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あかつき太郎の町家日記

金沢町家ゲストハウス あかつき屋をめぐる出来事や思い、人とのふれあいなどをつづるブログ。街角の話題や四季折々の風情も紹介していきます。

あかつき屋のホームページはこちらです。

金沢和傘を買いに東京からお越しに

「ごめん下さい。(チェックイン)予定の時間より遅くなりました」と、お客様が慌ただしく玄関に入って来られました。お越しになったのは、埼玉のOさんらグループで、車で来られました。

早速コミュニティルームに入って頂き、ごあいさつも早々にお話をうかがうと、金沢の伝統工芸の一つである金沢和傘を買いに行っておられたというのでした。
「金沢和傘??」。以前から知ってはいましたが、ゆっくりと実物を見たことがありません。「見せて下さいますか」とお願いすると、Oさんらは笑顔で応えられ、和傘を広げて見せて下さいました。

気品があって、色鮮やか。和の趣のあるあかつき屋に、優美さと彩りが加わり、お部屋に何とも言えない情緒が醸し出されました。

(松田和傘店で買われた和傘を披露されたお客様=写真掲載了解済)
0804wagasa01.jpg

Oさんらが訪ねたのは、金沢市千日町にある松田和傘店でした。ここは金沢市内でただ一つ残った和傘店として知られています。
「ご主人の松田弘さんが90歳。ご高齢のため、耳が遠くて、会話がなかなか成立しないんですよ」。そうOさんらは、おっしゃいました。あかつき屋に当初の予定よりご到着が遅くなった理由が分かりました。

松田さんのお店では、耳がご不自由で、会話がままならないながらも、Oさんらは、それぞれにお気に入りの和傘を買い求められたのでした。
Oさんによると、松田さんは全行程をほぼ一貫生産されておられますが、傘の柄は加賀友禅の職人さんに様々な模様を描いてもらっているのだそう。
Oさんらが今回買い求められた和傘にも、カエデや草木の気品のある絵が描かれていました。

そのお店では、松田さんは、美しい和傘を気軽にいっぱい開いて見せてくれたそうで、見るだけの来店も可なのだとか。
ただ、Oさんらは、そのお店では、伝統工芸の業界がおかれている状況も垣間見られました。
「わしは、弟子をとらんことにしとるんや」と、松田さんは、おっしゃったそうです。
「この(和傘の)仕事じゃ、なかなか生活はしていけんから」。

ちょっと悲観的なお話ですが、でも松田さんは意気軒昂。耳がご不自由ながらも、毎日仕事場で和傘作りに元気に励んでおられるようです。大変高齢ながらも気力はいささかも、衰えていないようです。

私も近いうちにそのお店を訪ねてみたいと思ったことでした。

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