この春、ぜひ実現したいことが一つありました。人に言いたくないような、でも、ひそかに伝えたいようなこと。それは、白山ろくにある自生のカタクリの群生地を訪ねることでした。
地元の人の協力も得て、この度それがかないました。斜面一面に広がるカタクリの花。さわやかな紫色の花の絨毯。心身が清められる光景。霊峰白山に連なる山あいにも、間違いなく春がやって来ました。
(斜面に広がるカタクリの群生地)


その群生地は、
一昨年の秋に、白山ろくぼたん鍋プロジェクトの活動の一環として、瀬波川河畔を散策した際に、地元関係者を通じて知りました。群生地は、瀬波川河畔のキャンプ場近くの登山口から歩いて5分ほど登ったところにありました。そこへ至る山道は、人一人が歩けるほどの道幅で、ごつごつとした素朴な地肌なので、危なっかしい感じもありました。
カタクリの花の園は、突然現れました。清く、可憐な花々が、斜面一面に広がっています。「わぁー、きれい」。思わず声を上げてしまいました。日々モニタリングを行う地元の人によると、花のピークは4月10日頃だったそうですが、それでも、そんなしおれた様子はなく、心から楽しめました。
このカタクリ群生地、ハイカーらの口コミで、近年人気が沸騰。花が見頃な時は、麓の林道が車で混み、群生地一帯がスポイルされるのではないかという懸念も出てきているのだそう。
私が、このブログで紹介していいのか、ためらわれるところもあるのです。観賞に訪れるのであれば、極力貴重な自然の保全を心がけることが求められます。
(新緑が爽やかな瀬波川の河畔)

所々に残雪が見られるものの、この山あいにも春が本格的にスタートしたことが分かります。木々の緑は初々しく、爽やか。緑の斜面を縫って落ちるせせらぎの水音は心地よい。
半日足らずの白山ろくへの山行きは、心身に新たなエネルギーを注いでくれました。
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コロナ禍により、我が国と海外の間で見えない壁が立ちはだかる中、そこに風穴を空けるように、一筋の光明が差し込んで来ました。
二年前に、あかつき屋にお泊まりになったスイス人のご一家からお便りが届いたのです。
安否確認などのメッセージと共に添えられていたのは、チョコレートの贈り物。外国のみならず、遠方との往来がためらわれる風潮がある中で、この思いがけないギフトを前にすると、スイスの高原の風を感じた気分になりました。
(スイスから届いたチョコレートとお便り)

スイス・ジュネーブの田舎町で暮らす、このご一家は一昨年の7月にあかつき屋にお越しになり、延べ一週間ほどご滞在になりました。ゆっくりと金沢を楽しみたいというご意向があり、私どもも、お泊まりの間、いつしか裃(かみしも)を脱いだお世話をさせて頂きました。
あれから2年ほどが経過、世界は一変しました。お客様との間では、互いに安否を気遣うようになり、折にふれてお元気な様子がメール等で届けられると、うれしくなります。
今回のスイスからのお便りは、僥倖と言えるものでした。頂戴したチョコレートは、スイスの風土が染み込んだ味がしました。
「また、日本に来たい」とのメッセージも。本当に再会したいものです。
ご一家の皆さん、ありがとうございます。また、お会いしましょう。
築90年ほどになる、国登録有形文化財のこの金沢町家のあかつき屋。伝統的な木造建築なので、歳月や風雪がもたらす変化は、鉄筋コンクリート造りの建築物より顕著と言えると思います。それは、独特の風合いをつくる一方で、避けて通れない素材の劣化も宿命づけます。ここで宿泊業を営むということは、そんな動きにも日々目を凝らすことにもなります。
この度、お庭の板塀を修復しました。設置後10年余りが経過したこともあるのですが、
今冬の大雪で塀の上部が破損したからです。ここ専属の庭師さんに修繕を依頼。ほぼ一日の作業で板塀は見違えるように美しくなりました。
ゴールデンウイーク時には、お客様に、さらに格調が増したお庭を楽しんで頂けることと思います。
(修復が完了したお庭の板塀)

