10月は、ビッグイベントの金沢マラソンがあり、その数日間は、あかつき屋はマラソン一色になりましたが、ふだんの日常では、個々のお客様がこの金沢町家のお宿の個性や魅力をゆっくりと味わわれる姿がありました。
フランスからお越しになったご夫妻。奥様が絵画をたしなんでおられ、ここの縁側でお庭の絵を描かれました。お庭の絵を描くお客様はこれまで大勢おられ、それぞれに個性的で、その女性が仕上げた絵も、なかなかに見ごたえのあるものでした。
(お庭の絵を描かれるフランス人女性。隣はご主人
=写真掲載了解済)

(出来上がった作品)

その奥様は、ご出発の朝、お庭を望む縁側で憩っておられる中で、思い立って絵を描き始めました。スピーディーにクーピーペンシルを走らされ、わずかな時間で力感あふれるお庭の絵を完成されました。
松の木を大きく描き、石灯籠や踏み石、かん木など、お庭を構成する重要な要素を象徴的に記されました。簡潔ではありますが、とても印象に残る作品です。
(お二人、笑顔でお宿を後にされました)
2年前にも若いフランス人カップルがお越しになり、お部屋からお庭を望む絵を描かれましたが、また違う味わいです。
同じお庭でも人によって見え方が異なるのだなと、感じ入っています。
フランスのご夫妻。素敵な絵、そして、ご宿泊ありがとうございました。
スポンサーサイト
(前回のつづき)
今回の金沢マラソンでちょっとした愉快なエピソードがありました。お泊まりになったお客様が、かわいらしいキャラクターのぬいぐるみを持参し、紹介して下さったのです。
これは、「おのくん」と言って、サルをモチーフにしています。東日本大震災で被害を受けた宮城県東松島市の女性たちが手作りしたもので、あかつき屋では、コミュニティルームの掘りごたつの上やお庭に面する縁側に置かれました。その愛嬌のある表情は、お客様を和ませてくれました。
(お庭をバックにした「おのくん」=Yさんが撮影)

(秋の雰囲気が漂うお庭=同)

金沢マラソンにリピーターとしてここに来られた茨城県のYさんが持参されました。Yさんは、3年前に宮城県白石市に花見に行った際、帰りに立ち寄った東松島で買ったものだそうです。
このおのくんは、震災で仮設住宅に住むことを余儀なくされた主婦たちが、靴下を材料にして作ったものです。
Yさんは、あかつき屋の縁側に試しにおいたところ、お庭と絶妙にマッチしました。
以前に、東京からお越しになった男性が、縁側にアンパンマンをかたどったパンを置いたことがありましたが、その時も、面白いほど絵になり、感心したことがあります。
今回、マラソン大会を翌日に控えての「おのくん」の登場で、選手の緊張を解きほぐしてくれました。
おのくん、震災被害のあった宮城県から金沢へ。手作りされた方々も喜んで下さることでしょう。
Yさん、ありがとうございました。
今年もやって来ました、金沢マラソン。あかつき屋は、この大会の前後数日間をマラソンランナー専用のお宿として、参加選手らの便宜を図らせて頂いています。
そして全国各地からお越しになったお客様たち。「初めまして」の方や、リピーターの方などが顔を合わせました。皆さん意欲満々。本番では力走し、好タイムを記録されました。
(金沢マラソンに参加されたお客様=写真掲載了解済)

今年で4回目を迎えた金沢マラソン。あかつき屋は通常お部屋貸しの宿泊体制ですが、この時ばかりは、お一人でも宿泊しやすいように、男女別相部屋とし、安価な値段設定でお泊まり頂いています。お泊まりの方には、記念にあかつき屋特製どら焼きをプレゼントさせて頂いています。
大会前日。コミュニティルームでは、参加選手たちが集い、全国各地のマラソン大会の様子や、今年の戦績などの会話が繰り広げられます。また、金沢マラソンのリピーターの方は、初参加の方に、コースや無料でお菓子や地元食などが提供されるステーションなどについて紹介。頼もしい先輩ランナーたちでした。
(先頭集団の選手の皆さん=扇町)

(大集団で走る選手の皆さん)

(私設エイドを設け、お菓子を提供しました)

