日本ファンの外国のお客様にとっては、この上ない一日になったようでした。あかつき屋に連泊中のフランス・マルセイユから来られたDunandさんご家族。今朝、あかつき屋の前のお寺・広済寺さんを訪れ、豪華雛人形飾りをご覧になったのでした。
そのお寺には、
今では極めて数少ない神殿造りのひな人形飾りがあるのでした。ご一家は、そのひな壇に目を見張りながら、お嬢さんのViolleteちゃん(日本語の愛称:すみれちゃん)の健康と幸福を祈られました。
(広済寺さんの豪華ひな人形飾り)

こちらのご夫妻は、大の日本好きで、10年前に初めて日本を旅行されています。お二人の新婚旅行でした。2年前にも訪日され、今回の日本旅行では8歳のお嬢さんとともに金沢にお越しになりました。
(熱心にひな人形をご覧になるフランスのご家族)

(お寺から、おひなさまチョコを頂き大喜び)

ちょうど桃の節句が近いことから、広済寺さんのご厚意で、毎年この時期に飾られているひな人形飾りを見せてもらいました。日本情緒あふれる豪華絢爛な雛人形飾り。ご家族は、すっかり魅了され、写真を撮って記憶にとどめられました。
遠来からお越しになったということで、お寺の奥様から、ご家族は、ひな人形をかたどったチョコレートを頂きました。思いがけないプレゼントに、お嬢さんらは大喜び。「ありがとうございます」とお礼を述べられました。
(武家屋敷跡で躍動するお嬢さん
=ご提供写真)

二泊三日の金沢の旅。ご家族は存分に城下町金沢を楽しまれました。兼六園、近江町市場、武家屋敷跡、尾山神社、ひがし茶屋街等々。藩政時代の遺構や街並みは、心を大いにとらえるものだったようです。
ご家族は昨日、あかつき屋の近所のお寿司屋・まるよしさんで夕食をとられ、お店のご主人や常連客の方々ともふれあわれ、「とても楽しかった」と笑顔で振り返っておられました。
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今日、あかつき屋に新たなページが加わりました。金沢市から「金澤町家」のプレートが贈られ、業者さんの手によって、玄関に取り付けられたのです。
真鍮合金でできたそのプレートは金沢美大の学生さんがデザインしたもので、重厚な中にも、きらびやかさが感じられます。このお宿の見栄えが増すと同時に、私たちの中にも、この建物を守っていかねばならないという、使命感が改めて生まれました。
(プレートの取り付け作業に当たる業者さん)

このプレート設置は、金沢市さんが町家オーナーに金澤町家に対して一層誇りと愛着をもってもらうと同時に、市民に対しても金澤町家が本市の貴重な歴史遺産であることを認識してもらおうと企画されたものです。
この日午前、プレートを取り付ける業者さんがあかつき屋にお越しになりました。こちらでは、事前にプレートの設置場所を検討し、国登録有形文化財の銘板の上に付けるのが良かろうと決めていたので、業者さんには、その場所に付けてもらいました。
(プレートは国登録有形文化財の銘板と絶妙な一体感を生みました)

取り付け作業は、プレートを町家正面に釘で留める極めて簡単なものでした。
作業が終わり、少し離れて家の正面を眺めると、「金澤町家」のプレートと国登録有形文化財の銘板が、絶妙な一体感を醸し出していました。
プレートは縦5㌢、横幅15センチ余りと、そんなに大きなものではありませんが、家全体を引き締め、さらに一本芯を加えたような力がありました。
二月も後半になり、旅立ちの季節になってきたなーと感じます。あかつき屋には、卒業旅行でお泊まりになる学生さんらが増えてきました。
この度お泊まりになったのは、アルバイト仲間の方たちで、神奈川県内からお越しになりました。卒業を控え、四月からは新たな人生のスタートを切られる若者たち。金沢での滞在は半日にも満たないほどでしたが、兼六園のライトアップに出かけられ、鮮烈な印象を残されました。
(アルバイト仲間のお客様たち=写真掲載了解済)

こちらのお客様は、スーパーのレジでアルバイトされてこられ、長い人では、学生時代の4年間勤め上げた方もいらっしゃいました。各種食品がそろう流通の職場から食卓を支えてこられたのでした。
お客様は卒業も近くなり、気のあった仲間同士で車で旅に出かけられたのでした。金沢には、三重県・伊勢に寄られた後、夜に到着されました。
(幻想的な風景のライトアップされた兼六園=お客様ご提供)

(金沢城も神々しいほど=同)

