鰐崎海岸という名前の海辺において、海と向かい合う形で立てられています。前面の海を映し、大空を鏡面にとらえます。眼前の大海原に開放的な気分が胸の内に広がる中で、その鏡群は、見る人に鮮烈なインパクトを与えました。
(海と向かい合う形で展示された鏡の作品)

(目の前には、美しい海岸線が広がる)

コロナ禍により一年延期されて開かれたこの芸術祭。一回目も観覧しているので、4年ぶりの珠洲訪問となりました。
事前PRで、先の鏡の作品を知っていたので、珠洲・飯田から車で丘陵地を越えて、その作品がある鰐崎海岸に着きました。
海に向かって寄りそうように点在する集落。打ち寄せる波は清冽で、広がる青空と相まって、心がひとりでに、おおらかになっていくのを感じました。その海に臨む形で、シンプルな鏡面の作品があったのでした。
ガイドブックによると、韓国人アーティストキムスージャさんの作品だそうで、「息づかい」というタイトルが付いていました。
(鯨や魚の霊を慰める石碑)

(その石碑の由緒書き)

そのそばで、石碑が立っていました。そばに近づいて見てみると、地元の住民たちが設置したもので、これまで何度かにわたって打ち上げられてきた鯨や捕獲した魚たちの霊を慰めるものです。命の糧となったことに対して、感謝の気持ちを表しています。
ここの人々にとっては、太古の昔から魚類を取ってきたであろうに、昭和の時代になっても、その命に感謝の念をもつなんて。この土地の人の心情を垣間見た気がしました。
それにしても、何と美しい風景。高台からの眺望はなお素晴らしく、沖合に七ツ島と思える小島が見えた景色も目に焼き付きました。
(飯田港にある卓球台の作品)

飯田では、港にある「さいはてのキャバレー」でしばし時間を過ごしました。
その屋外には、卓球台がありました。日本人クリエイターの浅葉克己さんの作品だそうです。
卓球台は一枚の石から作ったものだそうで、その競技スタイルから、交流の活性化の願いを込めたそうです。
社会通念にとらわれない、ざん新な作品群。鑑賞する人の心を限りなく自由に、のびやかにしてくれました。
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