これは辻占と呼ばれる砂糖菓子で、その中には、おみくじ状の紙切れが丸められて入っており、それを開くと、短いフレーズやセンテンスが記されています。
お客様は、その文面を互いに見比べながら、談笑するなど、掘りごたつで心なごむひとときを過ごされています。
(金沢のお正月のお菓子「辻占」)

辻占が入っていたパッケージには、次のようなことが書かれていました。
「藩政時代、金沢城下には辻に立って占いをする人がいて、『辻占』といわれて、町衆の人たちから親しまれていました。菓子『辻占』はしんしんと雪降る、音なき一夜、炬燵に入り、『辻占』をひらき、心静かに、その中に書かれた文字を読み縁起物を楽しむものです」(一部要約)
この和菓子は、やさしい色合いで、花の形をしています。お客様は、この花びらを開いて、中に入っている紙切れを取り出します。
(お菓子の中に、おみくじ状の紙切れが入っています=左)(紙には、様々な言葉が記されています=右)


紙を開いてみると、「ことしは あたりどし」とか「よいことがかさなる」などのおめでたいことの一方で、「早くきめなさい」「怒るなかれ」などと、人を諭すような、戒めるような言葉が書いてあるものもありました。
あるカップルは、紙を開いて思わず、顔を見合わせました。紙には、それぞれこんなことが記されていました。
「わたしや あなたの心任せ」「いまさら いやとは」
「これ、当たっているのかな~」。「やっぱり、そうかしら」
お二人は、ちょっと微妙な苦笑を浮かべながら、そう話し、おとなしい甘さのこの砂糖菓子を味わっておられました。
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