今回図らずも林業女子の方々にあかつき屋にお泊まり頂いた訳ですが、その方々の活動を通じて改めて町家(町屋)に住むことの意義を考えさせられました。
町家は言うまでもなく、コンクリートではなく、木でできています。木や障子、ふすまなどの紙、畳などの有機物(生き物)でほとんど造られています。それらの素材がもつ特性や質感が、何とも言えない清浄な空気をつくってくれます。
ふだんここで暮らしていると、ややもすれば忘れがちになりますが、林業女子さんとのおしゃべりを通じて、命を宿す家屋・町家の尊さを改めてかみしめています。
(11月8日のオトメな文化祭について紹介される林業女子会@石川代表の砂山亜紀子さん)

今回の金沢市民芸術村での分科会「森×女子が創るふるさと」の開催に一役買った、もりラバー林業女子会@石川の皆さんは昨年2月に、自然の健全な命を守り、育み、次代に残していきたいとの思いから、活動をスタートさせたのでした。
会の発足以降、エネルギッシュに活動を繰り広げ、これまで月1回の例会を開くほか、間伐材を使った工作教室や白山ろく散策など、木や森に親しむ活動を行っておられます。
そして今、11月8日に「もりラバーのオトメな文化祭」を白山市広瀬町の北陸リビング社鳥越展示場で開催することにし、準備に当たっておられます。より広範な人たちに木や森の魅力を知ってもらおうという狙いで、当日は林業カフェや「スナさんの『ちょっと聞いて、木の話』」「クラフトWS(ワークショップ)」「音楽会」など多彩な催しを行うそう。
草の根の取り組みのようですが、女子の皆さんの笑顔と前向きな姿勢に接していると、その共感の輪がさらに広がっていくのでは、と感じました。
同時に、林業女子さんたちの町家あかつき屋に対する感想や思いにふれ、木の空間のもつ魅力や可能性を再認識したことでした。
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あかつき屋ではここ数日、ある分野に意欲的に取り組むグループのお泊まりが相次いでおり、刺激的な毎日となっています。今回宿泊されたのは、「林業女子」なる女性の皆さん。
木や森を愛し、自然とのふれあいを通じて、貴重な自然を未来に残していこうと集まった女性の方々です。来年小松市で開催される第66回全国植樹祭のプレイベントとして、金沢市内で記念シンポジウムなどがあり、それに出席するため全国各地から林業女子がお集まりになったのです。
一日目の日程を終えて、あかつき屋に集結されたその女子の皆さん。地元石川の林業女子会の加賀野菜を使った手料理の歓待を受け、笑顔満開、熱気にあふれた交流を繰り広げられました。
(あかつき屋で交流される林業女子の皆さん=写真掲載了解済)

27日は、県地場産業振興センターで基調講演とパネルディスカッションなどがあり、それらを終えて夜、あかつき屋に入られました。
その参加者は東は栃木県、西は九州・長崎県と全国各地に及び、それぞれのプロフィルは働きながら緑に親しむ活動をする人のほか、県で林業振興や女性企業家の育成の公務に携わる人、林業コンサルタント、さらに森林生態系などの研究に当たる学生さんら多彩でした。
<食卓に並べられた心づくしの地元料理>(金時草の酢の物)

(五郎島金時のサラダ)

(加賀れんこんのキンピラゴボウ)

(ドジョウのかば焼き)

地元石川の林業女子の皆さんは、心のこもった手料理で遠来のお仲間をおもてなしされました。
出されたお料理は、金時草の酢の物、五郎島金時のサラダ、加賀れんこんの入ったキンピラゴボウと加賀野菜尽くし。加えて、あかつき屋の近所のどじょうのかば焼き専門店・浅田さんからドジョウのかば焼きを購入し、食卓に並べられました。動物性タンパク質も金沢の郷土料理からという、こだわりからです。
参加された女性の方々は、お料理に舌鼓を打ちながら、それぞれの地域での取り組みを語り合い、楽しい時間を過ごされました。
(第2分科会で意見を交換される林業女子の皆さん=ご提供写真)

