日々町家(町屋)での営みを続け、様々な人と接していると、いろいろと学ぶことがあります。今回は、金沢市菊川1丁目で表具店を開く瀬田良三さんから、和室に用いられる戸について教わりました。
瀬田さん「同じように見えても、戸には、いくつも種類があるんですよ」。
表装された戸を簡単に襖(ふすま)と言ってしまいそうですが、瀬田さんによると、そうではなく、戸にはめこむ障子や桟の位置、形状によってそれぞれ名前があるのだそうです。
「町家も奥の深い世界だなー」。そんなふうに思いました。
(和室の戸について説明される瀬田さん)

瀬田表具店さんには、あかつき屋に年に何回か来て頂いています。主に障子戸の貼り替えです。今回も年が明けたことを機会に2階の障子戸を貼り替えました。
瀬田さんのお店を訪ねました。瀬田さんは、和室の戸には、いくつか種類があることを手描きのデッサンを示しながら、説明して下さいました。
それによると、戸に収まる障子の位置や、障子が貼られる木の桟の間隔などによって、それぞれ呼び方があるとのことでした。
その詳細は、以下の図の通りです。
(瀬田さんが描いて下さった数種類の戸のデッサン)

瀬田さんは、あかつき屋のコミュニティルームにある折部(おりべ)はもうほとんど製造されなくなり、見かけなくなったと、説明されました。貴重なものなのですね。
(このお宿のコミュニティルームにある「吉原」)

「吉原」という艶っぽい名前の戸もあります。これもあかつき屋では、同じコミュニティルームと2階の客間にあります。
あまり意識せずに見ていた戸も、名前を知ることによって、その建具としての特長や歴史をも知ることができるようです。お客様には今後、この建物のみならず、今回教わった戸についてもご紹介させて頂こうと思います。
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町家(屋)のゲストハウスは、様々な出会いの場。人と人とが出会うのは、もちろんですが、しばしば素敵な品との出会いもあります。
昨晩、初めて出会った品は、琵琶湖のお魚を材料にした佃煮です。滋賀県で佃煮の製造販売されている「鮎家」さんの商品です。鮎の飴煮など5品の佃煮。あかつき屋の食卓に並べ、お客様に提供させて頂きました。
若いお客様たちは、「おいしい」「おいしい」と声を弾ませながら、ご歓談されました。
(琵琶湖のお魚の佃煮を囲み歓談されるお客様=写真掲載了解済)

この品は、あかつき屋とご縁が深い、滋賀県彦根市の町家のお宿とばや旅館さんから頂いたものです。そこのご主人の弟さんが昨日金沢にお越しになった際、あかつき屋に寄られ、お土産として下さったのでした。
その日は二組のお客様がいらっしゃいました。大阪アメリカ村にある「昭和ときめきサロン桃色宇宙」さんのお客様のご夫妻と、以前に京都の同じ大学で学ばれたお友達グループでした。
桃色宇宙さんについては、昨年そのお店の“修学旅行”で“生徒さん”たちの宿泊先としてご利用して頂いたことでご縁が生まれました。
二組のお客様は、それぞれ外で夕食を終えられて、お宿に戻られました。阿吽の呼吸で二次会をすることになり、こちらではその日頂いた琵琶湖の幸の佃煮をお出ししました。
(鮎の飴煮などの佃煮の詰め合わせ)

器には、鮎の飴煮のほか、ちりめん山椒、わかさぎ、あみえび、えび味噌味醂の5品の佃煮が、彩り豊かに並んでいました。私もそれを頂きましたが、いずれも、ほどよい甘さが染みたいいお味でした。
お客様は、関西に在住か以前に暮らしたことがある方たち。琵琶湖畔の地場産品を身近に感じながら、舌鼓を打っておられました。とばや旅館さん、ありがとうございました。
お客様が、いっぱいの幸せを携えてあかつき屋に来られた。そんな気持ちになりました。この度、お迎えしたタイの二組のお客様は、いずれも新婚旅行で金沢にお越しになったのでした。
寒さが続いていますが、二組の新婚カップルは、若々しさと初々しさを身体から発散させておられ、こちらもホットな気分になりました。ささやかですが、手作りのメッセージポスターを贈り、お祝いさせて頂きました。
(宿泊されたタイの二組の新婚カップル)

タイの二組は、NoteさんJuneさん夫妻と BeeさんAkeさん夫妻です。高校時代の友人及びJuneさんのだんなさんという組み合わせです。
いつもお客様には、最高の金沢ステイになるよう微力ながら努めていますが、今回は多少でもお祝いしたいと手作り品を準備しました。それは、お祝いメッセージポスターです。
(お贈りしたお祝いメッセージポスター)

