで再三訪れています。今回の金沢訪問では、あかつき屋でのご宿泊のほか、町家関係の専門家インタビューや町家巡遊のイベントなどにも参加されました。

あかつき屋でのご滞在中、私は近隣にある、こまちなみ天神町保存地区をご案内しました。戦前からの町家や街道が色濃く残る天神町・扇町界隈。そこは、観光地化されず、住民のありのままの暮らしが今も営まれています。

ジャンさんは古い家並みに視線を注ぐ一方、通りのお店の人とも会話しながら、街並みや生活の変遷を感じられました。

(町家について勉強するため、あかつき屋に宿泊されたジャンさん
                      =写真掲載了解済)
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ジャンさんは以前に東京・早稲田大学にも学ばれており、かなり日本に精通しておられます。金沢にも既に五度ほどお越しになっており、細かな地理にもお詳しいのには、驚かされました。

今回の金沢ご訪問では、そんなジャンさんに、これまで訪れたことのない場所を知ってもらおうと、歴史的な家並みが続く、こまちなみ天神町地区を歩いてご紹介しました。

(こまちなみ天神町の通り)
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黒い瓦屋根、格子戸や、うだつのある家々。その通りは、観光客が行き来するような喧騒はなく、住民の方々の静かな暮らしが営まれています。

その通りにある魚屋「越吉」さんを訪れました。いつものように、女将さんがお店で忙しそうにしておられました。
女将さんに来意を告げると、女将さんは、昔を思い出しながら、いろいろと話して下さいました。

(天神町界隈の変遷について話して下さった越吉の女将さん)
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「私が嫁に来た時は、この通りには、いろんな店があったわ。米屋、桶屋、髪結いのお店もあったんよ。ここでは何でも買えた。繁華街やったわ」。

「繁華街」。今のお店のまばらな様子からは、なかなか想像しにくいのですが、こまちなみが立地する、この街道は、金沢城・兼六園付近につながり、反対側は越中・富山にも通じる道ですから、そうしたにぎわいがあっても何ら不思議ではありません。

それが高度成長期の歩みとともに、郊外の都市化による若年者の転出が進み、さらに少子高齢化も加わり、この界隈も人口減少や住民の方の高齢化が進んでいったのでした。

数十年前は、さぞ活気があったろう。女将さんのおっしゃる「繁華街」だった時代の通りを今一度見たいと思いました。

女将さんは、さらに続けました。
「昔に比べると魚屋さんもずいぶん減った。兼六園の方からこのあたりまで、魚屋の組合に入っていたのは、昔は何十軒もあったのに、今は数軒だけになってしもた」。
そう言って、女将さんは古い組合の名簿を見せて下さいました。
その該当のページには、既に廃業した数多くの魚屋さんの名前に横線が引いてありました。

でも時代の逆風をうけながらも、越吉さんは、意気軒昂。店頭販売や外商(行商)で多くの固定客をもち、自家製のうなぎのかば焼きや色付け、こぬか漬けなどに高い評判を得ているのでした。

こうしたお店の特長についても、ジャンさんにお話しながら、この通りをゆっくりと歩いたのでした。

自営業に携わる者としては、越吉さんのように長年地元に根を張り、多くの人に愛されているお店は、身近なお手本です。
そんな街や人の息遣いを感じながらの、韓国の学生さんとの朝のお散歩でした。

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