(前回のつづき)
小浜は、福井県嶺南地方において、独特の存在感をもっています。それは、「海のある奈良」と呼ばれるほど、国指定の文化財や国宝が数多くあるからです。山ぎわには、長い歴史のある寺院が連なっており、静かに佇むその寺院群を歩いていると、古(いにしえ)にタイムスリップしたような心境になります。
小浜のこの古い町は、私どもの友人の案内で回ったのですが、晩秋の晴天の下、絶景や地元の人との出会いに胸をときめかせながらの散策となりました。
(青空の下、色づいたイチョウがまぶしいほどだった高成寺)

最初に訪れたのは、海に近い臨済宗の古刹・高成寺です。ここは、元々は暦応2年(1339年)に足利尊氏の命を受け諸国に建立した若狭国安国寺で、康永3年(1344年)に炎上したため、若狭守護であった大高重成が高成寺として再興したのだそう。
まず目を見張ったのは、私たちを迎え入れるように、イチョウの木の葉が、まぶしいほどに輝いていたことでした。今年最後の秋を謳歌。そんな風情です。
境内をしばしそぞろ歩き。その充実のひと時から、今日の小浜探訪が実りあるものになろうと予感しました。
(三丁町の古い街並み)

(老舗の料亭も)

友人が次に案内してくれたのは、このお寺に隣接してある、三丁町です。ここは江戸時代に遊郭街があった場所で、今も古い家並みが残ります。現在はここの西組に属する街並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
金沢の茶屋街を思わせるような、趣のある通り。いくつか残る格式あるお料理屋さんは、今も料亭文化がこの町に息づいていることを想像させます。
友人は、この寺院群の中でも、観光スポットと呼べるような場所に案内してくれました。そこは、後瀬(のちせ)山の山裾、やや急な階段を登ったところにありました。
(山腹にある常高院の墓所)

戦国時代から江戸時代前期に生きた常高院の墓所です。常高院は、若狭小浜藩の藩主京極高次の正室で、本名は浅井 初(はつ)。父は近江国小谷城主・浅井長政、母は織田信秀の娘・市(織田信長の末妹)で、歴史上の重要人物です。
ここからやや下に立地する初の菩提寺の常高寺の敷地には、JR小浜線の線路が通っており、列車が走る様子が見えるそうです。
常高院のお墓のそばには、彼女に仕えた女性たちのお墓が並んでいました。紅葉に彩られ、森閑とした中に建つお墓。観光客でごった返して、俗化することがなければと思いました。
小浜の神宮寺では毎年3月2日に、「お水送り」の行事が行われます。同12日に奈良・東大寺の二月堂で行われる「お水取り」に向けてのものです。
このほかにも歴史的資産や風物が多く、見どころが多い街です。
北陸新幹線が通るのは、まだまだ先のこと。古い街並みは、素朴な味わいを保ちながら、今も人々の穏やかな暮らしが営まれていることが分かりました。
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あかつき屋の研修視察として、福井県の若狭小浜を訪れました。北陸新幹線の整備では、小浜は、2023年に開通が予定される敦賀の後、数十年後に新幹線停車駅が開設され、京都・大阪とつながることになります。今後は交通の要衝としても大きな役割を果たすことになります。
一方、小浜は藩政時代、鯖などの魚介類を京都へ運んだ「鯖街道」の起点であり、近年「食のまち」として、注目を集めています。そうしたことから、数年ぶりにその地に足を運びました。
(道の駅で食べた鯖カレー)

今回は、金沢からは北陸自動車を使い、敦賀を経由し舞鶴若狭道を通って小浜に到着しました。これまで敦賀からは、下道を通って若狭方面に行っていただけに、わずか2時間余りで小浜のインタチェンジに到着。随分と近くなったな、と感動すら覚えました。
インタチェンジ近くの道の駅「若狭おばま」に到着。この道の駅に来たのは、6年ぶりです。
7年前に初めて来た時は、ご当地ゆるキャラが愛想を振りまいていました。
今回はここで、鯖カレーを食しました。
鯖カレーには、鯖の竜田揚げをメーンに、ピーマン、ニンジン、カボチャなどの野菜が盛られていました。おいしい鯖とほど良い辛みが、運転の疲れを吹き飛ばしてくれました。
(おいしさに感嘆した鯖寿司)