デザイナーのNoteさんが、お宿ノート(自由帳)に4人の似顔絵を描かれたので、これを無地のポスターに転写し、さらに私の似顔絵を載せました。私の似顔絵は、一昨年に台湾の女性のお客様が描いて下さったものです。
そのポスターの余白には、「HAPPY MARRIAGE」「to Thai's Guests」などのメッセージを添えました。
夜、そのお祝いポスターを二組のカップルにお贈りすると、思いがけないプレゼントに驚きながらも、感激の表情。「ご親切に感謝します。金沢での良い思い出になりました」と笑顔でお礼を述べられました。
いつまでも幸せにお暮らし下さい。ありがとうございました。
大寒が過ぎました。金沢はこのところ雨の日はあっても、雪は降らず、街なかからほとんど雪が見えなくなりました。肌寒い日は続いていますが、季節は春へと舵を切ったようです。日照時間が長くなり、日差しに力強さが出てきました。
そんな中で、金沢や奥飛騨・白川郷の雪の風景をとらえた写真が、お客様から届きました。送って下さったのは、大晦日から元旦にかけて、
あかつき屋にご友人と宿泊して頂いたマレーシアのJadeさんです。
(元日、雪の朝を迎えたあかつき屋)

日本は初めて、もちろん雪を見るのも初めてというJadeさんは、穏やかだった大みそかから一転、激しい雪となった元旦は、昂奮しながら外の風景にカメラを向けられました。
(激しい雪の中の兼六園下交差点)

この日、早朝に金沢駅から白川郷へ行くことになっていたのですが、駅までの移動中の車窓からも雪の景色を撮影されました。それは、私たち金沢に住む者にとっても見ることができないような、珍しい風景でした。特に兼六園下交差点付近の雪景色は圧巻でした。
(雪にすっぽり覆われた白川郷)


さらに着いた白川郷でも、エネルギッシュに撮影されました。雪深い奥飛騨の秘境。すっぽり雪に包まれたそこは、幻想的で、神秘的でもありました。
Jadeさんが撮られた金沢と白川郷のお写真を紹介させて頂きます。
Jadeさん、素敵な写真をお送り下さり、ありがとうございました。
(Thank you very much,Jade-san. I am very excited to see your fantastic photos you sent by email)
先週末のイベントのもう一つは、大阪・高槻で日曜日に開催された第23回高槻シティハーフマラソン大会に出場することでした。彦根のとばや旅館さんに泊まった後、早朝JRで高槻に向けて出発。10時40分市立陸上競技場をスタートする10㌔の部に挑戦しました。
この大会は、10年ほど前に数回出たことがあるのですが、遠方であることに加え、仕事の都合もあってその後出場できませんでした。久しぶりに走ったそのコース、淀川の河川敷あり、田園地帯あり、住宅街ありと、のどかな道のり。好天に恵まれたこともあって、気持ちの良いランニングとなりました。
本大会は私にとって縁起の良い大会。10㌔を初めて50分切ったからです。今回は50分といかないまでも、そこにどこまで迫れるかと意気込んでいたのですが、56分台に終わりました。
(高槻のマラソン大会の完走証とゼッケン)

とは言え、悔いはありません。忙しい年末年始を終えて、練習に取り掛かったのは、十日ほど前。ジムのランニングマシーンで3、4回走ったにすぎないのですから。
得た結論は「練習以上のものは出ない」「実力以上の結果は望めない」です。
ランニングマシーンで速度設定したほぼその速さで10㌔を走ったタイムが出た形です。
それにしても、コース一帯は太平洋側らしく、冬の真ん中なのに、青空がのぞき、暖かさも感じられたほど。そして何より、ありがたかったのは、これまで同様に、高槻市さんが市挙げて選手を歓迎して下さったこと。
高槻駅での歓迎看板や会場へ向かうバスへの誘導から始まり、競技終了後に手渡されるバナナやスポーツドリンク等々、どれも心がこもったものです。
高槻の皆様ありがとうございました。また、ぜひ大会に出たいと思います。
お正月ムードが抜けたこの週末は、心と体の両面でエネルギーを充填する期間となりました。17日の土曜日は滋賀県彦根に赴きました。
あかつき屋を開業する前に、修業させて頂いた彦根の町家宿とばや旅館さんを訪れるためです。ここに来るのはおよそ4年半ぶり。近況報告方々お宿の勉強も兼ねてのお泊まりです。
ご主人や女将さん皆さんお元気でした。懐かしさと親しさを胸に抱き、一晩お世話になりました。
2011年1月にあかつき屋をオープンして以来、毎日が慌ただしく過ぎていきました。お宿業を勉強させて頂いたとばや旅館さんにお礼のごあいさつをしたいとかねてから思っていて、実現できずにいたのでした。
年末年始の忙しさも一段落した機会を利用して、城下町彦根に足を運んだのでした。
JRで夜彦根駅に着いた時は、雪が降っており、街は白くなっていました。その白さは、気持ちを新たにしてくれました。
夜道を歩いていき、少し迷って、とばや旅館さんに着いた時は、ほっとしました。玄関には女将さんがいらっしゃり、笑顔で迎えて下さいました。女将さんは80代半ばですが、以前と変わらず、はつらつとしていました。
(4年半ぶりに再会したとばや旅館のご主人)

