これは、友人のHさんの手作り品です。

Hさんは、農業機械メーカーにお勤めの若いエンジニアです。仕事柄、環境問題に関心をもっておられ、その中で手入れが行き届かず、生息地の荒廃が指摘されている竹を何とかできないかと考えています。その解決策の一つとして、自ら竹製品を作って将来の販路拡大を目指しています。
この竹製の下駄は、Hさんの数多くある竹の試作品の一つです。Hさんは、この下駄の鼻緒を確保するため、下駄屋さんに飛び込みで訪ねて買い求め、鼻緒を竹板に結ぶ方法については、インターネットで調べて習得するなど、出来上がった下駄は、知恵と汗をしぼった労作です。
Hさんは、この竹下駄については「あまり評判が良くないんです」と言います。というのは、歩きにくさに加え、歩くと大きな音がするからなようです。
私は、竹が何とも言えない「和」の趣を呈しているのに加え、その形もユーモラスなので、「面白いんじゃない」と感想を述べたところ、Hさんは譲って下さいました。宿のお客さんの反応も知りたいようです。
町家ゲストハウスでは、外国人のみならず日本人にも受けることでしょう。歩くと、どんな音がするのか、楽しみです。
この下駄を玄関の上がり口に置いていたら、(有)嶋田工建の社長さんがすぐに見つけて、私の前に持ってきて言いました。
「これは、竹スケートですね。ぽっくりとも言いますね。子どもの時、これを1回だけ履いて滑ったことがあります」。
「竹スキーは知っているけど、竹スケートがあるんですか」と尋ねると、
社長さんは「ええ。(会社の近くの)思案橋の緩い坂で、冬のきんかんなまなまの時に滑りましたよ」とおっしゃいました。
どんなふうにして滑るのか、にわかに想像できないのですが、それはさておき中高年のノスタルジーを誘うことになるとは、意外でした。
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