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あかつき太郎の町家日記

金沢町家ゲストハウス あかつき屋をめぐる出来事や思い、人とのふれあいなどをつづるブログ。街角の話題や四季折々の風情も紹介していきます。

あかつき屋のホームページはこちらです。

卯辰山に花木園 驚きと感動と

いつもあかつき屋から眺めている卯辰山。こちらからは、直線距離にすれば1.5㌔ほどで、極めて身近にあるお山です。金沢市民の年配者らは、日常目にするお山なので、親愛を込めて「向かい山」などど呼んでいます。

その卯辰山。この度、別の表情があることを知りました。中腹に花木園があり、そこには、満開を迎えたツツジの花が広がっていました。驚きと感動と。大型連休(GW)の合間を縫って訪れたその地は、静寂の中に、ひと際光彩を放つ花園でした。

(山肌一面に広がるツツジの花園=卯辰山・花木園)
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コロナの終息を告げるような、ここ金沢への大勢の観光客の方々の入り込み。忙しい毎日となっていますが、一息つきたくて私どもは、昼下がりふらっと卯辰山へと出かけました。

駐車場に車を留めて、どこへ行くという当てもなくそぞろ歩き。そうした中で出会ったのが、山の斜面に広がるツツジの群生でした。聞けば、12品種、約8,000本のツツジが植わっているのだとか。赤、ピンク、白などの花々が、新緑の中で鮮やかです。
カメラに収めることに迷いは、ありませんでした。

卯辰山ほど、幾多の表情をもつ山は、ほかに知りません。
かつてヘルスセンター、サニーランドのような大衆娯楽施設があり、今は、健民公園や相撲場が、健康・スポーツ施設として、広く県民に親しまれています。また花菖蒲園は、初夏に谷間一面を色とりどりの花しょうぶで彩ります。

このほかでは、愛宕神社などの卯辰山三社と呼ばれる神社や、夏の四万六千日の風習で知られる古寺・観音院。
若きアーティストの研鑽の場になっている卯辰山工芸工房もあります。

鎮魂の場としては、明治維新前後の混沌の中で金沢において幽閉され、命を落とした人を弔う「長崎キリスト教殉教者の碑」や、第二次大戦時で非業死を遂げた若き女性を慰霊する「殉難おとめの像」、また医療の発展に身を捧げた人に感謝の念をささげる「金沢大学医学部解剖体墓地」もあります。

緑と花の季節を迎えましたが、城下町金沢は、様々な歴史やエピソードを内蔵しており、そんな経緯にも思いをいたしながら、日々の暮らしを営んでいます。

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古材文化の会の皆様 ご宿泊

幸いなことに国登録有形文化財に指定されている、この金沢町家あかつき屋を通じて、様々な分野の方とご縁を結ぶことがあります。その中で特に多いのが、建築関係の方々です。あかつき屋ならではと言えるでしょうか。

この度お付き合いのきっかけを頂いたのは、京都に本部事務所がある、古材文化の会の方々です。この会のメンバーさんたちのお泊まりを通じて、私にとっても木質文化が根付くこの金沢の街への理解が深まりました。

(お泊まりになった古材文化の会の方々)
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古材文化の会は、古材の利活用や古建築の保存・再生の推進、木造建築技能の継承などの活動を展開されています。

今回お泊まりになったのは、関西在住のメンバーのほかに、神奈川県内の方もいらっしゃいました。
工務店の経営者や企画会社などを営む方々です。

お泊まりの夜は、ざっくばらんに懇談。私の方からは、ふだんから行っている地域とお客様をつなぐ取り組みのほか、近隣の町家の動向についても紹介させてもらいました。

(通りに点在する町家=横山町、材木町界隈)
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翌朝は、お客様を町家のパン屋・森長さんまで歩いてご案内。
あかつき屋近くの賢坂辻交差点から横山町、材木町、橋場町を通って浅野川大橋たもとに至る通りは、今も町家が点在しております。その沿道には、八百屋さんや豆腐屋さん、床屋さんなどのほか、畳屋さん、建具屋さん、設備工事屋さんなど、職人さんの住居兼店舗もあり、往時この界隈では、暮らしに困らないだけのお店がそろっていたことがうかがえます。

ただ、少子高齢化に伴う人口減少の波からは免れず、新築住宅がある一方で、ところどころに空き家跡の更地や駐車場が目に入るのも事実です。
お客様は、そうした変化も見逃さず、旧市街特有の問題の解決策に思いをめぐらすふうでもありました。

私も町家宿を営む一方で、この界隈の生活者でもありますので、時に断腸の思いで良質な景観の喪失を目の当たりにしてきました。
北陸新幹線の開業は間違いなく城下町金沢のエポックをもたらしましたが、一方で長年横たわる課題があるのも地域住民らが認めるところです。

古材文化の会の方々との交流は楽しいものでしたが、そうした問題をも再認識する機会ともなりました。
皆様ご宿泊ありがとうございました。

折り紙で彩った結婚式に感嘆

フランス人ご夫妻との会話から、思いがけず和やかで笑顔になるひとときが生まれました。それは、あかつき屋のコミュニティルームに置いてある折り紙の作品群がきっかけです。

それらの折り紙作品は、お泊まりになったお客様が手作りされたものですが、その奥さんはそれを見て「私折り紙が趣味なんです」とおっしゃいました。そこから一気に話が広がりました。

(新婚旅行でお泊まりにフランス人ご夫妻)
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(奥様は折り紙で蝶を手作り)
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こちらのご夫妻は二年前にご結婚され、この度の来日は、ハネムーンでした。金沢では、ここにご一泊されました。