早速夕食を頂きました。夕食が終わる頃、会合を終えてご主人(女将さんの息子さん)が帰ってこられました。
あかつき屋の近況をお話する一方、ご主人から彦根の宿泊業界の様子もうかがいました。時代の変化は早く、彦根にも、外国人客が増えた反面、新たなビジネスホテルが近く進出するとかで、安閑としておれないとのこと。聞いていて、身が引き締まりました。
お宿業に携わる立場で、とばやさんを拝見すると、いくつも参考になる点がありました。
ローマは一日にしてならず。千里の道も一歩から。
倦まず弛まず、精進することが大切と感じました。
初心に帰った彦根の老舗宿でした。
一月十五日。あかつき屋のある、兼六大通りの両側に広がる地域では、地元の氏神様である椿原天満宮(神社)で左義長が行われる日。午前中雨の中、玄関のお正月飾りや神棚に供えていたお札などを持って、歩いて神社に出かけました。
その神社では、参道の途中にある広場が左義長の場所になっており、階段を登って着くと、煙が上がり、パチパチと火が燃える音がしていました。持ってきたその正月飾りなどを火の中に投じました。
赤い炎が再び上がり、火勢が増します。正月ムードに浸っていた訳ではないけれど、なんかふんぎりがついた気持ちになりました。
(椿原神社で行われた左義長)

さらに階段を登り、拝殿の前に立ち、お参りをしました。ここには、お正月にも来ましたが、再び柏(かしわ)手を打ちました。「新年もよろしくお願いします」と。
一月十五日は、特別の日であると感じます。以前この日は、成人の日でもありました。
あかつき屋にとっても意義深い日。
ちょうど4年前、この日にお宿を開いたのですから。その日は、町が白くなった雪の日でもありました。期待と不安の中で、「金沢町家ゲストハウス あかつき屋」の第一歩を踏み出した日でした。
左義長が椿原さんで行われる日は、様々な思いが交錯する記念の日でもあります。
今日は、肌寒い雨の日でしたが、あかつき屋に過日、金沢に以前にお住まいだったKさんから、からりと晴れた空の下で行われた「左義長」の写真がメールで届きました。
(Kさんの地元宝塚で行われたトンド焼き)

Kさんの地元・兵庫県の宝塚では、この風習を「トンド焼き」と呼ぶそうです。地元の小学校で行われた、そのトンド焼きのお写真を送って下さいました。
高く組み上げた青竹の中に、書初めやしめ飾りなどを入れて燃やす、トンド焼き。子どもたちの元気の良い姿が青空と相まって、いかにも太平洋側と言った雰囲気です。
Kさんは、金沢にいた時の職場が南町にあり、そのそばの尾山神社で左義長に参加されたそうです。今は地元の宝塚でのトンド焼きに臨む時、金沢時代に経験した56豪雪など様々な思い出が脳裏をよぎるそうです。
寒の中にありますが、あかつき屋では、ホットな話題が続いています。この三連休にお泊まりになったお客様が、夕食を終えて帰って来られた時、この上ないものをお土産に持ってこられたのです。
それは、生サーモン入りのかまぼこです。柿木畠界隈にあるお食事処「あげは」(金沢市広坂1丁目)さんで頂いたものです。そのかまぼこは、その日作ったばかりとあって、食べたところ、お刺身のように新鮮そのもの。そのおいしさに歓喜の声を上げてしまいました。
(あげはさんから戻られたお二人=写真掲載了解済)

(生サーモン入りかまぼこ)

そのお客様はカップルで、
女性のОさんは、昨年夏にあかつき屋にお泊まりになっており、今回は彼氏さんを伴っての再訪です。前の時もあげはさんで食事を取られており、今回そこでは半年ぶりのお食事です。
(あん肝の海鮮ケーキ=お客様ご提供写真)