(購入した鯖缶)

この道の駅で、人気の鯖寿司や鯖缶を購入。
鯖寿司は自宅に帰って、夕飯のメーンとして頂きました。さすが本場の鯖寿司。寿司特有の酸味は少なく、ほど良い甘みのシャリと鯖の食感が絶妙にマッチ。思わず「うまい」と声を上げてしまいました。(つづく)
晩秋から、冬へ。曇天や雨だったり、小春日和の青空だったり。北陸・金沢らしい空模様の日々となっています。
こうした中、あかつき屋では、着実に冬への準備を進めています。お庭では、雪吊りを施し、玄関では、季節の草木を飾り付け。コミュニティルームでは、大きな掘りごたつにこたつ布団を掛け、冬仕様にしました。
(庭師さんによって施される雪吊り)

(きれいに整えられたお庭)

お庭では、庭師さんによって、大小二つの松の木に雪吊りをしてもらいました。すっきりとした青空の下、造園に携わるベテランの職人さんたちは、松の木を剪定した後、支柱を立て、そこから数多くの縄を垂らして、枝にくくり付け、きれいな雪吊りを完成させました。
合わせて、他の樹木も手入れしてもらい、お庭はすっきり、明るくなりました。
(玄関に飾った花ナス)

玄関には、花ナスを飾りました。先日、白山ろくを訪れた際に得たものです。
ミニトマトのような橙色の実が、白壁に映え、鮮やかなその色は、訪れたお客様の気持ちをあったかくさせているようです。
(大きな掘りごたつは、冬仕様に)

コミュニティルームでは、10人ほど入れる大きな掘りごたつを冬のスタイルに。今冬は、こたつ布団を新調。うさぎと花の模様が配されています。
冬、お客様の中には、あかつき屋を貸し切った上で、ここでお鍋パーティーをされる方もいらっしゃり、何ともにぎやかな光景が生まれます。
寒い冬を明るく、心地よく。そんな思いで金沢町家のお宿づくりに精を出しています。
(前回からのつづき)
この山里の秘境感と、ときめきは、経験した者でないと分からないかもしれません。白山ろくぼたん鍋プロジェクトの晩秋のこのイベントでは、参加者は瀬波川キャンプ場を訪れた後、昼食会場の宿泊交流施設白山里までの2㌔ほどの道のりを歩いて行きました。
様々に秋の色を見せる山の木々。そして、それらの木立の間からは、名も付いていないような滝がいくつも流れており、驚きの連続。一方、石川県一の大河・手取川に注ぐ瀬波川は、ここが源流ではないかと思わせるほどに、あちこちで荒々しい渓谷美を見せていました。
30分余りの林道散歩でしたが、晩秋の陽光と紅葉の下、この上なくラグジャリー(贅沢)なプロムナードとなりました。
到着した白山里では、一同は特製ランチで会食。
地元のおそばや堅豆腐、柿、ちらし寿司などのほか、ヤマメの塩焼きなど、山の幸が満載の御膳。いずれも美味で、彩り豊か。ほど良い山歩きでお腹が空いた参加者にとっては、身も心も満たされ、十分満足のいくお食事でした。
瀬波川キャンプ場から白山里に至るまでの沿道風景を写真でご紹介します。
【林道沿いの風景】
(傍らで流れる小さな滝)

(木立ちから見える瀬波川)

(語らいながら散歩する女性たち)

(山肌を縫って流れる滝)

(目を引きつけた紅葉の樹木)

(渓谷美を見せる瀬波川)

【白山里】
(全景)

(ランチ。このほかデザートなどもありました)