奥さんは、テレビ台の中にある、鶴や手まりなどのかわいらしい折り紙をご覧になって笑みを見せ、ご自身が折り紙に親しんでいることを話されました。

あかつき屋では、折り紙を常備しているので、早速彼女に折り紙を手渡し、作ってもらいました。彼女は、楽し気に手際よく、蝶を折り上げました。素敵な出来栄えです。

(結婚式で披露された折り紙で飾られた樹木=ご提供写真)
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ここからが、出色でした。実は、彼女は二年前に挙げた結婚式の会場に数多くの折り紙作品を飾ったというのでした。その一つは、鶴が木の枝に鈴なりになったもの。一つ一つ丁寧に折った鶴を枝に葉っぱのように付けていったのでした。
おめでたく、さわやかな雰囲気が漂うデコレーションで、式の参列者から大好評だったようです。

日本発の折り紙が海を渡り、フランスの華燭の典を彩ったのです。
コロナ禍の憂いを吹き飛ばす演出。こちらの気持ちも明るくなりました。

この度のご宿泊ありがとうございました。お二人の末永いお幸せをお祈りいたします。

「ポケモン×工芸」展に行ってきました。

わくわく、ドキドキというのか、不思議な気持ちに浸ってきました。「ポケモン×工芸」展が、近くの国立工芸館で開催されており、出かけました。

会場には、ポケモンの様々なキャラクターが、陶芸や漆芸、象嵌(ぞうがん)、染織など、多様なアート作品となって展示されており、目を見張りました。アートの新たな可能性を感じました。

ポケモンについては正直詳しくないのですが、あかつき屋のお客様の幾組が、この作品展を目当てに金沢にお越しになっており、一度その世界にふれてみようと、足を運びました。

作家20人が約70点を出品。その作家さんたちは、人間国宝から若手まで様々で、このうちの大家は、ポケモンをよく分からない中で作品依頼があり、戸惑いながら創作に取り組んだ人もいたそう。

立場は違っても、その作品はいずれも渾身のものと分かるものです。作品群はユーモラスなものあり、時に軽快、時に優美と多彩で、見るものを十二分に楽しませてくれました。

実は、遠方に住む保育園児の孫もポケモンに打ち込んでおり、この作品展を見せたい、と思ったことでした。

【ポケモンを題材にした作品群】

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五感で春を堪能 フランス人ご夫妻

コロナ禍による“鎖国”が解け、金沢の街なかには、欧米系の外国人の姿が目立つようになりました。街を歩いていると、時間帯によっては、外国の人の方が多いのではないかと思うほど、いわゆるインバウンド入込客が増えてきました。

ここあかつき屋でも、そうした方のご来訪が増え、その方たちがご滞在時に醸すオーラが、この町家の純和風な趣を一段と際立たせるようです。私どもも、忘れていたものを取り戻したかのように、気持ちを昂らせて、お世話させて頂いています。

(あかつき屋に二泊されたフランス人カップル)
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この度、お越しになったのは、フランス人ご夫妻で、ここに二泊されました。ちょうど桜が満開の時で、グッドタイミングの金沢ご訪問でした。

まず兼六園へ。あかつき屋から歩いて、八坂経由でご案内しました。園は大勢の人であふれていましたが、ある茶店の取っておきの花見スポットを紹介させてもらいました。
お二人は、おそばとお酒などを召し上がりながら、窓外の満開の桜を楽しまれました。

(春のお庭も楽しまれました)
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あかつき屋では、お庭にも満足されました。明るい緑に包まれたお庭を縁側でご観賞。苔もきれいに生えており、「よく手入れされてますね」とおほめの言葉を頂きました。

お食事は外食の一方、近隣のお店でも食材を調達。近所のふじた酒店さんでゆず酒を購入。夜は、水入らずでその美味を堪能されました。

春の陽気に包まれた二泊三日。次の旅先は、「日本海に面した舟屋群で有名な京都・伊根に向かいます」とここを後にされました。いい旅を続けて下さい。
ご宿泊ありがとうございました。

兼六園 満開の桜に酔う

足早に金沢に上陸した今年の桜前線。早くも4月上旬で花は満開を迎えました。そうした動きを予想したかのように、3月下旬から4月初めにかけて、ここあかつき屋には、国内外のお客様が相次ぎ、昼に夜にと、桜花観賞に出かけられました。

私も今月2日午後に、お客様のご案内を兼ねて、歩いて兼六園を訪れました。桜は今が見頃とばかりに咲き誇り、いっとき観光客になった気分を味わいました。

(花見橋付近に広がる満開の桜)
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兼六園には、いくつか花見エリアがあり、そのうち最も優れた景観を見せていると思われるのが、花見橋周辺です。私どもがふだん利用する園の小立野口からは近い場所にあります。

せせらぎにかかる花見橋。その橋にかぶさるように、桜の枝が伸びており、花は青空にひと際映えます。
来園者は、ここが絶好の撮影スポットとばかりに、こぞって花にカメラを向けていました。

その中で、とりわけ印象深かったのは、若いご家族が、お子様を高い高いをするかのように掲げて、写真を撮っている姿でした。背後の満開の桜は、そのご家族の幸せな時を演出し、祝うかのように輝いていました。

(せせらぎの両岸に連なる美しい桜並木)
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花見橋の下を流れるせせらぎの両岸には、桜並木が続きます。満開の桜は、水面に映し出され、ところどころには、花びらが浮かんでいるのが見えます。その水辺をおのずから、そぞろ歩きしたくなる風景です。