藩政時代、お城を防衛する役割もあって、城下町金沢には、お寺が数多くあります。あかつき屋の界隈にも、歩いて5分ほどのところに浄土真宗や日蓮宗、曹洞宗など各宗派の寺院があります。そして、そのお寺の中には、独特の風習をもっているところがあります。
馬坂上にある曹洞宗高源院さんもその一つ。ここは、七月一日に、「一ツ灸」と呼ばれ、参拝者がお灸を体験する、珍しい行事を明治の時代から今に至るまで受け継いでいます。一年を折り返す時季に行われる“奇習”。お灸をしてもらう参拝者は、残り半年の無病息災を祈ります。
(一ツ灸のお寺・高源院さん)

先日、高源院の住職さんが、一ツ灸の告知活動の一環として、あかつき屋にお越しになりました。私が、何気なく「お灸って熱いし、跡が残るのがちょっと心配という人がいるんですよね」と話したら、住職さんは「そんな方のために、今年は『温熱灸』というのをします」とおっしゃいました。
(一ツ灸を告知するポスター)

従来のお灸は、もぐさを直接膝に載せて行っていたが、ただならぬ熱さに加え、膝に跡が残るのでは、という不安が参拝者の間にあったそう。
そこで、鍼灸師の指導により、今年は「温熱灸」を初めて実施することにしたのでした。これは、水に浸した5㌢角ほどの障子紙を膝の上に置き、その上にもぐさを置いて、お灸をするという方法。
これにより、熱さは半減し、体に跡も残らなくなるのだそうです。
一ツ灸の心を堅持しながら、時代の変化に合わせて、若い人たちにも受け入れられるよう、伝統行事のスタイルもアレンジ。古刹が、より身近に感じられました。
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(前回のつづき)
20日午前、金沢市天神町のこまちなみをフィールドワークした立正大学の学生さんたち。休む間もなく、早速あかつき屋でプレゼン資料を作り、午後7時からあかつき屋の前のお寺広済寺さんで発表されました。
時間的にかなりタイトな日程でしたが、学生さんたちは集中力を発揮され、パワーポイントの資料をしっかり作成、お寺では、地元の人たちの前で、堂々はつらつと、金沢そして天神町で感じたこと、考えたことを述べられました。
(あかつき屋でプレゼン資料の作成に取り組む学生さんたち)

学生さんたちは、3つのグループに分かれて、調査されました。金沢の観光の動向や金沢市のこまちなみなどの行政施策などを事前に調査され、ここでのフィールドワークと合わせて、感想、意見をまとめられました。
発表では、金沢が世界でも例を見ない、数百年にわたって戦場になっていない都市であることから、古い家並みや街路が今も数多く残っていることが報告されました。
(お寺で発表した3つのグループ)


一方、天神町については、その通りがかつて金沢と富山・福光方面とを結ぶ要路であったことから、戦後の一時期まで桶屋や髪結いの店など、数多くの商店でにぎわっていたことが、示されました。
しかし、近年は過疎化や少子化の波で、通りは商店の数がめっきり減り、今は魚屋さんや八百屋さん、畳屋さんなどが残るのみとなりました。
その再興策として、学生さんたちは、通りに加賀野菜などを売る直売所を設けたらどうか、との提案がなされました。
天神町から扇町にかけての通りは、いわゆる観光客が訪れることがまれなところです。それだけに、他のこまちなみと違って、活性化を図るのは、容易でないのかもしれません。
(すべての日程を終え、記念撮影する学生さんら)

でも、今回の学生さんたちの素直な感想と新鮮なアイデアを聞いて、何らかの突破口が見つかるのではないかとも感じました。空き家活用や新たな交通手段の導入などを通じて、新たな動きが生まれるかもしれません。
そんな気持ちにさせられた学生さんたちの発表でした。
学生さんたち、お疲れさまでした。ご宿泊ありがとうございました。
19日午後、東京の大学からゼミ旅行の学生さんたちをあかつき屋にお迎えしました。梅雨の時季でしたが、お宿の中は、学生さんらの元気な声が響き、活気にあふれました。
訪れたのは、立正大学経済学部の櫻井一宏准教授のゼミ生たち。金沢での二泊三日の研究テーマは、こまちなみ天神町の歴史と現状そして将来を探ること。歴史的な面影が色濃く残る天神町界隈をフィールドワークし、その後、地元の人たちを前にその調査結果を発表されました。
(椿原天満宮さんで地元の紺谷さんから説明を受ける)