この催しにご協力して下さった関係者の皆様、ありがとうございました。
地元の人の紹介で隠れた紅葉の名所とも言えるスポットを知りました。白山ろく瀬波地区(白山市瀬波)にある瀬波川キャンプ場とその周辺です。丁度紅葉がピークを迎えた時季に重なり、心ゆくまで山里の燃える秋を楽しみました。
私が参画する白山ろくぼたん鍋プロジェクト協議会(以下「ぼたん鍋プロジェクト」)の活動の一環として訪ねました。そこは、キャンプ場ですが、瀬波川の周辺に広がる樹木の紅葉は見事で、秘境感を味わいながら、晩秋の季節感を満喫しました。
(瀬波川キャンプ場)

(案内看板)

ぼたん鍋プロジェクトでは、山里の観光資源の発掘と普及を目指して、今回のイベントを企画しました。紅葉狩りの後は、瀬波の宿泊交流施設「白山里」でのランチも行うことにしており、イベント名は「白山ろく瀬波の秋満喫 紅葉狩りと山里の幸舌鼓」。ぼたん鍋プロジェクトのメンバーら約10人が参加しました。
瀬波集落からさらに奥に2㌔ほど入ったキャンプ場は、地元の有志らが参加して組織した
㈱白山瀬波さんが管理運営しています。その会社の取締役事業本部長を務める廣崎邦夫さんからお話をうかがいました。
(瀬波川河畔に広がる紅葉)


瀬波川の河畔に立地するこのキャンプ場は、本当に山を愛し、キャンプを愛する人の利用が多く、来場者の40%がリピーターだそうです。訪れたこの日は、新潟県長岡ナンバーも含め、何台も車が止まっており、自然をゆっくりと楽しむように、静かに野営されていました。
このキャンプ場は、オンソリ山やカタクリの群生地への登り口にも当たり、四季を通じて山の愛好者が訪れるそうです。
何と言っても見ごたえのあったのは、周辺の紅葉。今年は10月が暖かかったせいか、木々が色づくのは10日ほど遅れているとのこと。そのため、私たちが訪ねた時は、絶好の紅葉狩りとなりました。
秋晴れであったこともあり、周囲を見渡しながら、赤や黄色に彩られた山の景色を楽しみました。
瀬波川の流れも出色で、水のきれいなこと。聞けば、キャンプ場の奥には、人家や事業所などはないため、ゴミなどで汚染されることがないとのこと。透明感のある水面と、そのそばに繁る木々の紅葉のコントラストも、また見事でした。(つづく)
日本海のズワイガニ漁が解禁となり、1週間余り。金沢のちまたでは、「カニを食べた?」「近江町(市場)へ行った?」などとカニにまつわる話題が出るようになりました。日照時間が短くなり、冬の到来近しを感じる昨今ですが、この時ばかりは、明るい空気が生まれます。
その日本海の冬の味覚ズワイガニ(石川県内では加能ガニと言います)は、地元民はもとより、観光客の方々によって近江町市場から友人、知人らに贈られるケースが少なくないのですが、我が家でも、首都圏の親族に贈りました。早速、それが先方に届くと、反響がありました。
(近江町市場の店頭に並ぶズワイガニ)


贈り先は、息子のお嫁さんの実家などの二軒。息子家族には、1歳9カ月の私どもの初孫がおり、早速その孫に披露されました。
(大きなカニに目が釘づけになった孫)

情報がアップされた家族向け写真・動画共有アプリによると、孫は、ケースの中に堂々とした姿で納まっているそのカニに目が釘づけとなりました。初めは緊張した表情で「こわ~い」などど言っていましたが、ママやおじいちゃん(お嫁さんの実父)が「大丈夫、こわくないよ」などと言うと、「カニ」「カニ」と言い、ママらがするのをまねて、カニの甲羅をなでなでしました。
カニの味覚を知るのは、まだ先のこと。今は見たり、触ったりで十分なよう。いずれ金沢に来た時は、近江町市場の店頭にズラリと並ぶカニを見せてやりたいと思ったことでした。
日ごとに寒さが感じられる中、あかつき屋の夜の団らんの場が一気に明るく、活気づきました。6日に日本海のズワイガニ漁が解禁となり、近江町市場の鮮魚店の店頭に並んだ香箱ガニが、早速ここの団らんの場に登場したのです。
東京からお越しになったお客様グループが買ってこられたのです。外でのご夕食後、二次会の酒の肴としてテーブルに並びました。お客様は初めて目にする冬の日本海の味覚に感嘆の声を上げられ、夜のご歓談が一段と盛り上がりました。
(食卓にお目見えした香箱ガニ)

