今回の砺波・散居村視察については、もう一つ大きな目的があります。それは、この地に伝わる伝承料理を学ぶことと、伝統的な散居村家屋について理解を深めることでした。
伝承料理については、砺波市大門(おおかど)集落に、この地の風土で育まれたお料理を提供する農家レストラン大門があり、昼食会場としてそこを訪問。私ども一行は、良質なお味の地元料理の数々を賞味しました。
(農家レストラン大門の正面)

(頂いた散居村の伝承料理)

お食事した大門は、散居村独特の「アズマダチ」の建物。大きな三角の妻面に太い梁と束、貫がマス目に組まれ、その間が白壁となっている切り妻造りが特徴です。
外からは堂々とした佇まい、中に入ると、冠婚葬祭が十分に行える、広々とした空間となっています。
そこで頂いたコース料理。がんもどきをじっくり煮込んだ丸山や、いとこ煮、ゆべす、よごし、三色くずきり、季節の天ぷらなどが、輪島塗のご膳の上に綺麗に並びます。
そして、大門と言えば、名物大門素麺もお椀に入って出されました。
(料理を頂きながら女将さんの話を聞く一行)

女将さんの境さんが強調されました。「うちのお料理は、化学調味料は、一切使っていないんです。だからとても時間がかかるんです」。
おっしゃる通り、どのお料理も材料の自然の味が遺憾なく感じられ、体にとてもいい感じ。
「力仕事をしている人は、味が薄く感じられるかもしれませんが、私たちは、本当においしい味はこれだと思って作っているんです」。
そう説明されましたが、私たちは、全然物足りないことはなく、体にしっくりと馴染む、上質な味と感じました。
この農家レストランのもう一つ特筆すべきところは、空き家を活用している点です。世代交代等で住む人がいなくなったこの家を境さんのご主人が購入。地域活性化を目指す地元砺波市の働きかけもあって、北陸新幹線が開業した2015年3月にオープンしました。
そして、女将さんの境さんを中心に、地元の主婦らも参加して、運営されています。
数年前にテレビ朝日の「人生の楽園」で全国放送されたこともあって、知名度が格段にアップ。今は週末を中心に大勢の人が訪れています。散居村に新たな観光スポットが生まれた形です。
(大門素麺資料館も見学)

このレストランのお隣には、昨年開館した「大門素麺資料館」があります。館内には、大門素麺の歴史や、製造工程などについて、写真パネルや各種道具などで紹介しています。
一行は、そこも見学。ここの素麺の歴史は江戸時代後期、能登・輪島で製造されていた素麺について、売薬さんからもたらされた情報がきっかけだそう。その後、石川県かほく市高松の素麺職人を大門に招いて、地元の人数人が製造の技術を習得したことで普及が本格化したのだそう。とても興味深い事実で、インターネット全盛の今日と異なり、人から人へと情報が伝わる、当時の食文化の伝播について、思いをいたすこととなりました。
農家レストラン大門の皆様、この度はありがとうございました。
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