旅装を解くやいなや早速、ライトアップされている兼六園・金沢城に出かけられました。光に照らされ、まぶしいほどに輝く名木群。その美しい風景をカメラに収められました。
その後は、柿木畠のお食事処へ行かれ、金沢グルメを楽しまれました。
翌朝は白川郷へ行かれるということで、早々にお宿をたたれました。わずかな時間の金沢ステイでしたが、満足のいくものになったようでした。
皆様、社会人になっても、健康に留意され、それぞれの職場で明るく頑張って下さい。ありがとうございました。
肌寒い日が続く中で、時ににっちゅう暖かな日差しが注いだりと、少しずつ春に向かっていくような天候。静かな日々が続く北陸・金沢です。
そうした中で、心がほっと和むようなことに出くわしました。あかつき屋の近所の饅頭屋・山本観音堂さんで、ころころ団子作りが行われていたのです。
「ころころ団子?」私にとって、何ですかそれ、という感じですが、聞けば出産が近い女性のご実家が、娘の安産を願って作る団子(お餅)なのだとか。出来た団子は、ご親戚や親しい人に配るのだそう。
長年金沢に住んでいるけれど、そんな風習があったなんて初めて知りました。
(ころころ団子作りに精を出す山本観音堂さんのご主人と女将さん)

ころころ団子は、和菓子どころ金沢では昔から受け継がれている風習といいます。ころころ団子は、楕円形のおもちです。なんでも犬は多産で安産なことから、それにあやかり、妊婦さんが9ヶ月目に入ると、無事出産を願って、戌の日に親戚らに配るのだそうです。
そのお饅頭の数は、9,11、13の奇数とされているとか。
(出来たお団子は扇風機で冷まします)

(お団子は元気のいい子供が描かれた包装紙で包みます)

過日、山本観音堂さんでは、朝からご主人と女将さんが、お客さんから注文を受けて、ころころ団子作りに追われていました。つきあげたおもちを手際よく、楕円の形にしていきました。
そのお団子は、その後、冷ますため、棚に並べて扇風機で風に当てていました。
出来上がった団子は、元気な子どもを描いた包装紙で覆った箱に詰められました。
(同時にお赤飯も作られました)

このお客さんは、同時にお赤飯も観音堂さんに注文されており、作業場には出来上がったお赤飯もありました。
仕事が一段落すると、女将さんがいろいろと話して下さいました。
「私がお嫁に来た時は、毎日のように、朝の2時か3時に起きて、お団子作りをしました。数えきれないほど作ったもんですよ」。
でも、昨今の少子化の波と生活様式の変化もあって、「今は(ころころ団子の注文は)年に数件あるか、ないかです」と、話されました。
とは言うものの、何と言っても人のおめでたいことにかかわっているとあって、表情は明るく、お声に力がありました。
人は、お饅頭とともに人生の節目を刻み、苦楽を重ねていく。日々生きていくことの価値をかみしめることにもなりました。
2月も後半に入り、あかつき屋では、学生さんのお泊まりが増えてきました。この度こちらにゼミ旅行でお越しになったのは、甲南大学(神戸市)の先生と学生さんのご一行様。
学生さんらは、歴史を専攻されており、百万石の城下町金沢は格好の学習の対象。兼六園のほか、ひがし茶屋街など歴史的遺産に足を運ばれ、五感で北の古都を感じられました。
(ご宿泊になった甲南大学の学生さんら=写真掲載了解済)

ご一行様は、甲南大学文学部歴史文化学科の鳴海邦匡教授とその先生のゼミ生たち。それぞれの時代と地域において、そこに生きる人々と環境との関わりを研究しておられます。
あかつき屋は、国登録有形文化財のお宿ということで宿泊先に選んで下さいました。
一日目は、県観光物産館で和菓子作り体験をされた後、ひがし茶屋街を訪ねられました。そこでは、金沢の観光ボランティアガイドのまいどさんの案内で街歩きをされました。
日本の情緒漂う、重厚な佇まい。学生さんは「とても素敵」と話され、古い街並みの風情を楽しまれました。
(ひがし茶屋街志摩でまいどさんのお話を聞く学生さんたち
=ご提供写真)

この中では、お茶屋志摩に入られました。まいどさんの男性は、ここでこのお茶屋の歴史や使われ方などを説明され、学生さんは熱心に聞かれました。
(夜の勉強会でこちらが準備した説明資料)

