国登録有形文化財のあかつき屋についても注意深く観察され、若き建築家の視点で私どもが気づかない魅力をも発見して下さいました。
三日間をフルに使っての金沢探訪、お二人にとって随分と収穫の多い旅になったようでした。
(あかつき屋を拠点に「建築の旅」をされた女子大生のお客様=写真掲載了解済)

(お二人が持参された旅のしおり)

あかつき屋にお泊まりになったのは、芝浦工業大学(東京)建築工学科の学生さんで、4月から3年生になられます。聞けば、大学の講義で、このあかつき屋がスライドで紹介されたとかで、ここを拠点にして三日間各所を回られました。
古い街並みを中心に散策された中で、お二人は、大樋町にある酒蔵・やちや酒造さんにまで足を延ばされました。ここは、あかつき屋と同様に国の登録有形文化財に指定されているからでした。
(お二人が訪問されたやちや酒造さん=お客様ご提供写真、以下同じ)


江戸時代中期に建てられたこの酒蔵は、当時の典型的な商家の面影を残しており、重厚な雰囲気が漂います。そこでは、家の中を縦横に走る堅固な梁や、藩政時代の豪華なひな人形飾りなどに目を見張ったそうです。
(兼六園・時雨亭の縁側からお庭をご覧に)

兼六園をはじめとして、あちこちのお庭も見学されました。兼六園では、お茶室がある時雨亭に入られました。お庭に臨む縁側で一休み。春を迎え、明るさを増している木々の緑は、心地よいものだったようです。
あかつき屋では、「お家にいるように、くつろいで」(お二人)過ごされました。そのご滞在で感動したのは、夜のあかつき屋の風景だったそう。
(夜、灯りで幻想的な風景を見せるあかつき屋)

玄関の灯りによって、円窓が、お月様のように丸く浮かび上がり、あかつき屋ののれんや色鮮やかな花嫁のれんが、円窓とともに、絶妙なバランスを見せています。
「とても幻想的ですね」とお二人。それを見事な構図の写真にして見せて下さったので、私はこの町家の新たな魅力を発見した気持ちになりました。
お二人の旅の目的のお役に立てればと、私は町家が多いあかつき屋の近隣を歩いてご案内させて頂きました。日頃からよく歩く横山町、材木町界隈ですが、家の前の飾りつけや樹木などにおいて、時とともに変化が見られ、私にとっても飽くことはありません。お二人にとっても、城下町の下町の風情を少なからず感じられたようです。
お二人は、大学では4月からいよいよ専門課程へと進まれます。体いっぱいに感じた百万石の城下町金沢は、今後の研究の糧になってくれればと念じています。
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