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あかつき太郎の町家日記

金沢町家ゲストハウス あかつき屋をめぐる出来事や思い、人とのふれあいなどをつづるブログ。街角の話題や四季折々の風情も紹介していきます。

あかつき屋のホームページはこちらです。

心和ます桜並木 -桜花点描-

朝から晩まで、巷を覆いつくす新型ウイルスの情報。見えない敵であるだけに、もどかしさと不安感が付きまとう毎日です。

そんな中で、気持ちを和ますのが、花の佇まいが満開へと向かう桜。兼六園のみならず、あちこちに桜並木があり、その美しさに歩を止めることがあります。

(並木町、梅の橋付近の夜桜)
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浅野川をはさんで、ひがし茶屋街の対岸にある並木町。ここは夜の散歩コースでもあります。
年度末の節目の夕食を終えて、しばしこの道を歩きました。河畔には、満開に近い桜が。花々はライトに照らされて、光彩を放っています。

今年は、そのウイルス渦で、桜を愛でる空気は後退していますが、やはり美しいものは、美しい。見ているだけで、気持ちが一気に明るくなりました。自粛ムードもあり、桜を観賞する人は減っていますが、桜は例年通りの見事さです。
この界隈は、家並みや木造の梅の橋もあり、和の趣にあふれるだけに、この花見のチャンスは、逃すのは惜しい、と思います。

兼六園はこの時期、無料開放され、金沢城の桜も際立っています。城下に織りなす桜絵巻は、少なくともあと一週間は、続きそうです。

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追悼 志村けんさん、金沢和傘職人も

弥生3月も最終盤になって、衝撃的なニュースが飛び込んできました。日本のお笑い界の大御所・志村けんさんが、新型コロナウイルスの感染で亡くなったというのです。子どもの頃からテレビでお馴染みで、随分と楽しませてもらった希代のエンターテイナーの志村さん。それが、今世界を震撼させているウイルスの犠牲者になるとは。その訃報に接したときは、言葉を失いました。

一方で、同じ3月29日に、金沢では、得がたい人物が95年の人生の幕を閉じました。金沢和傘の職人松田弘さんです。こちらは、報道によると、老衰だったそうですが、金沢の伝統工芸の一つ、金沢和傘を長年支え、91歳まで現役で働いてこられました。

二人の人物。活動したフィールドは異なりますが、その秀逸な仕事ぶりと、尋常でない仕事への情熱は、私たちの記憶に深く残るものでした。

志村さんは最後は、お笑い界の重鎮として君臨しましたが、私が子供時代、テレビの『8時だよ 全員集合』で、最初‟見習い”として出てきたのを覚えています。その後、『東村山音頭』で大ブレーク。それからの活躍は、言うまでもないことです。

彼の生涯をルポしたNHKの「ファミリーヒストリー」などによると、ドリフターズに入って間もない頃、楽器運びなどの下働きをさせられ、食事では、ドリフのメンバーが食べ終わったラーメンの残り汁をすすって空腹を満たしたこともあった、というエピソードが紹介されていました。

「なにくそ」「今に見ておれ」。そのハングリー精神が、今日の成功の原動力になったようです。彼の笑顔の陰には、火の玉のような熱い魂と底知れない向上心が、あったのでした。

一方、和傘職人だった松田さんの場合は、大業を成し遂げての大往生と言ってもいいのではないでしょうか。和傘職人の二代目として、精進を重ね、雪国の風雪に耐えうる丈夫さと、鮮やかな色あいの和傘を世に送り出したのでした。

実は、私が松田さんを身近に感じることになったのは、営むあかつき屋のお客様が6年前、松田さんのお店を訪ね、松田さんが精魂込めて作った和傘を買って来られるという一件があったからでした。

松田さんは既に高齢ながらも、かくしゃくとそのお客様と応対し、傘づくりのご苦労などを話されたのでした。今思えば、私も松田さんにお会いしておけば良かったと悔やまれます。
しかし、その技は今、三代目の次男・重樹さん(61)に継承されており、金沢の貴重な伝統工芸は輝きを失うことなく、身近に存在することになったのです。

様々な人生が交錯する年度末3月。全く予期しなかった感染病の難題と対峙する毎日ですが、生を燃焼させた二人の人物の訃報に接し、今を悔いなく生きることの大切さを思い知ったことでした。

桜が開花 のれんは衣替え

春を迎える。長かった冬を経て、訪れる春。その象徴とも言えるのが、桜の花。

三寒四温の気候が続く中で、金沢では26日、桜の開花宣言がありました。暖冬のせいもあって、平年より9日早い、統計開始以来、最も早い開花だそう。これから季節は、足早に進んでいくのでしょうか。一年の大きな節目では、あります。

(玄関に桜の花模様ののれんを飾りました)
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今年は、例の新型ウイルス事案で、例年にない気持ちで、桜の開花を迎えています。その感染は、グローバルに広がっています。
個人や家庭や地域社会、さらには、国家、世界が、かつて経験したことのない試練と向き合っている様相です。人の動きには、大きなブレーキがかかっています。

当然、宿泊業にも影響が及び、ここあかつき屋も、例外ではないです。桜の季節を迎えても、得体の知れない不安感の下にあります。性格は異なりますが、2011年3月に発生した東日本大震災の当時を思い起こさせます。

しかし、やるべきことは、いろいろとあり、普段と変わらず、粛々と仕事を進めています。
桜の開花に合わせて今日、玄関に桜の花模様を大きく描いた、オリジナルなのれんを掲げました。3年前に、地元の金沢美大生にデザインして頂いたものです。周囲に光彩を放ち、これ一つだけでも、ぐっと明るくなります。

