2014年(平成26年)が間もなく閉じようとしています。慌ただしく過ごしたこの一年。それでも新年を迎える準備を終えて、夜一人パソコンに向かっていると、厳かな心持ちになって、これまでのあかつき屋の日々を顧みることにもなります。
お陰様で大過なく一年を終えることができた。そんな思いが、正月の飾り付けをしている中で胸の内に生じました。大災害を例にとるまでもなく、「想定外」という言葉が、日常再三出てくる世情にあって、無事にこのお宿の一年を終えることができ、ほっとするとともに、神にも感謝したい気持ちです。
(玄関に掲げた正月飾り)

(上がりの間に供えた鏡餅)

今年も多くのお客様に来て頂きました。まずもって、その方々たちに心から感謝申し上げます。
そして、そんなお客様のステイの場となる、このあかつき屋を陰ながら支えて下さる方たちにもお礼を申し上げます。
友人、知人、そして、ご近所や地元の方々等々。お客様へのさりげないサポートや、このあかつき屋へのお力添えなど、こちらが気が付かないものも含め、様々なバックアップの形があったかと思います。
そこに思いを致すとき、身は引き締まり、背筋が伸びます。
昨日は、長年親しくさせて頂いている華道教師の角尾宏子さん(金沢市泉野町)によって、今年も上がりの間と玄関に正月花を生けてもらいました。
(角尾さんに生けて頂いた正月花)

上がりの間は、松や梅、千両、イブキ、玉シダのほかに、水仙や黄色の小菊、千両などの色味のある物が加わったもの。清々しさとともに、華やかさも醸し出しています。
玄関には、これもおめでたい万年青(おもと)。不老長寿の縁起の良い植物で、あやかりたい常緑の多年草。円窓の前に置かれ、新年のお客様をお迎えします。
ニューイヤーの3月には、待ち望んだ北陸新幹線が開通し、東京-金沢間が約2時間半で結ばれます。金沢に新たにお越しになるお客様が増えると予想されていますが、「一客入魂」の精神は、これまで同様に堅持していく所存です。
小雪が舞う中、あと30分ほどで年が変わろうとしています。前の広済寺さんが明るくなりました。除夜の鐘、そして新年のお勤めの準備が整ったようです。
明日からあかつき屋は5年目に入ります。新年もよろしくお願いいたします。
皆様良いお年をお迎え下さい。
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ここあかつき屋では、日々様々な国の方をお迎えしていますが、異国の人だけでなく、異国の食文化とも出会うことが少なくありません。今回あかつき屋に連泊されたタイのご家族は、ここでのお食事の時、お国での食生活の一端を披歴されました。
それは、お母さんが手作りした香辛料です。親子三人は、カップラーメンやカップ焼きそばなどにそれを適量かけて食べられました。私も興味がわきその香辛料を少し頂いたのですが、顔から汗が噴き出るほどに辛い物。今さらながらお国によって異なる嗜好を実感しました。
(タイの方が持参した自家製香辛料)

あかつき屋でのご夕食の時。インスタントのカップ焼きそばやカップラーメンにお湯を注ぎ、3分間たって出来上がり。すぐに箸をつけるのかと思ったら、お母さんが粒状のものが入った一本の瓶を食卓に置きました。
何かと尋ねると、ご自身で作った香辛料だとおっしゃるのです。その材料を聞くと、砂糖や赤唐辛子、ニンニク、タイレモン、そしてタイの魚醤であるナンプラーでした。
(カップ焼きそばに自家製香辛料を加えました)

(カップラーメンには、この香辛料に加えて、七味唐辛子もかけられました)

(楽しくお食事をとるタイのご一家=写真掲載了解済)

日本のお料理は、味付けがもう一つしっくりこないようで、そのカップ麺やスギヨさんのカニ風味かまぼこ「香り箱」に持参した自家製香辛料を加えて味を調えられたのでした。興味がわいて私も少し頂いたのですが、口につけただけで、顔全体が熱くなるような辛さでした。
でも、その香辛料は、辛さはさておき味自体はおいしいと感じられるものでした。
(とても辛かったタイのカップラーメン)

