(雪模様となった、あかつき屋界隈。右側がお寺広済寺さん)

「雪にもいろんな形があるんですね」。この日お泊まりになった東京からのお二人連れは、そんな感想を漏らされました。
確かにその通りです。その日の雪は、綿のようにふわふわとしたものや、あられよりはうんと小さい、数ミリのビーズのような雪も降りました。
この頃の雪は、12月の湿気の多い、重い雪と違って軽やかで、雪道を歩いていても、険しい気持ちにはなりません。
そんな中にあって、あかつき屋は、新春の華やぎと、春の息吹が感じられる佇まいとなっています。
一つは、玄関と接する上がりの間には、新年を寿ぎ、花嫁のれんを飾りました。母が60数年前に花嫁衣裳として実家から持ってきたものです。少女期に父を亡くし、母のお母さん(私にとって亡き祖母)が、女手一つ日夜懸命に働いてつくった蓄えでこしらえたという、その花嫁のれん。
(上がりの間に飾った花嫁のれん)

表面には、友白髪の老夫婦を中心にして、松竹梅、鶴亀など、おめでたいもので占められています。新品同様の真新しさで、いつもお客様をお迎えしています。
(円窓の前に生けた春の草花)

玄関の円窓の前の花器には、水仙、チューリップ、ボケなどの春の草花を生けました。
それぞれは、日ごとに花びらを広げ、花の数を増やしているようです。
凛とした姿、清純な色合いが、城下の下町に位置する古い町家で早春賦を奏でています。
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