暑くもなく、それほど寒くもない朝の時間帯。あかつき屋から賢坂辻の交差点を右折して、ひがし茶屋街や主計(かずえ)街の両茶屋街へと続く道は、かつてのメーンストリート。道沿いには、古い町家が点在し、八百屋さんや美容院、食堂、時計店などのお店のほか、職人さんの住宅兼工房も数多くあります。
そんな暮らしの息遣いにふれながら、歩く道中は、心地よく、楽しいものです。
(ひがし茶屋街を散策されたドイツ人ご夫妻=写真掲載了解済)

あかつき屋にご宿泊されたのは、ドイツ・カールスルーエにお住まいのAxelさん、Lenaさんご夫妻で、お二人とも建築家です。建物だけでなく、街並みや金沢の人々の暮らしぶりに大変関心がおありでした。
ご一泊された翌日、金沢市内の観光スポットをあちこち回る計画を立てられていたので、あかつき屋からひがし茶屋街までの最短ルートになる旧街道をご案内させて頂きました。
賢坂辻を右折してすぐ右手にあるのは、畳屋さん。この通りは、金沢の伝統工芸・産業を担う職人さんの家が数多くあり、ほかには、加賀友禅、建具、焼き物、判子などを生業としている方の家が軒を連ねています。
食品関係では、あかつき屋のお客様がよく訪れるパン屋の森長さん(材木町)や、街なかを大八車で行商もされる髙山豆腐店さん(橋場町)などもあります。
そんな商店をも目にしながらこの日の道行きでは、いくつかの発見や気づきがありました。
(材木町小学校前の通学路にある「ゆっくり」とカメの表示)

材木町小学校前の通りでは、カメの絵と「ゆっくり」の文字が。子供たちが多く通ることから、ドライバーに注意を促す道路標示です。そこを通って小学校前にさしかかった時、ゆったりとした音色のチャイムが鳴りました。
Lenaさんは「私が通った学校のチャイムと同じです」と微笑まれました。
(善福寺さん前で開かれていた朝市)

善福寺さん前に来たら、何やらにぎやかです。朝市をしているのでした。野菜や果物が並んでおり、お買い物をする主婦の姿が見られました。係の男性は「最近近くの八百屋さんが閉店してから始めました。金沢市の補助事業として、毎週木曜日の朝に開いています」と話されました。
(髙山豆腐店さんで購入したお豆腐)

しばらく歩くと髙山豆腐店さんの前に。規則的な機械音がしていました。
女将さんが、作ったお豆腐をパックに詰める作業をしていたのでした。ドイツのご夫妻は、興味深いと早速カメラに収めておられました。
いつもおいしく頂いている、そのお店のお豆腐。今回も一丁買い、食卓に並べました。
浅野川大橋を渡って、ひがし茶屋街に到着。平日の朝とあってか、意外と観光客は少なめ。お二人は、代表的なお茶屋である、「志摩」「懐華楼」さんなどに入られ、藩政時代の趣を色濃く残す花街のエッセンスを体感されました。
(ご夫妻が描かれた、あかつきの間のスケッチ)

建築家とあって、ドイツのお二人は、もちろん金沢の伝統的町家造りのあかつき屋に強い関心を示されました。広い床の間や書院、縁側などがある、10畳間のあかつきの間には、感銘を受けられたようで、お宿ノートには、そのお部屋の絵の力作を残されました。
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