(均整のとれた、ねだ板)

「いやー、このねだ板は、いいですねー。こんなにいい状態のものは、そうありません」。施工を行う(有)嶋田工建の社長さんは感心しながら、解説してくださいました。
「(ねだ板の)どこがいいんですか」と尋ねると、社長さんは良い部分として次の点を挙げられました。それらを箇条書きにします。
・はめ込まれた板の幅が広い。これは大きい木を使っているためで、大変ぜいたくである。
・板は、反りや曲がりがなく、いいものだけを使っている。
・板と板との間にすき間がほとんどない。
・板をすぐまくれるように、壁の境で切ってある(普通は壁へのはめ込み式)
確かに、社長さんのおっしゃる通りで、床板は均整がとれた状態になっています。
(やぐらごたつの跡)

床板を見渡していると、土壁の近くに、四角いはめ板を見つけました。それを社長さんが外すと、炉が切ってありました。
「やぐらこたつの跡ですよ」。社長さんは、そうおっしゃいますが、もう一つイメージできません。
私が子ども時代、囲炉裏や火鉢は記憶にありますが、やぐらこたつは経験がないのです(たぶん)。
やぐらこたつの跡という、その炉は、35㌢四方とけっして大きくありません。
ここにこたつを載せ、炭や練炭を熱源にして、家族が足を入れて暖をとったのだといいます。
もちろん、やけどしないように、炭の上に、鳥かごのような網をかぶせたのだそう。
「昔、やぐらこたつで家族が寝たりもしたんですよ」と社長さん。
こたつにふとんを掛け、そこに体を入れて寝たということだろうが、こんな小さいこたつで寒くなかったのだろうか。こたつの中で、家族の足もぶつかっただろうに。
当時の家族の間柄や暮らしぶりにも思いをめぐらしたことでした。
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