その日を今年は格別の思いで迎えます。金沢21世紀美術館では、この日にちなんだアート作品を集めた「もやい展」が開幕し、その作品展に出品した作家さんらが、あかつき屋にお泊まりになっています。
作品会場では、気鋭のアーティスト14人の方々が、写真、絵画、工芸、インスタレーションなど幅広い分野で、それぞれ秀作を発表されています。渾身の作品群は、見る人に深い感銘を与え、3.11は何だったかを改めて考えさせる機会となっています。
(福島原発の事故の被害を受けた浪江町の商店街をとらえた写真作品)

もや(舫)いは、船を綱でつなぎ留めることをいい、転じて人と人との協働作業や人々の結びつきを意味します。「結(ゆ)い」とよく似た言葉と言えます。
今回のアート展は、そのもやいを名前に取っています。東日本大震災そして、それに起因した福島の原発事故。深刻な被害は広範に、長期に及び、様々なもやいを分断しました。
その状況と真正面から向き合い、作家さんたちが、様々な間柄を引き裂いたこの災禍を今一度見つめ直し、分断の溝を克服しようと、この作品展を企画したのでした。
(会場入り口の受付)

【出品作品の一部(つづく)】
(放射能汚染物質を詰めた袋を模した作品と写真)

(命をテーマとした和紙作品と舞踊(寝ている人))

(全国各地に立地する原発を配した絵画作品)

私は、既に二度会場を訪れました。テレビや新聞等のメディアでは、表現し得ない被災地の状況を作家さんが、それぞれの思いと技法で表現しています。魂を込めた個々の作品は、ややもすれば記憶から遠くなりそうなこの大震災を再び想起させ、胸を熱くさせます。
出品された作家さんたちは、原発事故により遠方に避難した人もいれば、被災地とはこれまであまり関係がなかった方もいらっしゃいます。
しかし、制作に向き合う姿勢には、全く隔たりがなく、全身全霊で取り組まれたことが、作品を見れば一目で分かります。
こうした作家さんをお宿にお迎えできたことを無上の喜びとし、微力ですがお世話させて頂いています。
作品展は10日まで開かれています。
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