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あかつき太郎の町家日記

金沢町家ゲストハウス あかつき屋をめぐる出来事や思い、人とのふれあいなどをつづるブログ。街角の話題や四季折々の風情も紹介していきます。

あかつき屋のホームページはこちらです。

鋳物のまちの精髄見る ー金屋町-

(前回のつづき)
一度は訪ねてみたかった町、そこは高岡・金屋町です。高岡鋳物発祥の地とされ、通りには歴史的建造物群が連なり、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

今回の高岡視察ツアーでは、金沢の三茶屋街とも比較しながら、街を歩きました。いまだに職人の息遣いを感じることができ、高岡の伝統産業である鋳物製品を一層身近に感じることができました。

(歴史的な佇まいの金屋町の通り)
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この町は、藩政時代に前田利長公が、産業振興のために外部から鋳物師を呼び寄せ、住まわせたのが始まりです。ざっと400年の歴史があり、通りには千本格子と石畳が整えられ、その景観は美しく、重厚です。

ガイドさんの説明を聞きながら街歩き。通りには、今も鋳物の生産に従事する工房兼住宅が何軒もあり、さながら生きたミュージアムと言った趣。今も鋳物を生業とする家では、製造に従事する様子を見せて下さり、現在では希少となった職住一体の町を実感。

(鋳物職人さんの工房を見学)
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(鋳物資料館も訪ねました)
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通りには、高岡市鋳物資料館がありました。そこは、高岡鋳物の歴史を伝える古文書や鋳造技術を知ることができる鋳物製品や鋳造道具などが数多く展示されています。

鍋釜や鍬などは、子どもの頃から馴染んできましたが、この資料館を通じて、それらを生産する現場は長年、まさに暮らしを支える基盤となってきたのであると思いました。

同じ歴史的な通りでも金沢の茶屋街は芸妓さんが主役の伝統芸能を継承してきた町。一方、金屋町は、ものづくりや暮らしを支えてきた町。性格は異なりますが、ともに北陸の魅力を構成する重要な要素になっていると感じました。

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光る歴史資産 高岡・勝興寺、瑞龍寺

金沢に長年住んでいて、北陸には機会を見つけてあちこち訪ねている私どもですが、それでも意外と不案内のところがあります。その一つがお隣・富山県高岡です。金沢からは車で一時間もかからないところですが、重厚な趣の寺院や城跡などが数多くあり、独特の存在感を備えています。

先に行われた金沢市観光協会の高岡視察ツアーでは、そんな歴史資産をいくつか訪ねました。寺院では、浄土真宗の勝興寺と曹洞宗の瑞龍寺です。広大な敷地に凛としてたたずむその姿には、身を正される思いがしました。

(国重要文化財・勝興寺を訪問)
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(本堂でガイドさんの説明を聞く)
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勝興寺は国指定重要文化財で、港町伏木の高台に立地します。初めて訪れました。現在地に420年ほど前の戦国時代に創建されたそうで、その門構えなどから城のようとも称されています。

令和2年11月に23年に及ぶ大規模な保存修理工事が完了したそうで、建物の随所に修復を終えた後の真新しさを感じました。

流ちょうなガイドさんの案内で、あちこちを歩いて見て回りました。境内には、いくつかの門や蔵など計12棟が国指定重要文化財となっており、ただただ圧倒されるばかり。北陸の地で、新たな宝物を見つけた気持ちがしました。

(整然とした佇まいの瑞龍寺)
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(住職さんの名調子なご説明)
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高岡駅からほど近い瑞龍寺は国宝指定。私にとっては2度目の訪問です。
いつ見ても心が洗われるような、整然と配置された建造物群。ここは藩政時代に高岡の町を開いた加賀前田家の二代当主前田利長の菩提寺になっています。

特に仏殿は最高傑作の誉れが高く、造る人の建築技術と精神性の高さを誰もが感じることでしょう。この風景を見るだけでも高岡を訪れる価値があると感じます。それにしても、ツアー一行をご案内して下さったご住職さんの語り口は、聞く人をけっして飽きさせない名調子。ユーモアも交え、往時のエピソードを眼前に浮かび上がらせて下さいました。

高岡は藩政時代に金沢の地を治めた前田家とのゆかりも深く、今回のツアーで高岡がより身近になりました。北陸新幹線の有力な立ち寄り先として、改めて認識されるべきでしょう。

香川から石川県縦断 充実の3連泊

今回の3連休、梅雨が明けきっていないのではと思わせるほどに、雨が時折降る天候だったものの、金沢には大勢の観光のお客様がお越しになりました。あかつき屋においても、東から、西から、お客様がお越しになり、金沢、そして、国登録有形文化財のあかつき屋の魅力にふれられました。

その中で、3連泊の日程で石川県を車で縦断されたご家族連れがいらっしゃいました。3泊目はここあかつき屋で。お客様からはご宿泊中、能登、加賀の表情をおしえて頂きました。