夜は、市中心部のお食事処で金沢の郷土料理治部煮やおでん、お刺身などを召し上がった後、あかつき屋で勉強会を開かれました。
その席上、私は、あかつき屋について紹介したレジュメと映像資料を基に、この建物のことや地域のことについて説明させて頂きました。
学生さんは静かに耳を傾けられ、質疑応答では、神棚の上の天井に貼ってある「雲」という字は、どういう意味がありますかとか、お部屋の天井にさしてある、串刺しのものは何ですか、などと尋ねられました。
雲の文字は、神棚の上は、何もない空であることを意図し、串刺しのものは、金沢・野町神明宮のあぶりもちで、家内安全、五穀豊穣を祈るものであると答えました。
学生さんにとっては、金沢の風習にもふれるゼミ旅行になったようでした。
先生、学生さん、この度は、ありがとうございました。引き続き有意義なキャンパスライフをお送り下さい。
今日あかつき屋が、地元放送局北陸放送(MRO)さんの番組レオスタで紹介されました。特集「シリーズ町家考」で取り上げられたもので、この回のタイトルは「ゲストハウスで伝えるもの」。
ゲストハウスは金沢でも近年相次いでオープンしていますが、あかつき屋は、国登録有形文化財に指定され、その建築美を堅持していることに加え、研究、学習の場としての活用や、職人さんとの交流など、特色のある活動を繰り広げていることから、そうした点がクローズアップされました。
こうした観点での取材、放送は、こちらの日々の取り組みを丁寧にご覧になり、評価されたものと思え、光栄に思うと同時に、大変うれしく感じました。放送に恥じないよう、改めて気持ちを引き締めて、お宿業に精励します。
(レオスタで紹介されたあかつき屋=テレビ画面から)

(上がりの間の花嫁のれんも映されました=同)

あかつき屋は、国登録有形文化財に指定されていることから、日常的に建築家やデザイナーなどのお泊まりが数多くあります。こちらでは、こうした人たちのニーズに的確に応えられるよう、説明資料を準備するなどして、対応しております。
また、町家は、建具、表具、左官、畳 庭師さんなど、様々な職人さんの心と技が凝縮したもので、日頃から職人さんが維持管理などであかつき屋に出入りしています。
今回の放送では、そうしたこのお宿の特徴的な取り組みや日常にスポットを当てたものでした。
(宿泊された学生さんとの会話も紹介されました=同)

(ロケ後、取材スタッフさんと記念撮影しました)

MROさんの取材日には、たまたま大阪大学大学院人間科学研究科の澤村信英先生(教授)とその研究室の学生さんがお泊まりになりました。テレビ局のスタッフさんは、あかつき屋が、こうした研究者の調査対象にもなっている点に注目して取材し、放送されました。
さらに、私と表具屋さんとのやりとりも紹介されました。
瀬田表具店のご主人から襖戸の種類やお部屋の建具の特長について説明を受けている様子が放送されました。
メディアで取り上げられるということは、一般への周知という点で効果的ですが、一方で興味深く、メリハリの利いた収録内容は、情報資産とも言え、大変ありがたいものです。
MROさんこの度の取材、放送、ありがとうございました。
春が到来したのかと思ったら、8日は一転して雪になりました。城下町金沢には、再び冬の風景が広がりました。9日も終日雪が降り、その天候の激変ぶりに困惑するほどでした。
その中で、あかつき屋には、アメリカ人夫妻や三重県内の職場仲間の女性がお客様としてお泊まりになりました。このうちアメリカ人のお二人にとって、古い街並みや町家に降り積もる雪は、心とらえるもののようでした。
今朝起床し、木戸を開けてみたところ、外のお庭は真っ白。「とても素敵ですね」と感動されたご様子でした。
(お泊まりになったアメリカ人ご夫妻=写真掲載了解済)

お二人は、長町の武家屋敷跡などを回られ、夕刻チェックインされました。その日は、近所のまるよしさんでお寿司を召し上がり、続いてみろく温泉で初体験の銭湯を経験されました。
(雪に包まれたお庭)

(Lisaさんがお宿ノートに描いた旅思い出)

翌朝起きたら、外は真っ白。お庭は、雪に包まれており、ピュアな白の世界。妻のLisaさんは、肌寒さを感じながらも、しばらくお庭を眺めておられました。
受けた感動を早速お宿ノートに達者な筆遣いで絵を描かれました。どこで覚えられたのか、漢字で「雪」の文字も書かれました。
異郷から来られた旅人には、雪は文字通り「天からの贈り物」になったようでした。
突然、本物の「春」がやってきた。週末の7日金沢は、そんな一日になりました。暖かな日差しがあふれ、思わず外に出たくなるような、そぞろ歩きしたくなるような気持ちに。待望の春が、今ここに。そんな思いにさせられました。
春の日差しを身体いっぱいに受け、城下町金沢のステージで心身を躍動させた、あかつき屋のお客様が、いらっしゃいました。ひがし茶屋街や21世紀美術館は、格好の場。心おきない会話とパフォーマンスを繰り広げ、北の古都で熱い思い出を胸に刻まれました。
(あかつき屋に「春」を運んで来られたお客様)