今日は午前に金沢市民芸術村で分科会が開かれ、林業女子の皆さんは、里山の家を会場にした第2分科会「森×女子が創るふるさと」にご参加、基調報告では林業女子会@石川代表の砂山亜紀子さんと林業女子会@京都の髙味楽生さんが日頃の活動を紹介。引き続いて、各林業女子会の代表の方々がフリートークされました。
林業女子の皆さん、二日間お疲れ様でした。また、あかつき屋でのご宿泊ありがとうございました。
あかつき屋のお客様のご縁で地元金沢の逸品を知ることがあります。今回出会ったその珠玉の品は「加賀のゆびぬき」。
先日お客様が、あかつき屋の縁側でゆびぬき作りをされていたことから、地元の工芸の存在を知ったのでした。
そんなことの後、過日NHKテレビを見ていたら、加賀のゆびぬきを紹介する番組が放送されました。「すてきにハンドメイド」という番組で、あかつき屋の先のお客様が立ち寄られた金沢市内のお店「毬屋」さんを開く大西由紀子さんが講師となり、ゆびぬきの作り方を手ほどきされたのでした。
テレビ画面からでしたが、カラフルで繊細なゆびぬきの魅力を知りました。
(加賀ゆびぬきを紹介された大西由紀子先生=NHKテレビから、以下同じ)

大西先生は聞き手の奥野史子さんの質問に答える形で、ゆびぬきとの出会いから、ゆびぬきに使う糸や布のこと、その作り方、さらには、ゆびぬきを使ったネックレスなどのアクセサリーについて、丁寧に説明されていました。
(カラフルで優美なゆびぬきの数々)

伝統工芸の宝庫と言える石川の地。その中にあって、ゆびぬきはけっして柄は大きくないものの、その優美さと精緻さは際立っています。
城下町金沢において、先人から受け継ぐものづくりのスピリットと美へのこだわりを感じたことでした。
大学や高校の同窓会があかつき屋でこれまで何度も開かれていますが、今回は初めてNHK学園で学ばれた卒業生の方々が、集われました。
主催されたのは、同学園の石川県内の同窓生の組織・CS(コミュニティ・スクール)石川の皆さんです。メンバーはそれぞれ社会の第一線で活躍されている方々で、日頃交流のある東京や長野、富山など県外のお仲間も参加され、楽しい一夜を過ごされました。
(NHK学園で学ばれた方々が集った夕食会=写真掲載了解済)

通信教育では、長い歴史のあるNHK学園。そこで学んだ石川県内の卒業生の方々が、CS石川の発足20周年を記念して、金沢市民芸術村で研修会を開き、この後、会場をあかつき屋に移し、夕食会を開かれたのでした。
今回は、医療や福祉、介護の現場で働く卒業生の方が多く集まられました。夕食会には、東京からNHK学園の元理事長沖清司さん、市民芸術村での音楽療法の研修会の講師を務められた佐藤順子さん(金沢市在住)も参加されました。
(あかつき屋の夕食会で並んだ仕出しのお料理)

(市民芸術村での音楽療法の研修会=ご提供写真、以下同じ)

(最後に全員で記念撮影)

お食事は、幹事さんがよくご存じの市内のお料理屋さんからオードブルやお寿司、おでんなどを出前してもらいました。幾つも大皿のお料理が並び、とても賑やか。
お客様たちは、働きながら学んだNHK学園のことや、日頃のお仕事現場での取り組みなどを話題にしながら、時を忘れて語り合っておられました。
この度のご宿泊ありがとうございました。明日からそれぞれのお立場でご活躍下さいませ。
10月も後半へ。秋は深まり、金沢は朝晩肌寒さも感じるようになりました。そんな気温の変化は、木々の紅葉を進め、街を歩くのも楽しい頃となりました。
静かで、穏やかな秋の日々が続いています。そうした中、あかつき屋では、上がりの間に素敵な作品を飾りました。書道家水内温子さんの作品「閑-peaceful-」です。平仮名の「の」の字を縦にカーブを描くように連ねた作品。どこか気持ちが和み、ほっとさせてくれます。
(水内温子さんの作品「閑-peaceful-」)