以前にやはりタイのお客様が、お国のカップラーメンを下さったことがあります。これも食べてみたら、辛くて食べ終わるのにとても時間がかかりました。でも、風味は上々でした。
このあかつき屋は、素泊まりのお宿。それだけにお食事は自炊あり、持ち込み料理ありと様々な展開があります。カップラーメンだけだと、単調な感がありますが、今回のお母さんお手製の香辛料が加わったことで、お食事全体が、文字通りピリッと引き締まった感がありました。
今回のクリスマスでは、お客様がそれぞれ興味深いトピックをもっておられました。このうち、京都造形芸術大学の学生さんたちは、和太鼓に情熱を燃やす若者たちでした。
学生さんたちは、大学の和太鼓サークルに所属しておられ、今回金沢にお越しになった大きな目的は、白山市(旧松任市地区)にある浅野太鼓さんを訪問することでした。
そこは各種の太鼓や太鼓の歴史の紹介がなされ、さらに太鼓打ち体験もできる施設。学生さんたちは「自分たちが太鼓が好きであることを再確認できた。めっちゃ良い経験でした」と昂奮冷めやらない表情で話されました。
(宿泊された京都造形芸術大学の学生さんたち=写真掲載了解済)

学生さんたちは、京都造形芸大の2年生で、大学の学生サークル和太鼓悳(しん)20期生の皆さんです。日々熱心な練習を重ねておられ、今年4月の大学の入学式では、太鼓の演奏を披露されるほどの腕前です。
(学生さんがお宿ノートに描かれたイラスト)

ふだん太鼓の指導を受けている太鼓のエキスパート髙木克美先生(同大学教授)のご縁でこの日、金沢から松任にある浅野太鼓さんへ赴かれたのでした。
そこは、自分たちが求めていたものが凝縮されており、「来て良かった。最高でした」と話しておられました。
お宿ノートには、チェックイン早々浅野太鼓さんでの様子などを達者なイラストで描いて下さいました。
(夜、石川県の形を円窓に映し出されました=ご提供写真)

学生さんたちは、夜インパクトのあるパフォーマンスも見せて下さいました。コミュニティルームと玄関との間は円窓で仕切られているのですが、部屋の灯りを消すと、円窓がお月様のように、ぽっかりと浮かび上がります。
そこに石川県の形を浮かび上がらせたのです。玄関の電燈を光源にして、
畳で作られた石川県の模型を窓の前に置き、影絵として映し出したのでした。
思いもかけない幻想的な町家風景。さすが感性豊かなアーティストと感心しました。
年も押し詰まり、クリスマスの日を迎えました。いくつになっても、ワクワク、ドキドキする日。ゲストハウスというお宿をするようになってからは、一層です。
あかつき屋では、今年も国内外から多彩なお客様をお迎えました。海外からはタイのご家族連れ、国内からは京都市内の大学生グループと大阪の高校生のお友達グループ。お互いに初対面でありながらも、すぐにうちとけ、気さくにおしゃべりをし、クリスマスの夜のひとときを過ごしました。
あかつき屋では、ささやかですが、手作りスイーツでおもてなしさせて頂きました。聖夜を演出したものは、お客様が贈って下さったキャンドルと、折り紙や、イ草で作った二点のクリスマスリース。
華美なところはありませんが、いずれも心のこもった品々。今年も忘れ得ぬファンタスティック・クリスマスとなりました。
(手作りスイーツでクリスマスを楽しむお客様=写真掲載了解済)

一年が終わろうとしているこの時期に、お客様とともにクリスマスを迎えることは、お宿にとって大きな喜びです。この日、感謝の気持ちを込めて、シンプルなスイーツを準備させて頂きました。
(手作りのスイーツ。真ん中には、あかつき屋どら焼き)

スイーツの真ん中に据えたのは、
あかつき屋のオリジナルどら焼き。その周囲には、サンタクロースを模したチョコレートとイチゴとバナナのフルーツ。盛り付けには、大学生のお嬢さんが手伝って下さいました。
キャンドルは、昨年お泊まりになったタイのお客様が、記念に下さったものです。表面には、象が描かれています。
(タイのご夫妻が下さったキャンドル)

(女子短大生さんが手作りされた折り紙のクリスマスリース)

(倉西畳店さんが手作りされたイ草のリース)