お越しになったのは、かつて大阪芸術大学で共に学ばれた仲良しの三人さん(もう一人のお友達は、現在ベトナムご在住)。お三方は在学中、ガールズダンスサークルRiptonに所属され、ヒップホップダンスを習得し、ステージで素敵なパフォーマンスを見せてこられました。
(21世紀美術館プールで)

(陽光を受ける浅野川。川面には、鳥の群れ)

(ひがし茶屋街で記念写真)

そんな明るく、軽快な動きが身についておられるのか、金沢でも躍動感あふれる旅を繰り広げられました。21世紀美術館、ひがし茶屋街等々、新時代と古い歴史が調和する金沢。そこで、春の日差しを身体に浴びながら、とびきりの笑顔とシャープな身のこなしをみせられました。
そして夜、街歩きを終えられたお客様は、あかつき屋にも「春」を運んでこられたのでした。
ご提供いただいたお写真と合わせ、お客様の金沢での二日間を紹介させて頂きます。
立春が過ぎ、昼間いくらか気温が上がっても、夕方頃になってみぞれやあられが降ったりして肌寒くなったりします。本当の春には、まだ時間がかかりそう。もうしばらく我慢です。
でも、そんな冬の日々は、辛いことばかりではありません。北陸・金沢には、この季節ならではのおいしい食べ物が多々あり、その一つに発酵食品の糠漬けがあります。鯖の糠漬けをあかつき屋の近所の魚屋越吉さん(扇町)で買い、それを夕食の際お茶漬けにして食べました。
(越吉さんの店頭に置かれた鯖の糠漬けの樽)

越吉さんでは、自家製の各種糠漬けを店頭に出しておられます。過日立ち寄ったところ、女将さんが、鯖の糠漬けが入った樽を前にして、いろいろと説明して下さいました。
樽から取り出したその糠漬けは、平成26年の2月に漬けたもので、一年ほど熟成したものです。
「なんば(唐辛子)を入れておくと、虫よけになるんやは」と女将さんは話し、「そのまま食べていいし、焼いてお茶漬けにしてもいいですよ」と食べ方をアドバイスされました。
(鯖の糠漬けは、お茶漬け用に半分ほどを使いました)

私は以前にそれをお茶漬けにして食べたことがありますが、今回は一工夫しました。それは焼いた鯖の糠漬けの周りに永谷園のお茶漬けを散らしてみたのです。
お湯を注いで出来上がった鯖の糠漬け茶漬け。糠風味の鯖は、それはそれでコクのある旨みがあるのですが、幾分辛くも感じられます。
(周りに永谷園のお茶漬けを散らすことで味に軽やかさが)

それが、永谷園のお茶漬けの海苔とあられなどが加わることにより、その塩辛さが和らぎ、味に軽快感が生まれるのです。最初にイメージした通りでした。
また、お湯に浮かんだ鯖の脂は、何とも言えない食感をつくります。元気が出る感じです。
北陸の冬の風土が生んだ鯖の糠漬け、そしてそれが主役のお茶漬け。戸外の寒さを忘れさせてくれる、充実の夕食となりました。
金沢は静かに二月に入りました。終日雪模様となり、肌寒い一日に。雪は激しいものではなく、路面に積もるほどではありませんでした。それでも、家々の黒い瓦屋根には、雪は残り、瓦の黒と鮮明なコントラストを描いています。
(雪模様となった、あかつき屋界隈。右側がお寺広済寺さん)

「雪にもいろんな形があるんですね」。この日お泊まりになった東京からのお二人連れは、そんな感想を漏らされました。
確かにその通りです。その日の雪は、綿のようにふわふわとしたものや、あられよりはうんと小さい、数ミリのビーズのような雪も降りました。
この頃の雪は、12月の湿気の多い、重い雪と違って軽やかで、雪道を歩いていても、険しい気持ちにはなりません。
そんな中にあって、あかつき屋は、新春の華やぎと、春の息吹が感じられる佇まいとなっています。
一つは、玄関と接する上がりの間には、新年を寿ぎ、
花嫁のれんを飾りました。母が60数年前に花嫁衣裳として実家から持ってきたものです。少女期に父を亡くし、母のお母さん(私にとって亡き祖母)が、女手一つ日夜懸命に働いてつくった蓄えでこしらえたという、その花嫁のれん。
(上がりの間に飾った花嫁のれん)

表面には、友白髪の老夫婦を中心にして、松竹梅、鶴亀など、おめでたいもので占められています。新品同様の真新しさで、いつもお客様をお迎えしています。
(円窓の前に生けた春の草花)

玄関の円窓の前の花器には、水仙、チューリップ、ボケなどの春の草花を生けました。
それぞれは、日ごとに花びらを広げ、花の数を増やしているようです。
凛とした姿、清純な色合いが、城下の下町に位置する古い町家で早春賦を奏でています。
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