あかつき屋での水内さんの作品展示は、これが三作目。水内さんは「心の中の波のようなものを落ち着かせるために描きたかった。「の」の字の曲線に穏やかさと長閑さを感じた」と創作の動機を語られます。
この作品の制作に当たっては、奈良の筆職人・仲谷省三氏の筆を使用したそうです。羊毛の穂先8センチ程の超長鋒で、その筆にしか表せない透き通る線が出るのだとか。
水内さんの作風は、個々の題材に応じて柔軟な展開を見せ、今回の作品は文字の域にとどまらず、絵画的な世界を見せてくれます。そこが水内さんの特長であり、魅力ではないかと、浅学ながら感じています。
今回の展示により現在、あかつき屋では、
二階のあかつきの間の「寿光」と合わせ、水内さんの作品が二作披露されています。
朝からすっきりと晴れ上がった今日。「私も秋を楽しみたいなー」と思い、あかつき屋のお客様がチェックアウトされ、中の仕事が一区切りついたので、昼頃、金沢の中心街へ出かけました。
お目当ては、しいのき迎賓館で開かれている「いしかわスイーツ博2014」。会場をそぞろ歩きしながら、様々なスイーツに目を楽しませ、秋晴れの大気を存分に吸い込みました。
(洋菓子店の店頭には、様々なケーキが並んでいました)

(舌鼓を打ったハロウィンシフォンケーキ)

しいのき迎賓館広場には、金沢などの和菓子、洋菓子店が30店余り出店していました。いずれのお菓子も彩り豊かで、秋の日差しを浴びて、キラキラ輝いていました。
私は、ある洋菓子店の前に足を止め、ハロウィンシフォンケーキを買いました。
(数多くの菓子店が軒を並べました)

(ステージにはゆるキャラが登場)

会場は、イベントが盛りだくさん。ステージでは、県内のゆるキャラが登場し、地元の観光PRをしていました。このほか、北陸新幹線沿線スイーツフェアやカフェ、和菓子作り体験、スイーツ茶会などが催されていました。
ウエートを気にしないのであれば、あちこち寄ってみたいと思ったことでした。
「金沢は日本のグラナダですね」。あかつき屋にお客様が一泊されて朝くつろいでおられる時、そんな感想をさりげなくおっしゃいました。
「グラナダ?」。私は瞬間、どこにある街なのか思い浮かびませんでした。
「スペインのアルハンブラ宮殿のある都市です。アルハンブラを中心に街ができているところが、グラナダととても良く似ています」。お客様は、そうおっしゃいます。スペインのグラナダ。想像もつかなかった街への連想。
何とも語感のいい名前。スペイン南部に位置するその街に対して、にわかに興味がふくらみました。
(結婚3周年記念旅行で金沢にお越しになったご夫妻=写真掲載了解済)

朝の時間、そんなやりとりをしたのは、東京からお越しになった若いご夫妻です。結婚3周年の記念に城下町金沢への旅行を企画されたそうで、ご主人が九州・長崎県、奥様が中国地方・山口県のご出身で、今は東京にお住まい。お二人とも金沢は初めてとのことでした。
何とお二人が2012年に新婚旅行で訪れた都市が、スペイン・アンダルシアにあるグラナダでした。そこには、イスラム教徒の宮殿であり、世界遺産にもなっているアルハンブラ宮殿があるのでした。
(ご夫妻が新婚旅行で訪れたグラナダ。前方にアルハンブラ宮殿
=ご提供写真、以下同じ)

「グラナダは、丘の上にあるアルハンブラ(宮殿)を中心にしてできた街。金沢もお城を中心に、周囲には広大な公園(兼六園)や大学などが配置されています。とても良く似ています」。
ご主人は、兼六園やひがし茶屋街など金沢の街を奥さんと歩きながら、2年前に新婚旅行で訪れたヨーロッパの古都を回想したのだそうです。
そしてお二人は「伝統工芸が盛んな町だからか、一つひとつの設備にもこだわりが感じられました」と口をそろえられました。
(金沢城で開かれたプロジェクション・マッピング)

(神々しい姿の夜の金沢城)

そんなお二人は、城下町金沢の夜の演出にも目を見張られました。金沢城でプロジェクション・マッピングのイベントに行かれたのでした。
伝統的空間に最新の映像技術で展開された魅惑の光と音のショー。それは、紛れもなく金沢の新しい顔でした。
ご夫妻は、あかつき屋のお庭を見ながらの時間を過ごしつつ「金沢いいっ!!。とってもお気に入りの場所になりました」と笑顔で一泊二日の旅を振り返られました。
この三連休、金沢はイベントやお祭りが盛りだくさん。連休初日の夜、あかつき屋では湯涌温泉へ出かけられた若者グループがいらっしゃいました。
お目当ては、アニメ「花咲くいろは」にちなんだ「湯涌ぼんぼり祭り」でした。湯涌温泉はファンの熱気に包まれ、お客様たちはあかつき屋に帰ってきた後、昂奮気味にその様子を語って下さいました。
(湯涌ぼんぼり祭りを訪れたお客様。手にはそのお祭りのバッグ=写真掲載了解済)

