寒に向けて、さらに冬の足音が高くなっているかのよう。ともすれば憂鬱な気分に陥りそうですが、そんな思いも吹き飛ばしてくれる一日となりました。あかつき屋にお泊まりのお客様は、はつらつと観光を終えて帰ってこられ、夜はお宿で鍋料理をされて団らんの時間を過ごされました。
お宿ではこの日、ゆずを掘りごたつの上に置き、冬の町家(屋)宿に彩りを加えました。外は凍てつく寒さですが、中はゆずの光彩も広がり、明るい雰囲気。和やかに日付が変わろうとしています。
(コミュニティルームに置いたゆず)

(お客様は、夕食のお鍋料理の香料としてゆずを使われました)

ゆずは、コミュニティルームの掘りごたつの上に、お皿に載せて置きました。わずか二個でしたが、明るい黄色が、お部屋全体をも明るくしてくれます。その香りも心地良い酸味があり、心身を爽快にしてくれるようでした。
一日の観光を終えて帰ってこられた3人のお客様グループ。今夜のお食事は海鮮鍋料理にするとのことで、キッチンで作られたそのお鍋料理の締めに、ゆずを香料として使われました。
そのお客様、お食事後は、近所の温泉の銭湯へ行き、一日の疲れをいやされました。
「(銭湯の)お風呂には、ゆずがいっぱい浮かんでいました」。
冬至の日恒例のお風呂屋さんの演出です。
(書道家水内さんのゆずを題材にした作品)

ゆずとお風呂と言えば、若き書道家の作品が思い出されます。以前にあかつき屋にお泊まりになった水内温子さん(千葉県出身)のゆずを題材にした作品です。
いくつかの丸いゆずを筆で描き、
「おふろに (ゆず)ひとつ 冬至哉」と認(したた)めたものです。
水内さんが昨年一時期、お姉さんの家にステイしていた折、寒い日に夜遅くお仕事から帰ってお風呂に入ったら、ゆずがぷかぷか浮いていた、そんな情景を詠んだものです。
心も温まる、ゆずの明るい色。子どもさんのいるお姉さんの家でも受け継がれていたそのゆず湯は、水内さんがご実家で過ごした子ども時代を想起させるものだったそうです。
ゆずに始まり、ゆずで閉じる今日一日。風の音や、吹雪のざわめきは、今宵に限って、妙なる演出のようにも思えました。
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