兼六園などのメジャーな観光地ではなく、「古く」て、「小さな」歴史的な街並みにスポットを当て考えようと、今回のゼミ旅行が企画されました。
学生さんらは一泊目に、ひがし茶屋街を散策。まず、そこの休憩館でガイドのまいどさんから、茶屋街の歴史などを学びました。
(ひがし茶屋休憩館で)

翌日の午前、天神町を歩かれました。
初めにご一行は、椿原天満宮さんに集合。ここで、地元在住のいしかわ観光特使の紺谷啓さんから天神町について、古い地図を基に説明を受けました。
<天神町をフィールドワーク>
(築160年の小松さん宅でご主人がお話)

(魚屋越吉さんで)

(八百屋まついストアーさんで)

(馬坂上の高源院さんで)

この後、学生さんらは紺谷さんのご案内で天神町から扇町にかけて続くこまちなみを歩きました。
築160年の市こまちなみ保存建造物の小松さん宅を皮切りに、魚屋さんや八百屋さん、さらには馬坂上にある古刹高源院さんなどを訪ね、ご主人からお話をうかがいました。
どの方も通りの今昔について、いろいろなエピソードを交えて語られ、興味の尽きない街歩きとなりました。(つづく)
あかつき屋のお客様を通じて、昭和史にふれる機会を得ました。金沢で暮らした祖父、そして父の足跡をたどりたいと、アメリカからお越しになったご家族がいらっしゃいました。
神奈川県相模原にご実家がある小原淳子さん(55)ご一家です。小原さんは、あかつき屋に娘さんのえりかさん(29)、そして相模原に暮らすお母様の登美子さん(83)の三人で、こちらに三泊されました。
淳子さんの祖父は小原徳太郎さん(1880~1960)といい、戦前、旧満州(中国東北部)で陸軍軍医大佐として活躍した人です。そのご経歴で出色なのは、ご生前、日本の思想家として著名な徳富蘇峰と交流があったことです。
小原さんは金沢にご滞在中、敬愛する徳太郎さんの面影を求めて、県歴史博物館を訪ねたほか、徳太郎さんの住まいがあった旧銀杏町(現在の桜町)界隈を散策するなど、ファミリーヒストリーを探る旅を繰り広げられました。
(お泊まりになった小原さんご一家。左端はご友人)

小原さんご一家によると、徳太郎さんは医王山ろくで学校の先生の子供として生まれました。少年期から秀才の誉れ高く、小学校を卒業すると、旧制金沢一中(現金沢泉丘高校)、旧金沢医専などを経て、医師になりました。
戦前は満州に渡り軍医として働いたほか、そこの建国大学で教鞭も執ったそうです。
(戦前軍医だった小原徳太郎さん=ご提供写真)

(徳富蘇峰記念館に保管されていた徳太郎さんの書簡のコピー)

