金沢市菊川町の瀬田表具店さんでは、毎日の仕事で使う「水」を大量に水道から汲み、備蓄されているのです。
「寒の水は腐らず、長持ちするんやは。この仕事には欠かせません」と瀬田さんは2㍑入りのペットボトルに60本ほど水を蓄えられました。
(寒の水をペットボトルに蓄えられた瀬田さん)

瀬田表具店さんは、金沢町家であるあかつき屋が2年余り前、開業前のリニューアルに当たって、障子やふすまなどを張り替えてもらったところ。
その際、表具屋さんの仕事などをいろいろと教えてもらいました。
(表具の作業で使う糊。水は重要です)

表具屋さんはふだん、障子やふすまの張替え、掛け軸の修復などを行っていますが、その作業では、決まって糊(のり)を使います。その糊を溶かすのが水で、糊の粘り気をちょうど良い具合にするには、水は重要になってきます。貼る物によって、糊の濃さが異なり、その調整をするのが、水です。
「腐った水を使うと、糊がべちゃべちゃになり、紙にくっつかなくなる」と瀬田さん。その点、寒の水は腐らず(雑菌が繁殖せず)、とても仕事がしやすいのだそうです。
そして、仕事の要となる水は、大寒の頃に水道水から一気に汲み上げ、ペットボトルに蓄えておくのです。
(ペットボトルに水道水を入れる作業)

(水でいっぱいになったペットボトルは、段ボール箱に入れて保管します)

この日は朝9時半頃から、瀬田さんは中学三年生のお孫さんとともに2㍑入りのペットボトルに水道水を入れる作業に当たり、2時間ほどで60本分を詰め終えました。
この後、表に水を汲んだ日付を記した段ボール箱にペットボトルを詰めて、地下室に保管しておきます。この水は3年はもつとのことです。
年中行事とも言える大寒の水の備蓄を終えて、瀬田さんはほっとした表情。しばし雑談しましたが、瀬田さんは「こうしてとっておいた水は、災害が起こった時に飲み水としても使えるんやは」と水は防災の役目も果たすのだと、笑顔を浮かべながら話されました。
スポンサーサイト