クリスマスリースは、二種類。
一つは先日貸切でお泊まりになった
新潟の短大生のお嬢さん方が、お礼にと折り紙を使ってかわいらしいクリスマスリースを作って下さいました。周囲には、やはり折り紙製のもみの木が配されています。
もう一つのクリスマスリースは、イ草でできたもの。このあかつき屋の畳の表替えをして下さった
倉西畳店さんが、手作り品を贈って下さいました。上がりの間の衝立に飾りました。
一同そろったところで、加賀棒茶で「メリークリスマス!」。それぞれ今日観光した金沢市内のことなどを話されました。
あかつき屋にとって今回は初めてと言っていいのが、高校生の3人グループ。大阪・高槻から青春18切符を使ってお越しになりました。
お友達との初めての宿泊旅行で、少なからず緊張していたようでしたが、このお宿の雰囲気や近くの温泉銭湯での入浴体験などで緊張もほぐれ、金沢での一夜を落ち着いて過ごしておられました。
また、大学生の方々は、UNOにも興じられました。タイの兄、妹のごきょうだいも加わられ、盛り上がっておられました。若い世代の日タイ交流が繰り広げられました。
今日は夜、雪に。戸外は白くなり、文字通りホワイトクリスマス。外は寒かったですが、あかつき屋をめぐる様々な人の心尽くしの品々にも包まれ、身も心も温まる夜となりました。
今日は冬至。一年で最も日照時間が短い日。金沢は、北日本の他の地域と同様に、雪が降ったり、みぞれが降ったり、そして時に雷鳴がとどろいたりと、荒れ模様の一日になりました。
寒に向けて、さらに冬の足音が高くなっているかのよう。ともすれば憂鬱な気分に陥りそうですが、そんな思いも吹き飛ばしてくれる一日となりました。あかつき屋にお泊まりのお客様は、はつらつと観光を終えて帰ってこられ、夜はお宿で鍋料理をされて団らんの時間を過ごされました。
お宿ではこの日、ゆずを掘りごたつの上に置き、冬の町家(屋)宿に彩りを加えました。外は凍てつく寒さですが、中はゆずの光彩も広がり、明るい雰囲気。和やかに日付が変わろうとしています。
(コミュニティルームに置いたゆず)

(お客様は、夕食のお鍋料理の香料としてゆずを使われました)

ゆずは、コミュニティルームの掘りごたつの上に、お皿に載せて置きました。わずか二個でしたが、明るい黄色が、お部屋全体をも明るくしてくれます。その香りも心地良い酸味があり、心身を爽快にしてくれるようでした。
一日の観光を終えて帰ってこられた3人のお客様グループ。今夜のお食事は海鮮鍋料理にするとのことで、キッチンで作られたそのお鍋料理の締めに、ゆずを香料として使われました。
そのお客様、お食事後は、近所の温泉の銭湯へ行き、一日の疲れをいやされました。
「(銭湯の)お風呂には、ゆずがいっぱい浮かんでいました」。
冬至の日恒例のお風呂屋さんの演出です。
(書道家水内さんのゆずを題材にした作品)

ゆずとお風呂と言えば、若き書道家の作品が思い出されます。以前にあかつき屋にお泊まりになった
水内温子さん(千葉県出身)のゆずを題材にした作品です。
いくつかの丸いゆずを筆で描き、
「おふろに (ゆず)ひとつ 冬至哉」と認(したた)めたものです。
水内さんが昨年一時期、お姉さんの家にステイしていた折、寒い日に夜遅くお仕事から帰ってお風呂に入ったら、ゆずがぷかぷか浮いていた、そんな情景を詠んだものです。
心も温まる、ゆずの明るい色。子どもさんのいるお姉さんの家でも受け継がれていたそのゆず湯は、水内さんがご実家で過ごした子ども時代を想起させるものだったそうです。
ゆずに始まり、ゆずで閉じる今日一日。風の音や、吹雪のざわめきは、今宵に限って、妙なる演出のようにも思えました。
お勤めの傍ら長年趣味で写真を撮り続けておられる山本裕之さん(金沢市桜町)の写真展が浅野川べりにある町家のギャラリー山鬼文庫(桜町)で開かれており、訪れました。
「クラカメおろおろ散歩 モノクローム編」と銘打ったこの作品展には、山本さんがここ15年ほどの間に、お休みを利用してあちこち出かけて撮った作品26点が紹介されています。
地元金沢の街角の風景をはじめ、福井県の和紙の里・今立(現越前市)や岐阜県の郡上の祭りの場面などの写真も展示されています。
(モノクロ写真の秀作を紹介した山本さんの作品展。左が山本さん)

山本さんの写真展は、これまでに何回か見てきていますが、そのまなざしは、いつも人々の暮らしや、ありふれた街の姿に向けられています。そこに映る人は派手さはないものの、間違いなく、日々誠実に地道に生きている人であると感じられます。
それが写真のモノクロと相まって、独特の味わいや懐かしさを醸し出しています。山本さんの創作の真骨頂と言えるでしょうか。
(馬坂の写真も=手前)