(大手堀では、桜並木の花が咲き始めました)
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今日、街なかを移動した際に、桜がほころんでいる風景と出会いました。金沢城に隣接する大手堀の桜並木です。この日は、雨模様で、桜の花もまばらだったので、華やかさからは遠かったですが、季節の変化は、確かに感じることはできました。
傘をさす人の姿と、どこかマッチしていました。

春の観光シーズン本番へ。あかつき屋から近い兼六園では、3月30日(月) から 4月5日(日) までの7日間は無料開放となり、その期間、日没から午後9時半までライトアップされます。

(雪吊りが外され、勢いを得たかのような松の木)
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桜の開花宣言の前日。あかつき屋では、庭師さんによって、お庭の松の木の雪吊りを外してもらいました。職人さんは手際よく、左右に伸びた枝に縛ってあった縄を解き、支柱を取り外しました。

それだけですが、松の木は青空の下、生気を得たよう。来訪されるお客様には、春のお庭の魅力にふれて頂けそうです。

初めての金沢 「おしゃれで素敵!」

春休み。学生さんのお泊まりがありました。京都の大学で学ぶ女子大生お二人です。

念願の金沢に初上陸。お越しになった日は気温20度以上になり、春本番を思わせるような陽気に。軽快に、活発に街を歩かれ、金沢の魅力を堪能されました。

(昼頃、サンダーバードで金沢駅到着=ご提供写真)
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金沢は、京都と同じ歴史都市ですが、「金沢の方が素敵です。街なかにはセレクトショップもたくさんあり、刺激的。思った以上で、来て良かったです」と笑顔。

(金沢21世紀美術館で思い思いに過ごす=同)
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兼六園に続いて訪れた金沢21世紀美術館では、球形の鏡が組み合わされたオブジェの前で、自身の姿を思い思いに映してみました。「インスタ映えしたでしょうか」(笑)

夜のお食事は、柿木畠のあまつぼさんへ。
「おでんやどじょうのから揚げ、牛筋を食べました」。一日の疲れも吹き飛んだようです。

(「最高の一日でした!」=同)
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二日目は、近江町市場やひがし茶屋街へ行く予定。
「海鮮丼など食べ歩きます」。ワクワクドキドキの金沢旅、「夕方までいます」。

ご宿泊ありがとうございました。

北陸縦横無尽 ‟飲み仲間5人”

新型ウイルスでなんとなく世に漂う不安感を一掃するような、エネルギッシュな金沢ステイでした。男性5人のお客様グループ。ここあかつき屋に二泊されました。

二泊目は、レンタカーで能登へ福井へ。北陸ならではの景勝にふれ、完全燃焼の三日間となりました。

(福井・東尋坊で。「火サス気分」=ご提供写真)
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お客様は、千葉県内の居酒屋に集う「飲み友で、平均年齢35歳」(お客様)だそう。このうち一人は二年前に転勤となり、赴任先の奈良県内から金沢に駆けつけました。

二日目は、アクティブな一日に。レンタカーを借りた後は「八幡のすしべんで朝ご飯を食べ」(同)、能登羽咋・千里浜へ。そこで「カースタントをしました」。(危なくなかったかな。気をつけて、安全運転をね=筆者)。

その後は、高速に乗り、一気に県境をまたいで越前海岸・東尋坊へ。
「火サス(火曜サスペンス劇場)ごっこをしました」(同)。

(日本自動車博物館で=同)
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帰りは、小松の日本自動車博物館へ。日本の名車やオールドカーに目を見張りました。
「乗り物は男のロマンです」(同)。

(金沢駅で「オバショット」=同)
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金沢市内に入ると、スーパーどんたくに立ち寄り、地元民のようにお惣菜を買い、あかつき屋で地酒とともに二次会。楽しく夜は更けていきました。

(あかつき屋で最後の宴)
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躍動感にあふれる皆さんに接していると、もやもやした気分も吹き飛びました。ご宿泊ありがとうございました。
また、お会いできる日を楽しみにしています。

梅が満開 春へ高まる鼓動

いつ、いかなる時も、季節の趣を身体で感じたい。目下、世界に広がる件(くだん)の感染病の時であっても。

金沢は、そうした点において、恵まれた土地です。兼六園をはじめとした名園や地元では知られたお庭が身近に点在しているのですから。
あかつき屋から歩いて行けるところにある兼六園。今、そこは梅の花が満開でした。

(花が満開となった兼六園の梅林)
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兼六園の梅林では、白梅、紅梅の花がちょうど見頃になっていました。暖冬の影響で一週間ほど早い開花前線でしょうか。
明るい日差しの下、観光客の方々が多く集まり、カメラを向けるなどしていました。

梅林の敷地に流れるせせらぎも、可憐な梅の花々と相和し、早春の清らかな風景をつくっていました。

(つがいのカモがたたずむ霞ケ池)
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園内で最も大きい池・霞ケ池は、その広々とした水面に青空を映していました。片隅にカモのつがいが。何の憂いもない、その姿に心が和みました。

(女性の着物姿も見える金沢城付近)
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兼六園から金沢城へ。ここも観光客が、そぞろ歩いていました。ここでは感染病騒動の雰囲気を全く感じることができません。
女性の優美なお着物姿が、あちこちで見られました。

この時季、この場所でしかできない、身のこなし、過ごし方。城下町金沢の令和の早春は、輝きを失っていません。