かつては当たり前だったのに、妙に懐かしく、新鮮に感じる光景と出会いました。あかつき屋の客間に備えてある年代物の鏡台が傷んだので、建具職人さんに直してもらったのです。職人さんは、かんなや、のこぎりなどを手慣れた様子で扱い、鏡台を元通りにして下さいました。
昭和一桁生まれの国登録有形文化財のあかつき屋。建物だけでなく、そこに納まる家具や建具も、当時を伝える遺産として貴重で、鏡台がこのように職人さんの手で、再び息を吹き返したことで、心中は充足感で満たされました。
(材木町にある福岡建具工業さん)

今回修理してもらった鏡台は、以前にここにお住まいになっていた家主の女性の方のもので、あかつき屋が町家のゲストハウスとして開業するに当たって、譲って下さいました。その方は既に他界されましたが、この鏡台は少なくとも80年は経過していると思われます。
この鏡台、さすがに寄る年波に勝てず、最近鏡台の土台と鏡を固定する支柱との接続部にぐらつきが出始めたので、建具屋さんに直してもらうことにしたのです。
修繕は、あかつき屋の網戸などを作って下さった福岡建具工業さんにお願いしました。福岡建具さんは材木町にあり、あかつき屋のお客さんとよく出かけるパン屋の森長さんまでの通り道にあります。
(昭和時代の製造か、年代物の鏡台)

(鏡台の修繕に当たる職人さん)

ここにお越しになった職人さん。鏡台の構造についてはすぐに合点がいったようで、支柱などの部品がぐらついた部分の隙間を埋めるために、手際よく木材を削って作った薄板をはめこみ、支柱が不安定にならないように、固定して下さいました。
(縁側の引き戸も直してもらいました)

合わせて、2階縁側の引き戸にも、開け閉めに不具合があったので直してもらいました。どうも戸車が不安定になっていたようです。これも、大工道具などを使い、正常な状態に戻して下さいました。
職人さんが木材にかんなをかけたり、金づちやのこぎりを扱う様を見たのは、いつ以来でしょうか。コロナ渦もあって、オンラインやリモートが時代を制するような勢いの中にあって、職人さんが私の目の前で繰り広げられた手仕事は、インパクトがあり、ついこないだだったような、昭和にタイムスリップした感覚になりました。
この家の前のオーナーさん、鏡台や黒ダンス、足踏みミシンなど年代物の家具類は、引き続き大切に守っていきます。
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春のゴールデンウイークがコロナ禍で事実上消失したので、今年初めての大型連休となった、この度の四連休。あかつき屋へは、様々なお客様がお越しになり、それぞれに城下町金沢、そして国登録有形文化財のあかつき屋でのご滞在を楽しまれました。
今回の連休は、新型コロナウイルスが収束しない中でのことだったので、万全の感染対策を実施。お客様は、そこらへんは心得ておられ、お一人お一人検温などに協力して下さいました。
(お泊まりになったお客様。お一人が誕生日をお迎えに
=写真掲載了解済)

あかつき屋では、コロナ対策として、既に各所にスプレー式消毒液を配置したほか、受付場所では、飛沫防止用の衝立型の透明シートや空気清浄機を設置。換気や清掃にも一段と力を入れています。
今回は、非接触型体温計でお客様個々に検温を実施。さらに、体温のほか、お名前、住所、電話番号等などを収録する宿泊者名簿を設け、お客様に協力をお願いしました。
いずれのお客様も、お宿側のこうした取り組みは当然のことといわんばかりに、快く応じて下さいました。お宿ステイが明らかに変わったことを強く実感した時間でした。
この四連休、お越しになったお客様は、大学時代のご友人や、職場の同期入社の方など、比較的若い人で占められました。
その中で、九州からお越しになった女性グループの中で、ご宿泊中に誕生日を迎えられた方がいらっしゃいました。
こちらのお客様たち。どこでお知りになったのか、もりの里にある第七ギョーザを訪れテークアウトされ、海天寿司田上店で日本海の幸を満喫されました。
(お客様がお宿ノートには「疫病退散!」のフレーズも。
右には、検温に使用する非接触型の体温計)

