夕食でうな丼にして食べたところ、肉厚のウナギがほっこりと焼かれている上、たれがほどよくのった身は、何とも言えない後味の良さがあり、幸せな気分になりました。
(越吉さんの店頭。奥に女将さん、手前がお嫁さん)

(越吉さんの蒲焼きをのせたうな丼)

越吉さんは、歴史的風情のある町並み「こまちなみ」の一角にあり、このお店も町家造りです。お隣には、今は空き家になっていますが、金沢で最後まで残った桶屋さんもありました。
今日午前に越吉さんを訪ねた時は、店には女将さんとお嫁さんがおられ、魚をさばくなどしていました。
ここには、暑くなってからというもの、焼き魚などを買いに行く機会が増えたので、すっかり顔なじみになりました。
自分でも実感していることですが、越吉さんのウナギの蒲焼きや魚の色付けは、おいしいと評判です。そこら辺の事情について聞くと、女将さんは、「タレは、(先代の亡くなった)おばあさんが、レシピに書いてくれて残してくれたんで、その通りにしているだけなんよ」と言って、店の奥の方に行って、姑さんが書いたというレシピの一枚紙を持ってきて、私に見せてくれました。
私は突然のことに驚き、「(タレは)企業秘密みたいなもんやけど、見ていいんですか」と聞き返しました。
その紙を一瞥したところ、醤油や砂糖などの材料と、その分量がメモ書きされていました。
意外とシンプルな内容でしたが、見てはいけないものを見ているような気がしたので、「(片付けられて)いいですよ」と話し、それを写真に撮ることもしませんでした。
(越吉さん製の鯖の色付け)

以前に、鯖やホッケの色付けをこのお店から買い、おいしく頂いたのですが、その味の秘密は、この一枚のレシピに隠されていることが、分かりました。
このレシピは鉄壁のようで、女将さんは「いつもこの(レシピの)通りに作っているので、作ったの(色付け等)は、味見もしとらんがや」とおっしゃいます。
このお店のファンは、今も先代の女将さんの味に親しんでいることになるんですね。今は女将さんにその味は守られ、そしてお嫁さんに引き継がれるということでしょうか。
今日、ウナギの蒲焼きといえば、スーパーなどで手軽に買い求めることができますが、この越吉さんのそれは、表面にべたつきがないにもかかわらず、口の中でうまみがいつまでも残り、こんな蒲焼きもあるんだと新たな発見をした心境になりました。
あかつき屋の近くに、職人気質の個人商店があるのは、とてもありがたいこと。今後ともよろしくお願いします。
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