(花咲くいろはの関連グッズ)

湯涌ぼんぼり祭りは、今年で4回目を数え、今ではすっかり「花咲くいろは」ファンの間に定着した感があります。あかつき屋では毎年この時期に、このお祭りに行かれるお客様がお泊まりになっています。
今回このお祭りを訪れたお客様は、愛知県内の大学に通う3人の男性。湯涌温泉は、初めての訪問でした。
夜、お客様が湯涌温泉に到着した時は、既に温泉街はファンの人たちで混雑し、熱気にあふれていたそうです。祭り会場では、太鼓演奏や、神迎え、お焚き上げなどの催しが、にぎにぎしく行われたとのこと。
(幻想的なぼんぼりが並ぶ湯涌温泉街=ご提供写真、以下同じ)

(温泉街は花咲くいろはのファンでごった返していました)

その中でサプライズがあったのでした。アニメの主人公松前緒花の声優、伊藤かな恵さん、鶴来民子役の小見川千明さんが事前の案内もなく登場したのでした。
会場は大いに盛り上がり、熱気は最高潮に達したそう。
お客様は今朝、「花咲くいろは」のキャラクターを描いたラッピング列車の退任式が、のと鉄道西岸駅で行われるということで、湯涌温泉経由で能登へと出発されました。
秋たけなわの今、あかつき屋の風情を俳句にされたお客様がいらっしゃいました。現在ハワイにお住まいで、今回息子さんと来日された大迫さんです。
お庭や他のお客様とのふれあい、さらには金沢の町の風景や天候も俳句で描写されました。短詩形の文芸の俳句。こんな形であかつき屋を描いて下さり、感激しました。同時に絶好の秋日和を実際と作品の両面で満喫しました。
(ハワイからお越しになった大迫さん父子=写真掲載了解済)

大迫さんは京都のお生まれで、現在はハワイにお住まいです。息子さんはハワイに生まれ育ち、現在は社会人です。あかつき屋には二泊なさっています。
(ハワイ・オアフ島のサンデービーチ=ご提供写真、以下同じ)

(ハワイ・ヒロのリーズベイ)

大迫さんはハワイで暮らしていると日本語を使うことはなく、まして長年たしなんでこられた俳句を作るということはまずないそうです。
それが、純町家(屋)家屋のあかつき屋で過ごしていると、身体に染みついた創作の習性からか、ふっと句が浮かんできたのだそうです。
(大迫さんが題材にされたあかつき屋のお庭)

あかつきに
霜おく庭や
旅の宿
寒灯火
袖ふれ会いし
町家かな
「八坂から」
二人して
百万石の
茜(あかね)かな
大型も
小型も強(こわ)し
秋の台風(かぜ)
「加賀百万石の城下にて」
名月や
お前さまでも
くも(雲)化粧
ホノルル・ハワイ
高樹 常青(俳号)
今回のご宿泊、そして素敵な作品をありがとうございます。
また息子さんの細やかなお心遣いにも心から感謝申し上げます。
台風18号が日本列島から遠ざかった7日、金沢は朝から青空が広がりました。このまとまった雨は、大気や路上の塵、芥(あくた)を取り払ってくれたようで、空は朝から澄み渡っています。台風一過で、秋はさらに深まったようです。
(水内温子さんの作品「寿光」)

そんな中、あかつき屋では、あかつきの間の掛け軸を「寿光」に替えました。書道家水内温子さん(千葉県出身)の作品で、「清雅」に続いての第二弾です。
「よろこびの光」を意味する「寿光」。まさに今朝の天候を象徴するような言葉。お客様とともに、光彩を放つその作品をゆっくりと味わっています。
(秋晴れの下、気高い美しさを見せる金沢城・石川門)

兼六園・金沢城界隈は、この快晴の空の下、いっそう美しさを際立たせています。朝夕お客様と二度足を運びましたが、空の青に紅葉が彩りを添え、胸のすく思いがします。
石川門は、神々しいほどに気高い佇まいで、こんな名勝のすぐそばで暮らしていることの幸を感じないではいられませんでした。
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