夕方から夜にかけて、お客様は相次いで、お宿に帰って来られます。外の暑さもあって、観光の満足感とともに、身体からは熱気や高揚感を発しておられます。
でも、あかつき屋では夜、時間がたつにつれて静かな深まりを見せていきます。その大きな役割を果たしているのが、上がりの間に置いている行灯や玄関の円窓です。周囲が暗くなるとぽっかりと浮かび上がるこれらの調度品。にっちゅうの暑さを忘れさせ、安らぎのひとときを演出してくれます。
(上がりの間で和の趣を醸しだす行灯)

行灯は、和風照明工芸作家の千綾真由美さん(金沢市在住)の作品で、八面体の木枠に白山ろく吉野谷産などの手漉きの和紙を貼り付けています。そのうち三面には、富山県内の女流書家の書が付けられています。
世界に二つとないオリジナル作品で、独特の和の趣を醸しだしています。
(夜、昼と違って幽玄な雰囲気さえ漂わす円窓のシルエット)

円窓は、あかつき屋の玄関を代表する建具。夜、玄関の照明がつけられると、輪郭が浮かび上がります。隣接するコミュニティ・ルームからは、その風景が鮮明に映し出されます。
円窓の下側に、ぼんやりと映っているのは、玄関の下足箱に置いている生け花の影。
光と影が創り出す、真夏のあかつき屋の夜。汗ばむ一日を過ごした後だけに、それらが描く風景は、幻想的でもあり、心身をいやしてくれるようでもあります。
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