(前回のつづきです。)
今回魚津を訪れたのには、もう一つ目的があります。それは、最近注目を集めている魚津のご当地料理バイ飯を食べることです。バイ貝を炊きこんだのがバイ飯だそうで、どんな味かと金沢を出発する前からワクワク。
立ち寄った「海の駅蜃気楼」の食堂のメニューになっているバイ飯定食を食べたところ、バイ貝の出汁がほどよく染みたそのご飯はとても美味。これを食しただけで、ここに来たかいがあったと満足しました。
(バイ飯定食)

「海の駅蜃気楼」はその名の通り海のそばにあり、魚津埋没林博物館に隣接しています。
魚津は昔から漁業が盛んなところで、バイ飯は、そのバイ貝を獲る漁業者が賄いで作って家で食べていた「漁師飯」がベースになっているそうです。
(海の駅蜃気楼)

これを地元のソウルフードとしてブランド化に力を入れ、このほど「魚津バイ飯」が特許庁に地域団体商標として登録されました。古くて新しいご当地グルメです。
このバイ飯は、その海の駅でバイ飯定食のメーン料理として頂きました。出汁汁がちょうど良い具合に染みたご飯、その中に散らされたバイ貝の食感は良く、満足のいくお味でした。
一緒に出された貝のおつゆと、二枚も載った魚のフライも食べ応えがあり、1,300円のお値段以上の価値がありました。
食には、無限の可能性があり、なんと人を幸福にしてくれることでしょう。そんなことを思ったランチタイムでした。
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小春日和の穏やかな天候が多かった11月。そのような日の半日を使って、富山東部の魚津市を訪れました。お目当ては、海岸部にある魚津埋没林博物館。海中に埋没したスギの原生林を展観するユニークな博物館です。
埋没林の各種現物を展示しているほか、映像でも埋没林を生んだ風土も紹介しており、興味深い見学となりました。
(魚津埋没林博物館の建物)

(展示されている埋没林)


魚津の埋没林は、約2,000年前、日本海に注ぐ片貝川の氾濫によって流れ出た土砂がスギの原生林を埋め、その後海面が上昇して現在の海面より下になったため生まれたと考えられています。
ここの埋没林は、その保存状態が極めて良かったことから、特別天然記念物に指定されています。スギの原生林がほぼ原形をとどめる形で残ったのは、北アルプスを源とする湧水の真水に浸されていたからとされています。
各建屋にある様々な埋没林を見学。根がくねくねとうねって張り出す姿は、太古の時代を思い起こさせます。この埋没林は戦後、港湾工事で発見されたそうですが、そこに生物学的な価値を見出し、保存・展示施設の開設にまで至ったプロセスは、特筆に値すると言っていいと思います。
(日本海を望む。前方遠くに能登半島が見えます)

一通り見学した後、海岸部に出ました。
広々とした日本海の海原。その遠く前方に能登半島が見えます。同じ北陸でありながら、場所によって、地形、風土は随分と異なります。北陸道を通って、車でわずか一時間余りで着いた魚津・シーサイドでしたが、非日常を味わうには十分な時間でした。
金沢は小春日和の暖かな日が続き、例年になく過ごしやすい毎日となっています。このため、いつもなら葉が落ちる木々も、まだ豊かに葉をつけています。落葉樹は、赤や黄の色鮮やかな紅葉を保ち、道行く人の目を楽しませてくれています。
あかつき屋からほど近いところに、紅葉の名所と言ってもいいスポットがあり、仕事の合間を縫って訪ねてみました。
(天徳院の紅葉)



加賀藩三代藩主前田利常公の正室珠姫の菩提寺である天徳院。小立野の丘の上に立つこの寺院は、あかつき屋から車で5分ほどのところにあります。
山門をくぐると、大小の木々が、様々に秋の色を見せており、感嘆しました。
明るい日差しの下、参拝者が思い思いに散策しており、自分も観光客の気分に。あかつき屋のお客様に紹介するに十分値するスポットと感じました。
(浅野川河畔。清流と紅葉がハーモニー)

浅野川から卯辰山にかけても、見ごたえのある紅葉ゾーンです。
河畔に立つ落葉樹は、最後の秋を謳歌し、まぶしいほどです。
(卯辰山の沿線は、さながら紅葉街道。山野草園で)

(さらに登ったところで)