楽しいご滞在だったようで、お宿の自由帳には、旅の行程とともに、「疫病退散!」の文言も記されました。本当にそうですね。
いずれのお客様もご宿泊ありがとうございました。また、来て下さいね。
「Go to キャンペーン」の登録宿泊施設へ準備なお、「Go to キャンペーン」では、あかつき屋は登録宿泊施設になるよう、準備を進めています。決まり次第、再度ご案内しますので、よろしくお願いいたします。
金沢再発見市民モニターツアーの一つとして、金沢の下町・天神町周辺の「こまちなみ」を散策する催しが、8月29日(土)、9月26日(土)の両日午前に開催されます。あかつき屋から近い天神町界隈は、由緒ある寺院や神社、町家、個人商店などが数多く残り、昭和の香りが今も漂います。
この街歩き当日は、地元の観光ボランティアガイドとともに、あかつき屋の私たちスタッフがお世話させて頂きます。参加は無料で、ご一緒に昭和ノスタルジーに浸りませんか。
(歴史的建造物が続く天神町の家並み)

このモニターツアーは、金沢市と金沢市観光協会が初めて企画したもので、ツアー参加者には、ツアーの様子をSNSで発信してもらい、観光振興に役立てます。
市と観光協会は、観光事業者などに様々なツアープランを募集。あかつき屋では、こまちなみ天神町の散策を提案し、採用されました。
(地元住民に親しまれている鮮魚店「越吉」)

催し開催当日は、朝8時15分に椿原神社鳥居前に集合。同8時35分にここを出発し、かつて農夫が馬を引いて登ったと言われる馬坂の不動尊に立ち寄り、その後、町家の魚屋さん「越吉」(うなぎのかば焼きや、ホッケの色付けなどが人気)、かつて桶屋だった国登録有形文化財の町家「りんの一級建築士事務所」に寄ります。
(曹洞宗の古刹・松山寺)

最後の訪問地は、八坂横の曹洞宗松山寺。ここでご住職からお話を聞いた後、15分ほど座禅に臨み、その後、地元和菓子店の銘菓とお茶で、ティータイムを楽しみます。
この催しは、いくつもの穴場的名所を訪問できるという魅力があるのですが、中でもこれまで一般公開されていない松山寺の本堂や座禅堂などに入り、ゆっくりと時間を過ごすというのは、この上ない体験になるかと思います。
(金沢再発見市民モニターツアーのチラシ)

金沢市民(金沢への通勤・通学者も含む)の方々には、ぜひお薦めしたいと存じます。ご一緒しませんか。
詳細は、
ここにアクセスして下さい。
ことのほか、雨の日が多い今年の梅雨。雨が上がっても、なかなか、まぶしい夏の日差しとはいかず、空模様と同様に、トーンの低い日が続いています。
そんな中で、懸命に日本の文化、特に金沢町家について学ぼうとする外国人留学生らをここあかつき屋にお迎えしました。真剣な表情で、国登録有形文化財に指定されている建物の中を見学し、鋭い質問も。鬱陶しい雰囲気も吹き飛び、身が引き締まる時間を過ごしました。
(家の前では、流木に紫陽花などの飾りつけ)

(玄関円窓前でも、生け花爽やかに)

あかつき屋では、梅雨のシーズンでも、快適に過ごしてもらおうと、屋内外で様々なしつらえを施しています。建物の前では、流木を設置。そこに紫陽花の花や沙羅の草木などを配して爽やかさを演出しました。
玄関では、花器に季節の花数種類を生け、円窓の前に彩りを添えています。
この日、あかつき屋を訪問されたのは、金沢大学の外国人留学生9人と、その留学生らの指導に当たる金大国際機構の松田真希子教授、一級建築士事務所を扇町で開く林野紀子さんの両先生です。
留学生の母国は、スペイン、ドイツ、ロシア、中国、インドネシア、タイなど様々でした。
学生さんらがお着きになると、早速、中をご案内。二階のお座敷では、床の間や網代天井、欄間など、日本家屋独特の造りを説明。西側の6畳の間では、「ここから兼六園の森が見えるんですよ」などと説明。皆さん興味深げに、聞き入っておられました。
一通り中を紹介した後、一階コミュニティルームで、準備したペーパーを基に15分ほどレクチャーさせてもらいました。テーマは、「金沢町家を観光的アクティビティーの拠点に」。
お宿の歴史や構造などのほか、私が日頃取り組む活動などについて説明。あかつき屋界隈は町家や寺社のほか、今も特長ある個人商店がいくつも残るところ。この宿を拠点に、お客様と住民や町家、寺社、お店などをつなぐ活動を繰り広げていること。そこから、お客様には、金沢のリアルな日常を感じてもらうように努めていることなどを話させてもらいました。
(お越しになった金大の留学生と先生方=写真掲載了解済)

