「こまちなみ」に指定された天神町界隈を散策する、金沢再発見市民モニターツアーの2回目が26日に行われました。天候が心配されましたが、開催時間中雨は降らず、猛暑だった
8月末の初回と違って、参加者の皆さんは秋の風情も感じながら、落ち着いて街歩きを楽しみました。
最終回となる2回目の天神町街歩きでしたが、ボランティアガイドさんの案内により、新たな発見も数多く、参加者にとっては、驚きとともに好奇心をかきたてる地元旅になったようです。
(椿原神社の門前通り。秋祭りで露店が並びます)

今回も市の観光ボランティアガイドで、天神町在住の紺谷啓さんの案内で実施しました。
一行は、椿原天満宮さんに集合。宮司さんからは、この神社のいわれの説明を受けた後、同神社が所蔵する天神堂を見せてもらいました。天満宮は、学問の神様・菅原道真をまつっているだけに、参加者はありがたく天神堂を拝み、写真に撮るなどしていました。
この後、紺谷さんの案内で街歩きをスタート。この日は、同神社の秋祭りの最終日に当たり、鳥居前には、何軒もの露店が並んでいました。
この天神町の通りは、金沢城から富山・福光方面へ通じる主要な街道だったことから、藩政時代から昭和の初めにかけて、様々なお店ととともに、職人さんも数多く住んでいたそうです。
(町家の玄関上には、古めかしい表示板二つ)

鍛冶屋、大工、髪結い、畳屋、刻みたばこのお店等々、職人という職人はすべて住んでいたのではないかと思われるくらい、種々雑多の職人の家が並び、紺谷さんは、今では建て替わった家屋をも指しながら、一つひとつ説明して下さいました。
空き家になった古い家屋の玄関上に、珍しい表札を二つ見つけました。それらには、何やら古めかしい字で文言が記されています。
「押売、物貰、強談厳禁 廣坂警察署(電話七番)」「油断大敵 火の用心 大日本消防協會 石川懸支部 金澤消防組」。当時の世相をリアルに映す表示板です。参加者は自然とカメラを向けていました。それにしても「強談」とは何のことでしょう。
(元桶屋だった、りんの一級建築士事務所さんの建物を見学)

途中、国登録有形文化財に指定された、りんの一級建築士事務所さんの建物に立ち寄りました。ここは以前、桶屋だったところで、私は、37年前ほどに訪ねたことがあります。懐かしい建物です。
女性建築家の林野紀子さんが7年前ほどにその町家をリフォームされ、今はご自身の仕事場兼自宅として使っておられます。
林野さんは、金沢町家特有の間口が狭くて縦長のこの建物について、建築家の立場から丁寧に説明して下さいました。
木曽坂ふもとの寺院群を通って、最終目的地の曹洞宗の古刹・松山寺さんに到着。一行はご住職から藩政時代に加賀藩の重臣だった横山家と、このお寺とのかかわりについて説明を受け、引き続いて、座禅堂で座禅に臨みました。
(きれいな和菓子とお茶で一行は一服=松山寺)

最後は、広間で休憩と懇談。各席の前には、兼六園下にある中島菓子店の和菓子とお茶が出されました。
出席者は今日一日を振り返りながら、「観光ガイドブックに出ていない名所を知ることができて興味深かった」とか「学生時代に(お城にキャンパスがあった当時の)金大生だったので、この界隈の街歩きは、懐かしかった」などの感想が寄せられ、次回のツアー企画を期待する声もありました。
企画、運営に携わらせて頂いた、あかつき屋。二回の街歩きを無事終えることができ、スタッフ一同ほっとしました。関係者の皆様、ご協力ありがとうございました。
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この秋最長の四連休(シルバーウイーク)が終わりました。夏のお盆時期が「コロナ」への警戒もあり、人の動きが鈍かったのですが、この連休は、それも薄らぎ、金沢にも一気に観光で訪れる人が増えました。どの観光スポットも人であふれ、改めて金沢が傑出した観光地であることを実感した数日間でした。
その中で、あかつき屋へも数組のお客様が訪れ、それぞれ思い思いに過ごされました。そのうちの一組は、こちらに連泊でご滞在中、近くの兼六園へは三度足を運ばれるなど、お気に入りの場所は、ディープに体感され、兼六園の底知れない魅力を感じました。
(秋たけなわの美しさを見せる兼六園=お客様ご提供写真)

こちらに二泊されたのは、群馬県太田市にお住まいのTさんご一家で、ご夫婦と息子さんでお越しになりました。
10年ほどゲストハウスを営んでいますが、Tさんの観光街歩きには、目を見張るものがあり、感嘆しました。あかつき屋から望める兼六園は、三日間すべて訪れました。夜のライトアップも含めて、とてもきれいだったと、ご家族は、口をそろえられました。
(美味と好評だったあまつぼさんのおでん=同)

金沢おでんにも魅せられたそうです。老舗のお食事処「あまつぼ」さん(柿木畠)へも二晩続けて通われました。「車麩、大根…どれもサイコーでした」とのことでした。
(金沢を満喫されたTさんご一家=写真掲載了解済)

Tさんご一家に限らず、いずれのお客様も「金沢は、食事がウマイ」とおっしゃられました。
(お客様が旅の思い出を記されたお宿ノート)

忙しくさせてもらうと、こちらも活性化し、金沢町家のあかつき屋も、輝きを増すように感じます。貴重な四連休でした。
皆様ご宿泊ありがとうございました。また、お気軽にお越し下さいませ。
未曽有の猛暑が続いたこの夏、そして初秋も、ようやく名実ともに、本来の季節を体感するようになりました。そして空模様が、いち早くそれを知らせてくれました。
「夏は夜」「秋は夕暮れ」。清少納言の枕草子を引くまでもなく、北陸・金沢の天空にドラマチックに広がった風景は、心を少なからずときめかせるものでした。
(夜、黒い瓦屋根の上に浮かんだ満月)

8月の終わり。夜、浅野川界隈をそぞろ歩いていた頃。東の空に満月が浮かんでいました。煌々とした光を放っています。
その下には、金沢ならではの黒瓦の家が並んでいます。瓦屋根は、その光を受け、白っぽく輝いています。
日中が、厳しい暑さだっただけに、ほっとする光景。浅野川からの、さわ風も加わり、火照った心身を鎮めてくれるようでした。
9月に入り、ある日の夕暮れ時。あかつき屋の中高年のお客様グループが夕食に出かけるため、玄関を出た途端、留まっています。そして、歓声が。
私も外に出たところ、見事な夕焼け空が、西の兼六園方向に広がっていました。
(あかつき屋の前で広がった見事な夕景)

青空と、たなびく雲と相まって、何とも言えない景観をつくっています。兼六園の上空は、火が焚かれたように明るく、そして、空はこちら側に向かって、照度が落ちるのとともに、繊細に色を変えていきます。天空の絶妙なグラデュエーションです。
新型の感染病により、世にどことなく漂う不安感をも忘れ、しばし、大自然の恩恵に身をゆだねた時間でした。