天神橋から卯辰山山頂へ。その沿線は、紅葉街道と言ってもいいほど。様々な樹種が、美しく道を縁どっています。
中腹にある山野草園に立ち寄りました。小道を覆うように林立する木々は、燃える秋を演出しています。心騒ぐ絶景です。
さらに上に上がると、道端から下の方へ降りる遊歩道があり、ご年配の女性二人が階段を下りていく姿がありました。
そこは、隠れた紅葉観賞のスポットでした。
この三連休は、ひと際印象に残る三日間となりました。人気の音楽バンド「SEKAI NO OWARI」(セカオワ)のファンの皆様が全国各地からあかつき屋に集い、交歓風景を繰り広げられたのです。
11月24日にあかつき屋から近い本多の森ホールでセカオワのコンサートがあり、そのために参集されたのです。お客様は、公演前後に、ここに貸切で二泊三日で宿泊されました。あかつき屋は、ファンのオフ会さながらに熱気を帯びた交流が行われました。
(お泊まりになったセカオワのファンの皆様=写真掲載了解済)

セカオワは独特の透明感のある音楽世界を創り上げ、幅広い世代で熱い支持を得ています。そんなグループのコンサートですから大勢のファンが金沢に集まり、あかつき屋にも北は北海道から、そして首都圏、新潟、大阪などからファンの方々がお越しになりました。
このうち、セカオワがデビューする前から同バンドのメンバーとお付き合いがあり、今も家族同然に彼らを応援している、BAR EARTH(東京都大田区羽田)のオーナーさんもお泊まりになりました。
(特注品のユニフォームを披露されました)


24日のコンサート終了後、お客様たちは片町の居酒屋で交歓。その余韻を残しながら、お宿に入られました。
セカオワの魅力はとお尋ねすると、「全部」と答えるお客様たち。確かに彼らのつくる楽曲は素敵で、そのステージもファンタスティックなものです。
私も、お客様を通じて、セカオワの魅力にふれ、世界が広がったようです。
いい出会いをありがとうございました。ご宿泊ありがとうございました。
エネルギッシュに、駆け足で北陸三県を一泊二日で旅する女子学生お二人をあかつき屋にお迎えしました。金沢だけでも一泊では回り尽くせないと言われる中、延べ二日間で石川、富山、福井の各県を回ろうという大胆な計画。
その二人の学生さんは、各県のメジャーな観光スポットを見事に踏破されました。もう少しゆっくりと回られたらと、こちらではそんな思いもないではなかったのですが、どん欲に各所を訪れる姿は、頼もしく、爽快感もありました。
(弾丸北陸旅に挑戦したお二人=写真掲載了解済)

お二人は、首都圏の大学の一年生です。いずれも北陸は初めてとのことでした。
夜行バスで都内を出発し、まず富山県高岡にご到着。そこで最初に向かったのは、雨晴海岸。でも、あいにく半端ない雨で「雨降らし海岸でした」と、ちょっとテンションが下がったそうです。
(イケメンの高岡大仏=ご提供写真)

でも、高岡大仏はイケメンで、見ごたえがあり、お昼前に金沢に着いた頃には青空となり、ニッコリ。
近江町市場、21世紀美術館、武家屋敷跡、金沢城と矢継ぎ早に回り、最後は、ライトアップされた兼六園を訪れ、一日を締められました。
(ライトアップされた兼六園=同)

「今日一日で3万歩以上歩きました。ちょっと疲れました」と話されましたが、達成感のある表情でした。
翌日は、朝寝することなく、お目覚めになり、再び金沢観光へ。そして午後に福井へ向かわれ、断崖絶壁で有名な東尋坊を訪れました。
(東尋坊の断崖に立つ=同)

お二人日本海に向かって堂々のポーズ。弾丸北陸旅を有終の美をもって終えられました。
お二人のバイタリティには感服するばかり。きっと大学生活も内容豊かに送っていかれることでしょう。
ご宿泊ありがとうございました。
11月の折り返し点。この日、あかつき屋では、お庭の木の雪吊りを行いました。小春日和の中、作業は進められ、松の木に施された雪吊りは、美しい幾何学模様を描き、お客様らの目を引きつけています。
(庭師さんによって作業が進められる雪吊り)

雪の重さによる、木の枝折れを防ぐためのもので、この時季、恒例の作業。庭師さんによって、手際よく仕事が行われました。
3連泊された東京のお客様は、2階のお部屋でこの作業を興味深く眺めておられました。
(仕上がった雪吊り)


雪吊りが行われると、冬に向けてまた一つ季節が進んだな、と身が引き締まります。これに合わせ、お宿の中の飾りつけも更新しています。
(ツツジが花を咲かせました)