号砲とともに、約13,000人のランナーが一斉にスタート。それは、さながら民族大移動のようなすごさです。
昨年、私は、このマラソンに初挑戦しましたが、今年は応援に回る側に。あかつき屋近くの沿道に、私設エイド(食べ物などを選手に補給するポイント)を設け、ランナーにドーナツや黒ゴマ納豆、甘納豆などを提供させて頂きました。
疲れをいやすにはもってこいだったようで、それらはまたたくまになくなりました。
あかつき屋のお客様は、いずれも健闘。小雨が降る程度で、上々の天候もあってか、走り終わった後に、「自己ベストが出ました」とか「目標の5時間を切りました」など、明るい声で力走を振り返っておられました。
選手の皆様お疲れさまでした。また、お泊まりになったお客様たち、ありがとうございました。来年また会いましょう!
(つづく)
10月も後半となり、金沢は秋色が濃くなってきました。紅葉が進み、兼六園をはじめ、街なかでも色づいた木々が、人の目を引きつけています。
冬が訪れる前の自然の絶唱。そう思いたくなるほどに、木々は、命を限りなく燃焼させているようです。
(兼六園。山崎山付近)


(花見橋)

あかつき屋から歩いて10分足らずのところにある兼六園。晩秋は、琴軫(ことじ)灯篭から主役の座が山崎山に変わります。この小高い、お山と、その付近は、落葉樹が多く、この時季鮮やかな赤や黄色に変わっていきます。
木々は様々な色あいを見せ、長時間佇んでいても、飽くことはありません。観光客の方々は、思い思いの場所で、カメラを向けておられました。
(しいのき迎賓館横の並木道)

(金沢21世紀美術館広場)

市役所、しいのき迎賓館、21世紀美術館付近も、様々な紅葉が見られます。並木道や、美術館の広場で色づく木々。いわゆる観光スポットではなくても、十分楽しめる空間です。
ここに金沢の豊かさと底力を感じます。ありがたいことで、いつまでも大切にしたいです。
金沢は、さわやかな秋晴れが続いています。空は青く澄み、風は肌に心地よく、行楽にはもってこいのシーズンです。
あかつき屋では、様々なお客様が、ゆっくりと過ごし、国登録有形文化財のこの金沢町家の風情を味わっておられます。特に、静けさが漂う朝は格別で、お庭を望む縁側で、心潤うひとときを過ごされています。
(秋の雰囲気が漂うお庭)

ドイツからお越しになったお客様。ドイツ人男性と日本人女性のカップルです。一晩過ごし翌朝。日の光が満ち、外はもう明るくなっています。
お二人は縁側で腰を下ろし、お庭を眺めながら、コーヒーを味わわれました。スイーツには、前日に和菓子作り体験が行われた県観光物産館で手作りされた生菓子も加わりました。
(ドイツからお越しになったお二人
=写真掲載了解済)

(前日に手作りされた和菓子)

ドイツ人男性は、訪れた武家屋敷跡の野村家のお庭といい、この町家あかつき屋のお庭といい、家の中に意匠を凝らしたお庭が、市内のあちこちにあることに感銘を受けたご様子でした。
(女性お二人も縁側でごゆっくりと=写真掲載了解済)

もう一組は、女性のご友人のお二人。前日は、主計町やひがし茶屋街などを回る一方、お寿司やおでんを味わわれ、金沢を満喫されています。
この日の朝は、お庭でティータイム。秋の雰囲気が漂うお庭を眺めて、思わず笑みが。慌ただしい日常を忘れ、リフレッシュされたようでした。
皆様ご宿泊ありがとうございました。また、お気軽にお越し下さいませ。
秋たけなわ。暑すぎず、寒すぎず、快い天候が続いています。そうした中、金沢ならではの祭事が市内で相次いで執り行われました。
野町の神明宮(おしんめいさん)のあぶり餅神事と、あかつき屋の前のお寺・広済寺さんでの報恩講です。いずれも古い歴史のある行事で、この催しに接すると、季節がまた一つ進んだことを感じます。
(あぶり餅神事があり参拝者が相次いだ神明宮)

(食用のあぶり餅)

神明宮のあぶり餅神事は300年以上続くもので、悪事災難厄除のご利益があるとされています。毎年春と秋に行われており、秋は10月15日から三日間執り行われます。
秋空の下、お昼頃にその神社を訪問。若い女性も含めて、中高年の女性が数多く参拝していました。
いつもの例にならって、あぶり餅を買い求めました。これは、食用と、家守(いえまもり)と呼ばれる、お飾り用のものとの二種類があります。
(あかつき屋の玄関の天井に付けたあぶり餅)