戦後は、中国から帰国し、医師としての生涯を送ることになったのですが、徳太郎さんの人生に味わいを加えたのが、徳富蘇峰との交際です。戦中、戦後、徳太郎さんは蘇峰宛てに数多くの書簡を送っており、27通の手紙が現在、神奈川県二宮町の徳富蘇峰記念館に保管されているのです。
登美子さんによると、義父の徳太郎さんは謹厳実直で、堅物な感じの人だったとのこと。ただ、蘇峰との交際については、知らなかったそうです。
淳子さんは日本の大学をご卒業後、アメリカに留学し、そこでアメリカ人男性と結婚、今は米国で暮らしておられます。今回、ご自身の一家の歴史を調査することを思い立ち帰国し、徳富蘇峰記念館を訪れ、さらに金沢にも足を運び、熱心に祖父らの足跡を探られたのでした。
なぜ祖父と蘇峰が交流したかについては、蘇峰記念館の職員の推測では、蘇峰の息子さんが兵士として満州に行き、徳太郎さんが戦地で蘇峰の息子さんを治療したことがきっかけではないか、ということでした。
そして淳子さんは、蘇峰記念館に保存されている徳太郎さんの書簡をコピーさせてもらい、今回の金沢ご滞在中、県歴史博物館を訪ね、その書簡について何が書かれているか、判読してもらおうとしました。
しかし、その書簡の文字が古文書のような、古風な筆遣いのため、県歴博の職員の方もよく読めなかったそうです。
これについては残念なことでしたが、小原さんは、祖父が金沢一中時代に下宿した、八坂そばの松山寺や横山町、材木町界隈も歩き、家族の足跡を探しました。
(小原さんのお父様が通った旧材木町小学校前で)

その中では、心とらえる場所がいくつかありました。今年三月に閉校になった材木町小学校です。そこは、数年前85歳で他界した父徳寿さんが通った小学校でした。
小原さんら三人は、校門前で感激の表情で記念写真を撮られました。
(加賀友禅会館でお着物体験も)

今回の金沢旅行では、淳子さんが東京の大学で共に学ばれ、現在は金沢にお住まいのご友人と25年ぶりに再会を果たされ、そのご友人とも金沢観光をされました。
小原さんご一家は、加賀友禅会館も訪れ、お着物体験もされるなど、観光気分も味わわれました。
淳子さんらは「とても有意義な金沢での四日間でした。祖父や父への思いが深まりました」と振り返られました。
皆様ご宿泊ありがとうございました。
日本のご夫妻とスイス人女性の温かいふれあいに間近に接する機会を得ました。あかつき屋にお越しになったのは、東京にお住まいのHさんご夫妻とNicoさんです。
Nicoさんは2年前に、日本語の勉強のため、東京に来られ、その際に、Hさん宅でホームステイされました。Nicoさんは今回は観光のための来日です。Hさんご夫妻は5年前にあかつき屋にお泊まりになったご縁で、再び金沢、そしてこの金沢町家に、スイスに住む‟娘さん”とご一緒にお泊まりになったのでした。
(お泊まりになったスイス人女性と東京のご夫妻=写真掲載了解済)

(ノートに描かれたカキツバタの絵)

お客様は、兼六園やひがし茶屋街、武家屋敷跡など、定番の観光地を巡られましたが、一方で、あかつき屋の近所の銭湯やお寿司屋さん、パン屋さん、お豆腐屋さんなどにも足を運ばれ、この界隈の下町風情を味わわれました。
白鳥路のホタル観察会にも加わりました。
Nicoさんは「金沢は古い町で、素敵です。その中で、新しいものも溶け込んでいるのが、いいですね」と感想を話されました。
ご出発の朝、かつてのホストファミリーの「お父さん」と共に、兼六園で観賞されたカキツバタをお宿のノートに描かれました。
その日、間もなくして金沢では気象台から梅雨入り宣言が発表されました。
(可憐な沙羅双樹の花)

あかつき屋の近隣では、沙羅の木が白い花を咲かせていました。
強い日差しや昼間の暑さから、梅雨入り近しを感じさせる金沢の気候。そんな中で、爽やかさを感じるひと時がありました。今朝、あかつき屋のお客様と近くの卯辰山の花菖蒲園に出かけたのです。
その園では、紫、青、白など彩り豊かな花菖蒲が見頃になっていました。園内をそぞろ歩き、きれいな花々を観賞。身も心もすっきりしました。
(美しい花々が広がる卯辰山の花菖蒲園)


