お部屋には、晴れやかな雰囲気が漂うとともに、厳粛なものも感じました。
(母が持参した花嫁のれん)

花嫁のれんは、幕末から明治時代初期の頃に能登、加賀、富山において庶民の生活の中から生まれたのれんです。
花嫁が嫁入りの時に、花嫁のれんを持参し、花婿の家の仏間の入り口に掛けられるものです。花嫁はのれんをくぐり、先祖の仏前に座ってお参りしてから、結婚式が始まります。
今日あかつき屋に掛けられた母の花嫁のれん、実は私、初めて見ました。60年近く経っている割には、保管の仕方が良かったのか、新品同様の真新しさです。
松竹梅などのほか、友白髪の老夫婦が穏やかな笑みを浮かべてたたずんでいる姿が描かれています。
(花嫁のれんに見入るお客様のご夫妻)

花嫁のれんを飾った時、たまたま首都圏から来られたお客様のご夫妻が居合わせました。
ご主人が「朝日があるので、あかつき屋にぴったりだね」とおっしゃると、笑いが。
奥様は「いつまで見ていても飽きませんね」とちょっぴり神妙な感じでおっしゃいました。
母の花嫁道具の一つとも言える花嫁のれんが、いま町家ゲストハウスでお客様を迎える役割を果たすことに。
そのめぐり合わせに、深い感慨を覚えました。
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