今回の会場は、かつて料理屋が営まれていた築100年ほどの町家。その場所のもつ雰囲気が山本さんの作品とマッチして、互いにいい効果を生んでいました。
この会場は、あかつき屋から歩いて10分足らずのところにあり、散策がてらに立ち寄るには、いい場所。
近所の桜町にお住まいの山本さんは、ふだんからご厚誼を頂き、頼りにもしている方です。
時々、街なかでお散歩する山本さんと、ばったり出会うことがありますが、そのバイタリティーと、いつも笑顔を絶やさぬ姿には、感心するばかり。身近にいらっしゃる人生の良き先輩でもあります。
写真展は22日まで開かれています。
(前回のつづき)
あかつき屋で三連泊して今朝チェックアウトされたフランス人のPadiracご夫妻については、ご近所の方とのふれあいのほかに、さらに強く印象に残ったことがありました。それは、ともに兼六園に出かけ、冬の美しい名園の風情を楽しむことができたからでした。
中でも茶室のある時雨亭での時間は、秀逸でした。そこでお抹茶を頂くとともに、各お部屋でゆっくりと過ごしました。外は断続的に雪が降る日で、そのせいもあってか、この建物に足を運ぶ人は少なく、自分たちの場所のように、この茶の湯の空間を堪能しました。
特に窓外には、折からの雪で純白の世界が広がっており、心が洗われるよう。深閑とした空気の中で、名園と向かい合いました。
(時雨亭の外観)

(お抹茶を楽しまれるフランス人ご夫妻)

(お茶席から前方を望む)

今回のフランスのお客様とは、その出会いから劇的なところがありました。暴風雪となった今月17日に東京から金沢のあかつき屋にお越しになったのですが、その日は悪天候のためJRの列車の多くが運休となり、フランスのお客様は、無事に金沢に来れるのだろうかと危ぶんでいたのでした。
でも、そのPadiracご夫妻は、雪道を踏みしめながら予定より数時間遅れてあかつき屋にご到着になりました。防寒具に付いた雪を払って、あかつき屋の玄関に入って来られた時は、正直ほっとし、心から歓迎しました。
(13畳の広々としたお座敷)

(屋外に広がる雪景色)

(雪解け水を流すせせらぎ)

移動の障害となったその雪も、今は城下町金沢、そして兼六園で美しい冬の風景をつくってくれたのでした。
時雨亭は何度も足を運んでいますが、雪に包まれている中での訪問は、初めて。
特に目を見張ったのは、窓辺から見た外の風景。雪つりを施された木々は、雪を頂いて白く染められています。
地面はすっぽりと雪に覆われ、その雪の絨毯に切れ間をつくっているのは、雪解け水を流すせせらぎです。
静寂が支配する園にあって、そこだけ水の音がします。
暖かい時季には認められない、山里にいるかのような野趣さえ感じます。
時雨亭でのひとときは、そんな外の自然とも一体となったもので、身が引き締まるような、厳かな気持ちにもなりました。
ここを出る時、ご一緒したフランス人のご主人からは「グレイト エクスピアリアンス(経験)」の声が出ました。
日本から遠く離れた国のお客様が、もたらして下さった至高の時間と空間。
それは、邂逅とも呼べるものでした。
この度、あかつき屋がご近所の方々の支えでお宿業をさせて頂いていることを改めて実感しました。こちらに三連泊されているフランス人のPadiracご夫妻が昨日の夜、感激の面持ちでお宿に戻って来られました。聞けば、JR金沢駅からこちらまで、あかつき屋の近所の男性の車に乗せてもらって帰ってきたというのです。
冬空の下、暗くなる中、あかつき屋に戻るため、金沢駅でどのバスに乗ればいいか思案していたところ、あかつき屋のすぐ近所で損害保険代理店「加能商事」を営む太田治郎さんとたまたま出会い、太田さんのご厚意でこちらまで車に乗せてもらって帰って来られたのです。
見知らぬ土地で心細くしていた時だっただけに、フランス人ご夫妻にとっては、神様と出会ったような出来事。今朝は、その恩人の太田さんがあかつき屋にお越しになり、ご夫妻とその時の模様について語り合われました。
(太田さん=真ん中=と昨日の出来事について語り合ったフランス人ご夫妻)

