加賀棒茶を自家焙煎しているお茶屋さんで、そのお茶を買い求める傍ら、ご主人から加賀棒茶についていろいろとお話をうかがい、有意義な時間を過ごすことができました。
(加賀棒茶がおいしいと評判の坂緑香園さん)

お宿業に携わっていると、日本茶、コーヒー、紅茶など、お茶について自然と興味が募ってきます。加賀棒茶が評判であることを聞き、坂緑香園さんののれんを初めてくぐりました。
ご主人によると、加賀棒茶は金沢では昔から、いわゆる「番茶」と呼ばれ、一般家庭の定番のお茶でした。
巷では最近、お茶はコンビニや自動販売機で買うことが多くなりましたが、加賀棒茶は金沢では家庭の食卓のお茶として根強い人気があります。
(香り高いお味がした加賀棒茶)

妻に言わせると、加賀棒茶はなくてはならないもので、「子どもの時、遠足では決まって、冷やした番茶(加賀棒茶)を水筒に入れて持って行ったもんだわ」と、子ども時代のひとコマとしても身体に刻まれているようです。
坂緑香園のご主人は、加賀棒茶の歴史について教えて下さいました。
お茶は通常、葉を使うものですが、明治時代、金沢のあるお茶屋さんが大量に出るお茶の茎を捨てるのはもったいないと、お茶に使ったのが始まりだそうです。
この棒茶は、安い上に独特の風味があることから、一気に人気を呼び、棒茶は金沢の庶民の間に瞬く間に広まったそうです。
約70年の歴史があり、現在三代目である坂緑香園のご主人は、自宅作業場において、静岡茶や伊勢茶の茎を使って、直火型ドラム式焙煎機を操作し加賀棒茶を作っておられます。
ご主人はお店で、みずから手をかけて煎った加賀棒茶を急須に入れて、出して下さいました。
さっぱりとした、ほのかな甘みと、芳しい香りがし、気品さえ感じました。最近は、その手軽さからペットボトルのお茶を飲むことが多かっただけに、「久しぶりに、おいしいお茶を飲んだ」と、感動さえ覚えました。
この加賀棒茶、インターネット・ホームページでも紹介しているので、金沢とその近郊以外にも、全国から注文が入るのだそう。
焙煎機の操作には、自分しかできない独特の力加減があり、ご自身のことを「職人なんです」とおっしゃるご主人。穏やかな表情でお話しして下さいましたが、胸の内には、おいしいお茶を作り出す、強い誇りを秘めておられることを感じました。
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