この日あかつき屋にお泊まりになったお客様は、兼六園や茶屋街などメジャーな観光地はご存知でも、花菖蒲園についての知識はありませんでした。それで、そのフラワーガーデンは今ちょうど花が満開になっていることから、こちらからお誘いしました。
清純さと華やかさを兼ね備えた花の数々。山あいからは、風が流れて来て、とても気持ちのいい空間。
しばし散策した後、あずまやで一休み。持参した飲み物などを口にしながら歓談しました。
お客様のオランダ人男性とおしゃべり。オランダと言えば、チューリップが浮かんだので、「チューリップ以外に、アイリス(花菖蒲)もありますか」と尋ねました。
その男性。「アイリスもポピュラーです。(画家の)ゴッホが数多く描いています」とおっしゃいます。ゴッホは、代表作のヒマワリが有名ですが、この花菖蒲を題材にした作品もたくさん残していたのです。そして、そのゴッホは、オランダ生まれなのでした。
(アジサイの小道)

花菖蒲園を縁取るように、アジサイも咲き始めました。満開になったもの、まだ緑がかったものと様々。そのアジサイに沿う小道も楽しみました。
浅野川の素晴らしい夕景と出会う卯辰山の麓を流れる浅野川。数日前の夕方頃、天神橋に差しかかった時、素晴らしい風景と出会いました。
やがて日本海に日が沈もうとする頃、空や雲は赤みを帯び、色のグラデュエーションをつくっていました。
(感動的な浅野川の夕景)

右岸はひがし茶屋街、左岸は並木町のマンション群。静謐さと重厚さを醸すシルエット。その真ん中を浅野川が日本海に向かって静かに流れます。
歴史と現代そして、自然がつくるハーモニー。
この金沢に生きて、歓びと感謝の念を抱いた時間でした。
金沢マラソン2016の前日に当たる10月22日のご予約が定員に達したため、受け付けを終了させて頂きました。本日6月8日午前にインターネット上に本マラソン参加者の抽選結果が発表されたと同時に申し込みが相次ぎ、早々にお部屋が埋まりました。
お申し込みありがとうございました。ただ残念ながら、満室となり、お断りさせて頂いた方も少なからずいらっしゃいました。申し訳ありません。その方々には、次回またお申し込み頂ければと思います。
今年が2回目となる金沢マラソン。昨年から、あかつき屋では、参加選手専用の特別宿泊体制をとり、便宜を図らせて頂きました。競技中は、コース沿道から選手さんたちを応援いたしました。
今年もワクワク、ドキドキの時が近づいてきます。選手の皆様頑張って下さい。
城下町金沢が一年で最も活気づく時、それは百万石まつりの数日間。ことしも百万石行列が行われた4日の土曜日を中心に大勢の人でにぎわいました。
あかつき屋にはこの週末、その観光のお客様らがお泊まりになり、北の古都で繰り広げられる一大時代絵巻を楽しまれました。天候にも恵まれ、街なかで、お宿で、国内外からお越しになったお客様は、城下町金沢の初夏を満喫されました。
お客様の金沢ステイをご提供して頂いたお写真を中心に紹介させて頂きます。
(朝、東京から新幹線で金沢駅に降り立ったお二人)

JR金沢駅に降り立って、その熱気に圧倒されたのは、神奈川県内からお越しになったゆみこさん、あゆみさんのお二人。
お二人は、その日が百万石まつりの日と知らずに、金沢に入られたのでした。
お二人は、あかつき屋で同宿されたタイのBさんと夜は、お食事や兼六園のライトアップなどにご一緒に出かけられ、楽しい一泊二日を過ごされました。
(タイのBさん撮影の前田コレクション。鉄砲隊=上と袴田利家公=下)

(夜の兼六園)

(タイのBさん・右と、日本人のお友達お二人、あかつき屋のお庭で)

東京からは、一組のカップルがお泊まりになりました。昼間は百万石まつりを楽しまれる一方、お食事では、昼に近江町市場で海鮮丼、夜は、柿木畠でのど黒料理を召し上がり、日本海の幸を堪能されました。朝は、あかつき屋で花と緑で彩られたお庭を見ながら、朝食をとられました。
(近江町市場で海鮮丼を召し上がったお二人)

皆様ご宿泊ありがとうございました。
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