Padiracご夫妻は昨日の夕方、金沢市内の観光を終えて金沢駅からあかつき屋に戻ろうとしていた時でした。しかし、冬の日は暮れるのも早く、どのバスに乗ればいいのか、困惑されていたのでした。
その時、ご夫妻は偶然にもあかつき屋のすぐ近所の太田さんと出会ったのです。太田さんは金沢市の防犯協会のメンバーで、駅で年末の防犯活動に当たっておられたのでした。
太田さんは、途方に暮れていたご夫妻に「片言の英語」(太田さん)で行き先について問いかけられました。夫妻からは、「YOKOYAMACHO(横山町)」と言う言葉が返され、「それならうち(店)の前にすぐバス停がある。聞けばあかつき屋のお客さんであることが分かった」ので、太田さんは防犯のボランティア活動を終えると、ご自身の車であかつき屋のすぐ近くまでお二人を送って下さったのでした。
ご夫妻は、太田さんが警察官のような制服姿だったので「市民警察官」かと思ったと感想を話され、どうお礼を言えばいいのやらと、感謝感激と言った面持ちでした。
今朝、太田さんはあかつき屋にお越しになり、フランス人ご夫妻と再会。お二人に兼六園などの写真が載った葉書のセットと胸に付けるバッジを贈られました。
昨日のご親切の上に、さらに思いがけないプレゼント。お二人は、その温かいお心遣いに再び胸を熱くされていたようでした。
太田さんは「奇跡みたいな話だね」と笑顔を見せられ、ご夫妻も「ミラクル!」と笑顔を浮かべ「ありがとうございます」とお礼を述べておられました。
私もこの顛末に驚くとともに、ご近所の方々があかつき屋とそのお客様らにふだんから温かい視線を注いで下さっていることに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。(つづく)
12月も半ばとなり、北陸・金沢は日ごとに冬の気配が濃くなっています。今年は12月にしては例年になく雪の日が多く、空を見上げながら、あかつき屋の回りの除雪に精を出す回数も増えています。
そんな中でも、金沢を訪れる観光のお客様は少なくなく、あかつき屋でも相変わらず忙しくさせてもらっています。お客様が決まって行かれるのは、日本三名園の一つ兼六園。あかつき屋から歩いて行けるので、時間が許せば、界隈の説明もしながら、兼六園までご案内させて頂いています。
その道中で圧巻なのは、兼六園手前の八坂。その坂の景観は四季折々に魅力的ですが、雪が降るこの時季の風景はまた見事で、観光客ならずとも思わずカメラを向けてしまいます。
(雪の日の八坂。水墨画のような幽玄、静寂な世界が広がります)

雪にけむる前方の卯辰山、その手前に広がる城下町金沢の下町の家々。瓦屋根は雪で覆われ、周囲の風景とともに、清浄、静謐な世界をつくっています。
(青空が広がった日。雪の白さは、清涼感を醸し出します)

こんな時もありました。先日、今冬の第一弾寒波の後にここを訪れた時は、晴れ間が広がっていました。青い空は、気持ちをほっとさせ、街も穏やかな表情を見せていました。
(周囲の水を集めて勢いよく流れるせせらぎ)

坂の傍らにある側溝も、時々で様々な表情を見せます。先の日曜日の14日は雪が多く降った日で、周辺の水を集めて、勢いよく流れていました。音を立てて水しぶきを上げる様は、滝と言ってもよいほど迫力があり、通る人の耳目を集めていました。
(雪の日、融雪装置から噴き上がる水)

坂の風景には欠かせないお隣のお寺・松山寺。その山門前には、融雪装置が備えられています。雪の日には、水が噴き出し、半円形を描きます。
雪国に住む人には、慣れ親しんだ光景ですが、暖かい土地から来られた観光のお客様には、これも心をとらえるもののようです。
週末、北陸・金沢には今冬二番目の寒波がやって来ました。土曜日はみぞれ交じりの雨、日曜日は雪になりました。冬の寒さも本格化するのか。そんな思いで過ごしました。
その寒空の下、心がパッと明るくなる瞬間がありました。あかつき屋の女性のお客様が、きれいなお着物姿でこちらにお越しになったのです。彩り鮮やかなお姿。お宿の中が、一気に華やぎました。
(お着物姿でお越しになった女性お二人
=写真掲載了解済、以下同じ)

お着物姿で来られたのは京都府内の大学に通う女子大生お二人。城下町金沢の街並みを着物を着て散策したいと、市内のレンタル着物屋さんで装いを整えられ、ひがし茶屋街を歩かれたのでした。
その後、夜に、あかつき屋に入られました。
日曜の今日は朝から雪模様とあって、お二人は私服に戻りました。同宿された大阪からの女性とともに兼六園を訪れました。下町の住宅街を通る、兼六園までの最短コースを私が歩いて道案内させて頂きました。
(兼六園の花見橋で同宿された女性とともにポーズ)

(雪化粧し美しさを際立たせる唐崎松)

着いた兼六園は、昨夜来の雪で白く雪化粧。澄み切った空気が園に充満しており、心身が清められる感。
雪つりを施された樹木は、この雪で一層見ごたえがあり、生気を得ているようでした。
兼六園を代表する松の木「唐崎松」は、時を得たとばかりに堂々とした佇まいで、その美しさは寒さを吹き飛ばすほどでした。
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