(輪島・御陣乗太鼓の熱演=お客様ご提供写真)
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(豊かに生育する稲で覆われた千枚田=同)
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このご一家は、四国・香川県丸亀市の方々です。息子さんが就職して小松市内にお住まいであることから、この連休を利用して、県内を旅されたのでした。

(かわいい姿で佇むうさぎたち=月うさぎの里、同)
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奥能登・輪島では、キリコ会館での御陣乗太鼓の熱演をご観賞、その迫力に圧倒されたそうです。千枚田にも足を延ばされ、勢いよく穂を伸ばす棚田の絶景を楽しまれました。
これに先立って立ち寄られた加賀市内の月うさぎの里では、可愛いウサギたちに目を細められたようです。

香川と言えば、うどん県と言われるほどに、讃岐うどんで有名なところ。地元の丸亀にもうどん屋さんは数多くあるそうで、ご主人は、外回り仕事の出先でよくうどんをランチタイムに食べるそうです。私は10数年前に高松で讃岐うどんを味わったことがありましたが、再度食したいと思ったことでした。

(石川県内を縦断されたご家族=写真掲載了解済)
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ただ、金沢にも店舗がある丸亀製麺は、発祥が丸亀ではないそうで、兵庫県内で第一号店ができたとのことでした。

この連休ではこのほか、岐阜県内からヒップホップダンスを愛好する若者グループ、神奈川県内からは高校時代の同級生グループがお泊まりになりました。
皆様、ご宿泊ありがとうございました。

風鈴きららか お庭軒下に吊るす

記録的に早い梅雨明けとなった今夏。まぶしい日差しの下、長丁場の夏を覚悟しながら、粛々と毎日を過ごしています。

そんな中、あかつき屋ではこの度、気持ちに張りとアクセントを与える取り組みを行いました。風鈴を新調し、お庭に面する軒下に吊るしました。真鍮製のそれは、きらびやか。重厚な町家の雰囲気の中で、ひと際存在感を醸し出し、お客様の目を引いています。

(お庭の軒下に吊るした真鍮製の風鈴)
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これは6日に行われた金沢市観光協会の高岡視察ツアーで立ち寄った鋳物メーカー・能作さんで購入したものです。高岡銅器の伝統産業の一翼を担いながらも、アクセサリーやインテリア小物など新製品に果敢に挑戦する同社。社内には、風鈴や花器など素敵なデザインの商品が展示されていました。

【高岡銅器の能作さんを見学】
(スタッフによる説明を聞く)
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(工場内を見学)
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能作さんの見学では、参加者は体験活動として錫を使ったミニ置物の制作を行ったほか、スタッフによる高岡銅器や同社の歴史の説明を受けるとともに、工場での製造現場を間近に見ました。

そんな体験を経ると、買い求めたこの風鈴への思いも深くなります。お庭では、お客様との間で、風鈴談義も生まれることでしょう。

1年折り返し 畳表替えで気分一新

7月に入りました。一年の折り返し。従来なら梅雨空を眺めての毎日となるところですが、今年は既に梅雨が明け、連日異常な暑さ。住むこの星がおかしくなっているのかと思いたくなるほど、違和感を覚えます。

そんな中で、ここあかつき屋では、館内の一部模様替えを行いました。畳の表替えと障子戸の張り替えです。(僭越ながら)本格町家(町屋)のこの建物は、木や紙(障子紙、襖)、イ草(畳表の材料)などほとんど自然素材でできており、経年変化は避けられず。古くなってきたものは更新する訳ですが、その度に、気分もリフレッシュします。

(真新しい畳の据え付け作業に当たる倉西さんご夫妻)
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畳の表替えは先月末、ふだん主に事務室として利用している和室で行いました。その作業を担って下さったのは、菊川町の倉西畳さん。その畳屋さんとは創業以来のお付き合いです。

倉西さんは畳表を新しくした6枚の畳を30日の夕方にお部屋に搬入。ご主人は、すき間や段差ができないように慎重に調整しながら、畳を敷き詰めて下さいました。
お部屋は、イ草のにおいでむせ返るほど。そのにおいをかいでいるだけで、気持ちが新しくなりました。

倉西さんご夫妻とは、かれこれ12年のお付き合い。あかつき屋がオープン前に初めて青畳を入れられて、作業後ご夫妻とおしゃべりしていた時、奥さんが「娘を保育園に迎えに行かないと」と笑ってここを後にされたことが思い出されます。
そのお嬢さんも今は中学2年生だとか。夢中の日々を過ごしてきましたが、改めて歳月を感じます。

(倉西さんが下さった畳でできた灯り台)
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(夜、灯りはひと際存在感を増しました)
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     素敵な畳製の灯り置き下さる
その倉西さん。今回素敵な贈り物を下さいました。上がりの間に置いている和風照明の置台です。何と畳製で倉西さんの手作り品です。三角の形をしており、その縁(へり)には、招き猫が描かれています。

落ち着いた雰囲気の中にも、かわいらしさがあり、夜に灯りがともされるとその空間は一段と存在感を増しています。お客様には、喜んでもらえることでしょう。
倉西さん、ありがとうございました。