この板塀は、お隣のお庭との境をつくるもので、あかつき屋の開業に当たって、造園に造詣のある私の友人によって設計、施工してもらいました。手作りの塀で、趣を出すために、上部に細い竹棒を並べた仕切りを施しました。その竹枝は、ホームセンターで買った小さな竹ぼうきをばらして、私も一緒になって骨組みに差し込んで仕上げました。
板塀は今回初めて本格的な修復に着手しました。何といっても、先の一月の大雪が響きました。添え木が破損し、差し込んであった竹棒の落下も目につくようになったからです。
(風合いを出すためにガスバーナーで板塀を焦がす)

(上部に竹棒を並べ趣深く)

この度の修復では、庭師さんたちは、板塀を取り外した後、それにガスバーナーを吹き付けて焼き、黒っぽくしました。破損した添え木を取り替えるとともに、上部には、新たな竹棒を差し込みました。
丁寧な作業で、修繕が終わったお庭は、さらに磨きがかかったように、美しくなりました。
そばのツツジは、花のつぼみをつけ、様々な木々は、新芽を伸ばしてきています。和風美の中に、清新な息吹が放たれています。ゴールデンウイークを控え、お客様をお迎えする準備は整いました。
日ごとに春の鼓動の高まりを感じます。あかつき屋の近隣にあるお寺・常福寺さんの境内で朝市が再開されました。野菜や果物、花などが並び、店頭は彩り豊か。近所の人たちが訪れ、旬の品を買い求めました。
静かな住宅街にあるこのお寺。ここに人が軽やかに行き交う姿は、長かった冬に終わりを告げたことを象徴しているよう。訪れた方々の表情に、やわらかなものを感じました。
(朝市が開かれた常福寺さん)

この朝市は、4月から11月の間、毎週水曜日の朝8時頃から開かれます。お世話されている男性によると、8年ほど前に、金沢市の買い物難民の解消事業の一環として始まりました。
(店頭に並んだ品々)


(訪れた人は、お買い物しながら歓談も)

この日、店頭に並んだ品は、ニンジン、里芋、ネギ、シイタケなどの野菜のほか、オレンジなどの果物や花などでした。主催者によると、まだ春の走りとあって、地物は少なく、市場で仕入れたものが大半とのこと。それでも、市内の五郎島のサツマ芋や夕日寺地区のほうれん草などがありました。手作り品として、フキノトウ味噌があり、私は野菜やお米とともに買い求めました。
高齢者が多いこの地区の住民にとって、この朝市は、春を告げる歳時記の一つになっているよう。久しぶりに顔を合わせ、歓談する光景がありました。
私も、ご近所さんと再会のあいさつをした後、しばし世間話に興じました。
例年に比べ、10日ほども早くなった桜の開花。満開になるのも早く、城下町金沢の春の代表的な風景を見逃すまいと、あかつき屋のお客様のみならず、自分たちもその名所を訪ねています。
2日は、兼六園・金沢城の無料開放の最終日。夕食を終えた後、夜桜見学のために、兼六大通りを歩いて、名園界隈を訪れました。紺屋坂付近には、既に観桜客の人波ができており、春の訪れを満喫したいという思いの人が大勢いることを実感しました。
ライトアップされた桜の木々は、幻想的な美しさを見せており、華やいだ雰囲気に包まれました。
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(石川門付近)
この日は、国連が定める「世界自閉症啓発デー」とあって、石川門は、そのシンボルカラーであるブルーにライトアップされました。

昨年の4月は、初めて遭遇する新型コロナの不気味さにおののいて、花見のシーズンも、「ステイホーム」の掛け声の下、一歩も外に出られないような雰囲気がありましたが、今春は「マスク着用」「三密回避」「ソーシャルディスタンス」などの行動指針の広がりもあって、コロナの深刻感は薄れ、兼六園ゾーンの観光客もこのところ目立ってきました。
「with コロナ」時代の観光シーズンの幕開け。私たちも身近な観光名所で片時花見を楽しんだ次第。金沢城散策でのスナップ写真を紹介させて頂きます。
(五十間長屋と、お堀そばの桜)

(お堀に沿った桜並木)
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