あげはさんは、かまぼこなど自家製練り物には、定評のあるお店。お二人はそこで海鮮しゃぶしゃぶや、あん肝の海鮮ケーキなどを召し上がって来られたとのこと。そのお店では、店主さんや同席された他のお客さんとの話も弾み、4時間もおられたのでした。
その後、あかつき屋で披露されたのが、生サーモン入りのかまぼこです。サーモンは酢で漬け込んであり、かまぼこは、蒸していないものだとか。
食材良し、お料理の腕も良しの至高のかまぼこ。昂奮の夜となりました。
(前回の続き)
あかつき屋での石川算数サークルさんの新年会で圧巻だったのは、もつ(ホルモン)鍋でした。このお宿では、寒い冬場にお客様がしばしば調理される鍋料理。その中で、今回初めてもつ鍋がお目見えしたのでした。
そのお鍋が食卓にすき焼き鍋と並んで登場した時は、思わず声を上げてしまいました。もつ独特の形状と香り。メンバーの食欲をわしづかみにしました。
今宵そのもつ鍋を登場させた立役者が、サークルのメンバーにいました。金沢市諸江町小学校で教頭を務める太田秀人先生です。太田先生は、大のお料理好き。この新年会では、もつ鍋を提案され、下ごしらえから当日の調理まで大活躍されたのでした。
(十八番のもつ鍋を披露された太田教頭先生
=写真掲載了解済)

太田先生は、もつ鍋には、かなりのこだわりがありました。お肉の仕入れには、三口新町にある「肉のみやざき」さんに行かれ、豚と牛の二種類のホルモン肉を買われました。
豚ホルモンについては、臭みをとるため、鍋に生姜とネギを入れてゆでて油抜きし、牛ホルモンについては、醤油と酒で一晩漬け込んだものをあかつき屋に持って来られました。
あかつき屋では、まず「創味のつゆ」をベースにしたお鍋に豚ホルモンを煮込み、続いてキャベツやニラを入れ、ニンニク、鷹の爪(唐辛子)で味付けました。さらに、下ごしらえした牛ホルモンを入れて、仕上げました。
出来上がったもつ鍋を私も少し頂いたのですが、ホルモン独特の臭みはほとんどないものの、もつの味がしっかりしみたお鍋でした。
このもつ鍋を食べ終わった後、太田先生は今度は、このだし汁を使ってもつ煮込みラーメンを作られました。台所に立ち、再度豚ホルモンを入れて煮込み、十分煮えた後、ラーメンを入れられました。
これも勧められ、少し頂きました。
(ラーメンを入れる前に再度豚ホルモンを煮込む)

(ラーメンを入れて出来上がり)

ホルモン肉をベースに様々な食材が凝縮された濃厚スープ。それが見事にラーメンとマッチしていました。(どんなお味になるのかと)最初抱いた懸念は吹き飛び、思わず「おいしい」と声を上げてしまいました。
「ふつうに、ラーメン屋さんで出せる味じゃないですか」と太田先生に話したら、先生はにこやかに応えておられました。
今回、私は遠慮がちにそのもつ料理を頂いたのですが、次は別の機会を設けて頂いてじっくりと味わってみたいと思ったことでした。
石川県内で算数教育について考える勉強会を開催されている先生方があかつき屋に集まり、新年会を開いておられます。若手から中堅の小学校教諭で占められているこの集まりは、「石川算数サークル」と言い、定期的に勉強会を持たれています。
今回初めて開いた親ぼくの会では、すき焼きともつ(ホルモン)鍋を作り、一同その鍋料理に舌鼓を打ちながら、話に花を咲かせられました。明るく気さくなおしゃべりは、外の寒さを忘れるほど。三連休初日の今日、先生方にとっては、英気を養う場にもなったようでした。
(新年会をされる石川算数サークルの先生方=写真掲載了解済)

この会は、一昨年小学校長を定年退職された藤森慎一先生(金沢市)が発起人となって始められました。数学教育の権威である東京学芸大学時代の恩師杉山吉茂先生(東京学芸大学名誉教授)の薫陶を受けた藤森先生が、若い先生方に算数・数学の教える楽しみや、教授法を知ってほしいと平成25年にこの会を立ち上げられました。
ふだんは、野々市市教育センターで月1回定例会を開き、教材の在り方などテーマを決めて考え、意見交換をなさっています。新しい年になったのを機会に今回初めて親ぼくの新年会を開かれました。
(すき焼き鍋。極上の牛肉を使われました)

(もつ鍋)

会食の中心に据えたのは、すき焼き鍋ともつ鍋。すき焼きのお肉は、松任(白山市)の犀与亭さんから買ってきたという極上のお肉を使い、もつ鍋は、豚と牛の二種類のもつ肉を使って、味にこだわりました。
さらに、ぶりやさわら、サーモン、イカなどの刺身が加わりました。近江町市場で仕入れたものです。
(新鮮なお刺身)

皆さんおいしいと声を弾ませながら、お仕事のことや趣味のことなどをざっくばらんにおしゃべりしながら、長い夜を過ごされていました。(つづく)
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