観音堂さんでは、既に数多くの氷室まんじゅうの注文が入り、ご主人、女将さんは忙しくされていました。
氷室まんじゅうについては昨年、このお店でその製造工程をしっかり見せて頂きました。しばし氷室まんじゅう談義をしていたら、女将さんが急に思いついたように、「まんじゅうに、あかつき屋さんの名前を入れてみませんか」とおっしゃいます。
思わず「えー!」と声を出してしまいました。
この前、どら焼きに「あかつき屋」の文字を入れて、あかつき屋どら焼きを作ったばかりなので、それにならって、あかつき屋オリジナルの氷室まんじゅうを作らないかとのご提案でした。
「これは面白い」。私は即座に了承しました。
店の作業場から持って来られた「あかつき屋」の鉄製焼き印を手にした女将さんとともに、氷室まんじゅうのどこに「あかつき屋」の文字を入れようかと相談。
焼き印は、真ん中辺りに押すことにして、世界で一つしかないおまんじゅう作りを託しました。
午後3時頃、観音堂さんを再び訪ねました。
女将さんは、苦笑交じりの表情でいらっしゃいました。
「思ったようにいきませんでしたね」。ガラスケースの上の箱の中に、「あかつき屋」の名前が入った氷室まんじゅうが、いくつも箱に入って並んでいました。
(氷室まんじゅう。左上は試みに「あかつき屋」の文字を入れたもの)

しかし、文字の出方にばらつきがあり、人にお上げするには、不十分でした。
「どら焼きのようには、うまくいきませんね」と女将さん。
どら焼きと氷室まんじゅうとでは、生地に違いがあるため、焼き印との相性も異なり、加えて、まんじゅうの方が周囲が丸くなっているため、文字を載せにくいのです。
まんじゅうの表面には、あかつき屋の文字が比較的はっきり付いたものや、薄いものなど様々あり、ご主人の工夫のほどがしのばれました。
「思ったようにうまくいかないもんですね。でも勉強になりました」。私は、感謝の言葉を述べながら、無地の通常の氷室まんじゅうを買い求めました。
自宅に持ち帰って、家族で氷室まんじゅうを味わいました。生地にほどよく染み込んだどぶろく風味と、餡の甘さが渾然一体となったおまんじゅうは、とてもおいしいものでした。
スポンサーサイト