そんな中で、懸命に日本の文化、特に金沢町家について学ぼうとする外国人留学生らをここあかつき屋にお迎えしました。真剣な表情で、国登録有形文化財に指定されている建物の中を見学し、鋭い質問も。鬱陶しい雰囲気も吹き飛び、身が引き締まる時間を過ごしました。
(家の前では、流木に紫陽花などの飾りつけ)

(玄関円窓前でも、生け花爽やかに)

あかつき屋では、梅雨のシーズンでも、快適に過ごしてもらおうと、屋内外で様々なしつらえを施しています。建物の前では、流木を設置。そこに紫陽花の花や沙羅の草木などを配して爽やかさを演出しました。
玄関では、花器に季節の花数種類を生け、円窓の前に彩りを添えています。
この日、あかつき屋を訪問されたのは、金沢大学の外国人留学生9人と、その留学生らの指導に当たる金大国際機構の松田真希子教授、一級建築士事務所を扇町で開く林野紀子さんの両先生です。
留学生の母国は、スペイン、ドイツ、ロシア、中国、インドネシア、タイなど様々でした。
学生さんらがお着きになると、早速、中をご案内。二階のお座敷では、床の間や網代天井、欄間など、日本家屋独特の造りを説明。西側の6畳の間では、「ここから兼六園の森が見えるんですよ」などと説明。皆さん興味深げに、聞き入っておられました。
一通り中を紹介した後、一階コミュニティルームで、準備したペーパーを基に15分ほどレクチャーさせてもらいました。テーマは、「金沢町家を観光的アクティビティーの拠点に」。
お宿の歴史や構造などのほか、私が日頃取り組む活動などについて説明。あかつき屋界隈は町家や寺社のほか、今も特長ある個人商店がいくつも残るところ。この宿を拠点に、お客様と住民や町家、寺社、お店などをつなぐ活動を繰り広げていること。そこから、お客様には、金沢のリアルな日常を感じてもらうように努めていることなどを話させてもらいました。
(お越しになった金大の留学生と先生方=写真掲載了解済)

留学生からは「建物と人々の暮らしのどちらが重要ですか」という質問を受けました。建物と生活は不可分なもので、両者が一体となって、暮らしが営まれており、どちらが重要とは言い切れない。「家屋は、この土地の風土の中で育まれてきたもので、あかつき屋では、お客様には、そうした点を感じてもらいたいし、そのお手伝いをしたい」と返事をしました。
ここでの滞在が、30分ほどの短い時間だったので、どれくらいの成果があったのか、もどかしさもありましたが、留学生たちの真剣な眼差しを見ていたら、学生さんたちには、それなりに得るものがあったのかな、と推察しています。
金沢、さらには、ここ賢坂辻界隈と世界をつなぐ金沢町家。改めて、ここを舞台にしたお宿業の原点を見つめ直すひとときとなりました。皆様ありがとうございました。
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