近江町市場は、ズワイガニ漁が解禁となり、最初の土曜日とあって、市場は混み合っていたそうです。お客様は、話題のメスの香箱ガニを「とりあえず一匹買ってきた」のだそう。
しかし、初めて見る香箱ガニ。そのさばき方も、食べ方もご存じなく、どうすればいいのかと思案顔でした。
そのご様子に、さすがに看過できず、私は台所に立ち、既にゆでてあったそのカニの甲羅をパカっと開け、中の身を食べやすいようにしました。殻が付いて硬いカニ足に包丁を縦に入れ、切り口をつくり、身を取り出しやすいようにしました。
実は、私がカニをさばくのは、初めて。子どもの時から食べて来たカニですので、家族が調理するのをそばで見てきた程度です。ですから、お客様が持ち込まれた香箱ガニを前にした時は、少し戸惑いました。でも、私以外に手ほどきする人がいなかったので、気合でそのカニを処理しました。
(初香箱ガニを楽しまれたお客様=写真掲載了解済)

お客様には食べる時は、カニのお腹の下に付いている三角形のフンドシと呼ばれるものなど以外は、食べられるとお話ししました。カニ足はもちろん、お客様には不案内だったオレンジ色の内子やカニ味噌などは、特に美味であることを紹介しました。
お客様は、近所のふじた酒店さんで地酒とおかきなどを買い、カニとともに召し上がられました。言うまでもなく、懇談は盛り上がり、尽きない話に楽しい一夜となりました。
私にとっても愉快なことでしたが、振り返れば、カニの実を付ければ風味がより豊かになる酢醤油を作って差し上げれば良かったなと思いました。次回に活かします!
宿泊業を営むあかつき屋の日々が、人の人生と重なるような感覚を抱く時があります。それは、お客様が何年かぶりに再訪された時に味わいます。
この三連休では、6年半ぶりにお越しになったお客様グループがいらっしゃいました。地元の金沢美大OGの方々です。このうちのメンバーが大学に在学中に、デザイン科視覚デザイン専攻のお仲間とここで泊りがけでお鍋パーティーをされました。その後、卒業されて今は社会人としてご活躍。久しぶりにお目にかかり、少なからず感慨がありました。
(級友がデザインされたのれんのそばに立つお客様
=写真掲載了解済)

ここで6年半前の2013年4月に開かれたお鍋パーティーは、視覚デザイン専攻の学生さんたちの親睦を兼ねたお集まりで、当時の4年生が主宰されました。その時、同席されたのが今回お越しになった当時の一年生たちでした。
今でも覚えていますが、その時の一年生は、まだ入学して間もないとあって、どこか緊張感を漂わせていました。しかし、今は大学を巣立って3年目。すっかり落ち着かれ、デザイナーやプランナーとして東京の企業で活躍されています。その穏やかな佇まいから、それぞれの勤務先で立派に戦力になっているとの印象をもちました。
今回の金沢訪問は、クラスメートとの再会や母校訪問が目的のようでした。夜は各地から集った旧友と会食され、日中は開催中の金沢美大祭に足を運ばれ、後輩らと再会されたようです。
このお泊まりの中で、お客様にとっては一つニュースがありました。最近新調した紅葉の図柄が入ったのれんは、お客様のクラスメートの女性がデザインされたものです。それを知ったお客様は、自分のことのように喜ばれました。季節ごとにふさわしい図柄ののれんを飾るという企画は、こんな形でも好評を得て、望外の喜びとなりました。
(秋の風情を漂わすお庭)

また、お客様たちは翌朝は、ここのお庭をご観覧。小春日和の中、忙中閑ありのひとときを楽しまれました。
皆様、ようこそお越し下さいました。ありがとうございます。健康に留意され、引き続き、ご活躍下さいませ。
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