留学生からは「建物と人々の暮らしのどちらが重要ですか」という質問を受けました。建物と生活は不可分なもので、両者が一体となって、暮らしが営まれており、どちらが重要とは言い切れない。「家屋は、この土地の風土の中で育まれてきたもので、あかつき屋では、お客様には、そうした点を感じてもらいたいし、そのお手伝いをしたい」と返事をしました。
ここでの滞在が、30分ほどの短い時間だったので、どれくらいの成果があったのか、もどかしさもありましたが、留学生たちの真剣な眼差しを見ていたら、学生さんたちには、それなりに得るものがあったのかな、と推察しています。
金沢、さらには、ここ賢坂辻界隈と世界をつなぐ金沢町家。改めて、ここを舞台にしたお宿業の原点を見つめ直すひとときとなりました。皆様ありがとうございました。
金沢市消防局で、宿泊施設のお客様を守ることを目的とした「金沢ゲストセイバー講習」が開かれ、参加しました。心肺蘇生法のほか、救急通報などを学びました。
心肺蘇生法の実習では、実際に人形相手にその手順を学習。先生役の消防署員から、お手本を見せてもらった後、トライするのですが、即、習った通りにはいかず、その難しさも感じました。
(消防署員から心肺蘇生など学びました=写真掲載了解済)

今回参加した講習は、今年3月に開かれる予定のものでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大でこの日に延期されました。
少人数で受けた講習。心肺蘇生法の学習では、胸骨圧迫や人工呼吸の仕方を教わりました。
胸骨圧迫による蘇生法では、周囲の安全確認や傷病者の意識確認などを行った上で、傷病者に対して、胸骨の下半分を重ねた両手で、強く、速く、絶え間なく圧迫しないといけません。体重をかけるように行います。
結構骨の折れる作業で、お年寄りなどは、その圧力で肋骨が折れることもあるそうです。1分間に100~120回の速いテンポで胸を圧迫する必要があるそうで、実際にやってみると、こちらが息が切れそうでした。
傷病者の口に、直接口から息を吹き込む人工呼吸法については、新型コロナの感染拡大以降は、望ましくないとされている、とのことでした。
このほか、AEDの使用法についても、実習しました。2枚の電極パッドを傷病者の胸と脇腹付近にそれぞれ貼り付け、心電図を解析、場合によって、電気ショックを与えます。これも時間との戦いになります。
(頂いた修了証やピンバッジ)

数時間の講習後、消防局から受講修了証と普通救命講習Ⅰ修了証、そして「証明章」に相当するピンバッジを頂きました。
お宿内で実際に救命処置を施すケースがないようにしないといけない訳ですが、何が起こるか分からないご時世。今回の講習を無駄にしないようにと肝に銘じたことでした。修了証に恥じないように。
梅雨空が続きますが、気持ちが明るく、心和む時間を過ごすことができました。地元金沢の人らがあかつき屋にお泊まりになったのです。
金沢在住のAさんは、遠方のご友人が金沢にお越しになることになり、その方とご一泊されました。一帯の兼六園界隈はおなじみのところではありますが、ご友人とこの金沢町家で旅気分を味わわれました。
(お泊まりになったAさん・真ん中とご友人・左。右はAさんのご主人
=写真掲載了解済)

Aさんは、このご宿泊に当たっては、金沢市観光協会が主催し、あかつき屋も参加した、
地元在住者らを対象とする割引宿泊プランを利用されました。7月20日までの期間、あかつき屋では、一組限定となりますので、宿は貸切同然、ごゆっくりと過ごされました。
お泊まりの夜、Aさんは、ご友人を片町にご案内し、地元グルメのハントンライス発祥の店グリルオーツカさんなどでご夕食。「お腹いっぱいになりました」と帰って来られました。
(雨に濡れて落ち着いた佇まいのお庭)

翌日には前日から降り続いた雨も上がりました。お庭は、雨に濡れて、しっとりと落ち着いた佇まいに。お客様は、縁側で緑濃いお庭を眺めながら、昭和の雰囲気漂う町家の風情に浸られました。チェックアウト前には、Aさんのご主人が一度あかつき屋を見たいとお越しになり、館内を見学されました。
Aさんは、あかつき屋については、以前からご存じだったとのこと。開業のきっかけや取り組みなど関心をもって聞かれたので、お話させて頂きました。
ここに興味をもって頂くということは、大変ありがたいこと。梅雨の真ん中で、元気を下さったお客様でした。
皆様ご宿泊ありがとうございました。
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