そんな一人でご宿泊されるお客様というのは、この町家(町屋)に興味をもたれているのはもちろんですが、その方固有の目的をもっていらっしゃる場合が数多くあります。
この度の女性のお客様舞さんは、金沢が生んだ文豪室生犀星の作品を愛好されており、その土地を訪れ、犀星の人物像に迫ろうと市内を駆け足で見て歩かれたのでした。
(犀星と出会うため、金沢を訪れた舞さん=写真掲載了解済)

舞さんは、山口県のご出身で、山口県内の工学系の学校(国立高専)で土木建築を学ばれた後、現在は広島県呉市内の造船所に勤め、船の設計に当たっておられます。
プロフィルから、がちがちの理系かと思えば、そうでなく、文学も愛好され、多くの詩人の作品に親しんでおられます。犀星は「美しく、透明感のある作風が好き」だそうで、彼の作品をよく読んでおられます。あかつき屋には、文庫になった彼の詩集を携えてお越しになりました。
この金沢の旅では、石川近代文学館をはじめ、金沢21世紀美術館、夜の兼六園ライトアップなどに出かけられました。
「結局のところ、犀星が金沢をどう思っていたのかは、分かりませんでした」と舞さんは語られましたが、初めて訪れた北の古都には、いろいろと感じることがあったようです。
(緑が濃くなったあかつき屋のお庭)

あかつき屋については、その優れた町家建築に興味をもたれましたが、お庭も目を引き付けられたようで、「山口のおじいちゃんの家のお庭を思い出しました」とのことでした。
舞さんは、お宿ノートにこの旅のことをしたためられました。ご本人の許しを得て、紹介させて頂きます。
昨日は京都におりまして、今日は金沢ひとり旅
室生犀星さんに会う旅でございました。
彼の故郷に対する想いが、いかなるものかは分かりませんが
彼がうたって生きた故郷が、いかなるものかを知りに来ました。
山口生まれの山口育ちの呉勤め、そんな女が見た金沢は
思ったよりうるさくて、思ったより深くキレイな町でした。
明日の朝には帰ります。金沢を持って帰ります。
舞
スポンサーサイト