家守はあかつき屋に持ち帰って、玄関やお部屋の天井に取り付けました。吉報が舞い込み、災厄を除くとの言い伝えがあり、お客様にご利益があることでしょう。
(報恩講が執り行われた広済寺さん)

広済寺さんの報恩講は14、15日の二日間行われました。浄土真宗の開祖親鸞聖人の遺徳をしのぶもので、真宗王国の北陸の地では、ほんこさんと呼ばれ、住民に親しまれています。
この二日間、門徒さんらは山門をくぐり、本堂で法要に臨まれました。
色鮮やかな五色の仏旗が山門に掲げられているので、あかつき屋のお客様は、けげんに思う人も。簡単に説明すると、合点がいったご様子。関東に住むお客様は、「うちは、曹洞宗なので」と話し、この地の風土に思いをいたされたようでした。
ちょっと得した気分の一日になりました。三連休最後の日。空いた昼の時間を利用して、富山県南砺市(旧福光町)にある、IOX-AROSAスキー場(アローザスキー場)へ行ってきました。10月はスキーにはまだ早く、スキーのオフシーズンは、別の見どころがあると聞いたからです。
それは、ゲレンデに広がるキバナコスモスのお花畑です。オレンジや黄色の花々が今が盛りとばかりに咲き誇り、丘を覆っています。燃える秋。そんな風景の中で、片時、心身を解放しました。
(キバナコスモスが一面に咲くゲレンデ)


(遠方に山頂目指すゴンドラも)

アローザスキー場は、金沢からは医王山をはさんで反対側にあり、車で行けばあかつき屋からは40分ほどで着きます。でも、スキーをしなくなった今は疎遠となり、ここに訪れたのは約20年ぶり。スキーのオフシーズンでは、初めてでした。
スキー場に着くと、駐車場には結構車が止まっていました。ゲレンデの方に歩いて向かいました。
思わず息をのみました。オレンジ色の花畑が一面広がっているのです。その花の名は、キバナコスモスとか。ピンクのお馴染みのコスモスに比べて、華やかで、その分、一帯が明るくなる感じ。青空の下、まぶしいほどに光沢を放っていました。
(ドッグランでは家族連れの姿も)

ゲレンデに隣接してドッグランの広場がありました。家族連れらが、愛犬を遊ばせていました。心おきなく駆け回る犬たち。その姿に、見ているこちらも和みました。かつて、スキーで滑り降りた同じ場所とは、思えないほどでした。
9月が慌ただしく過ぎ、10月を迎えました。金沢は記録的な猛暑だった夏の日々も遠のき、秋風が吹く中、心地よい日々を過ごしています。
10月。この時季になると、一年の終わりが近づいていることも感じることになり、足元を見直すことにもなります。ふだんできなかった書類等の整理を行う一方、あかつき屋の中のお部屋のしつらえの更新も行っています。
館内に飾ったアケビや山栗、唐辛子。いずれの山里の幸も、秋の色を表し、お部屋に快いアクセントとなっています。
(コミュニティルームの掘りごたつの上に置いたアケビ)

(かわいらしい山栗も)

午前の空いた時間。富山県との県境付近にある、農産物直売所に向かいました。もりの里、金沢大学横を通って車で20分ほどのところにあるところ。そこは、里の野菜や山の果実などが安価に買うことができるからです。
求めたのは、アケビや山栗等々。早速あかつき屋に戻って、お部屋などに飾りました。
お客様が交流するコミュニティルームには、アケビを。口をぱっくりと開けたものがあり、どこかユーモラスな感じ。茎についている幾枚かの葉が目にやさしい。
同じ部屋の小机には、山栗を置きました。通常の栗より一回り小さいサイズ。直売所の女性店員によると、山栗の実は、これ以上大きくならないのだとか。見てて、かわいい。
(お庭に面する軒下には、唐辛子の実を吊るしました)

渡り廊下の外側、お庭に面する軒下には、ひもで一列に編んだ唐辛子を吊るしました。金木犀の芳香が漂う中、日がたつにつれて、さらに赤みを増し、秋の深まりを感じさせてくれることでしょう。
街を歩いても、人の表情には落ち着きが見られます。一年で最もいい季節。
お客様には、あきたけなわとなった城下町金沢、そして国登録有形文化財のあかつき屋で至高の時を過ごして頂けたらと考えています。
| ホーム |