地元の氏神様・椿原天満宮の秋祭りが始まりました。実りの季節に感謝し、人々の平安を寿ぐお祭り。神社への通りには、露店が並びました。
あかつき屋の近所・扇町の一角に、立派な獅子頭が飾られました。その威風堂々とした面構えは、祭りムードをいやが上にも高めます。しかし、この獅子頭の展示は、今年で最後になるというのです。寂しいことです。
(扇町に飾られた伝統の獅子頭)

(獅子頭の飾りつけに精を出す地元の人たち)

獅子頭の傍らに置かれた説明版によると、この獅子頭は藩政時代、加賀藩主前田治脩公に仕えた永田流彫刻の名人・沢阜逃石が制作したものです。年代物であり、その卓抜した造りと合わせ、価値あるものです。
旧材木町1、2、3丁目(賢坂辻の通りを南北に連なる地区)の町会の所有で、毎年秋祭りに展示されてきました。
地元の材二親和会の町会が、獅子頭の管理と祭礼での展示のお世話に当たってきました。
しかし、その世話に当たる方々の高齢化が進み、展示する場所への獅子頭や獅子舞の蚊帳、太刀などの祭り道具一式の運搬や飾りつけが、困難になってきたのです。
このため、獅子頭の展示を今年を最後にすることにしたのでした。
お世話に当たった町会の方々は、飾りつけの作業に勤しみながら、「(飾りに使う竹の切り出しもあり)準備が大変で、自分たちでもうできなくなった」「今年が見納めや」と、寂しそうに話していました。
毎年秋に私たちも、伝統のある獅子頭を見て来ただけに、残念に思いました。
この町会では、市の文化財担当課と相談し、可能ならば歴史民俗資料を保存する施設に引き取ってもらえないかと考えているようです。
(椿原神社前の道に並んだ露店)

この界隈は、歴史的な街並みが色濃く残るところですが、少子化、高齢化の波は例外でなく、こうしたお祭りの維持・継承がむつかしくなっている側面があります。
私たちにとって、ここは生活の場でもありますので、そうした課題と真摯に向き合っていかないとと心しています。
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