ところが、お庭で珍しい光景が。ツツジが数輪花を咲かせたのです。このこところの温暖な天候で春が来たと勘違いしたようです。
大雪だった昨冬とは違った展開。心を和ませてくれる異変です。
近年注目度がアップする金沢おでん。この地元グルメに対して造詣が深くなる機会がありました。そのおでんの代表的な具材である金沢おでんについて、あかつき屋のお客様を通じてあれこれ学んだのです。
そのお客様は、山梨県の富士山のふもとのまち富士吉田市からご家族でお越しになり、あかつき屋に二泊されました。その二日間の夜、違った店でおでんのカニ面を召し上がられ、それぞれ特色があることが分かったのでした。
(あまつぼさんのおでん。車麩と大きなシイタケが目を引きます
=ご提供写真)

(あまつぼさんのカニ面)

このご一家のFさん、地元の富士吉田に金沢出身のご友人がいらっしゃり、金沢に行くなら、おでん屋でカニ面をぜひ食べたらいいと勧められたそう。それで早速あかつき屋に着いた途端、カニ面が食べられるお店はありますかと、尋ねられました。
私は、まず繁華街にある老舗のおでん居酒屋あまつぼさんを紹介いたしました。そこで、大きな車麩などが入ったおでんとともに、漁が解禁になって間もないズワイガニのうちの香箱ガニのカニ面をご注文。おいしく食されたそうです。
翌日は、あかつき屋の近所のまるよしさんへ行かれ、再びおでんに挑戦。ここでもカニ面を注文されました。
(まるよしさんのカニ面)

二つのお店で知ったことをこちらに説明して下さいました。
一日目のあまつぼさんでは、カニ面は、おでんのつゆをかけて食べたそう。また、かにの一つの甲羅には、カニ足の実、子の塊とともに、カニ足本体が載せられ、ワイルド感がありました。
一方、翌日のまるよしさんでは、カニ足と子の塊は別々の甲羅に入れられていました。だしについては、店主や居合わせた地元客とのやりとりで、ポン酢やお酒をかけて食べるとおいしいと教わったそうです。
私は毎年、香箱ガニは数度食べますが、カニ面のスタイルで食べたことがありません。今回この方面の知識を得たので、近々挑戦しようと思います。
(Fさんご一家=写真掲載了解済)

(ライトアップされた兼六園)
幻想的な兼六園のライトアップなお、Fさんご一家、兼六園の夜間ライトアップにも出かけられ、素敵な写真を撮ってこられました。
ご宿泊ありがとうございました。息子さん、来年から社会人ということですが、健康に気をつけて、ご活躍下さい。
11月に入り、金沢は穏やかな天候が続いています。小春日和と言っていいような好天もあり、気持ちの良い日々を送っています。
暦の変わり目は、季節の変わり目。気候に合わせて、あかつき屋では、館内の模様替えを行いました。一つには、金沢などの風習である花嫁のれんを飾ったことです。玄関から入ってすぐの上がりの間に飾りました。そこは一気におめでたさと華やかさに満ちました。
(上がりの間に飾った花嫁のれん)

(大きな掘りごたつに布団をかけ、冬仕様に)

花嫁のれんは、母の嫁入り道具の一つです。母は今月89歳になったのですが、その67年前に父と夫婦になった際、持参したものです。
経済的には、けっして裕福でなかった時代。早くに夫を亡くした母の母(私の祖母)が、苦労してねん出したお金であつらえた品です。
描かれた鶴亀や松竹梅の絵柄の中に、友白髪の老夫婦が配されており、ともに仲良く、添い遂げてほしい、との祖母の願いが込められています。
父は90歳で昨年他界しましたが、両親はそうして人生を共に歩んだと、家族は受け止めています。
お客様に花嫁のれんを説明する際、そんなエピソードも添えています。
コミュニティルームの掘りごたつを冬仕様にしました。特注した大きなこたつ布団を電気こたつの台にかけました。
こたつ布団の表面には、無数のだるまの絵が描かれています。
(イルミネーションが点灯され、街は華やかに)

冬になると、ここがお客様の団らんの場となり、中には、ここでお鍋パーティーをされるグループもいらっしゃいます。そんな和やかな姿をそばで拝見するのも楽しみです。
過日、中心街に出ました。街路樹に設置されたイルミネーションの点灯が始まり、街は明るく、幻想的に。寒さを忘れさせてくれる冬の風物詩です。
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