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あかつき太郎の町家日記

金沢町家ゲストハウス あかつき屋をめぐる出来事や思い、人とのふれあいなどをつづるブログ。街角の話題や四季折々の風情も紹介していきます。

あかつき屋のホームページはこちらです。

金沢に春 スカッと青空

金沢に春がやってきました。用があって金沢駅前を訪れた昼ごろ、空はスカッとした青空が広がっていました。
街は明るく、暖かさも感じました。
この北陸の地も、長かった冬がようやく終わりを告げたようです。

(金沢駅前の噴水。春の陽気の中、水しぶきは心地良ささえ感じました)
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金沢駅前のもてなしドーム前。つい数日前まで雪が降り、用をなしていた松の木の雪吊りも、この陽気の中では、違和感さえ覚えるほどです。
噴水が水しぶきを上げていましたが、不思議なもので、その光景は心地よささえ感じるほどです。

(林立するビル群を前にして広がる青空。
手前の電光掲示は「ようこそ金沢へ」の表示)
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駅前のビル群。青空を背後にすると、きりりと引き締まって見えます。駅広場の電光掲示。時刻とともに、「ようこそ金沢へ」「いいね金沢」を交替に表示しています。

待ちに待った春到来。お宿あかつき屋も、行楽のお客様を迎えるために、急ピッチで春の装いを整えます。

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金沢なごり雪 坂の町を歩く -馬坂-

早朝、雪が降り、街は再び真っ白に。でも、人の表情は、険しくありません。この時季の雪は、すぐには溶けると知っているから。
ご近所の方は、雪かきしながら「(雪は)半日もすれば、なくなるよね」と言いながら、慣れた手つきで雪をスコップで道路わきに運んでいました。

そんな朝、あかつき屋のお客様と、近くの馬坂へ歩いていく機会がありました。坂の中腹にさしかかり、街を見下ろすと、美しい雪景色が広がっていました。金沢のなごり雪。旅人たちに、素敵なプレゼントをしてくれました。

(天神町界隈の美しい雪景色。馬坂の中腹から見下ろす)
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日曜から一泊されたお客様は、横浜の大学で建築学を専攻される学生さんのグループ。やはりあかつき屋の近くで、こまちなみに指定されている天神町の通りに関心を示され、ご案内したのでした。

途中、馬坂に上がる小道があり、登っていくことに。くの字のカーブを曲がって、しばらくしたら、歓声が上がりました。眼下に素敵な景色が広がっていたからです。

私は、この馬坂を何回も登っています。四季折々に風情のある眺めを楽しんでいるのですが、今見ている風景は、もしかして最も美しいものではないか、そう思ってしまうほどに、それは見事でした。

手前には、天神町の家並みが続きます。雪に覆われている屋根が多い中で、黒瓦が表れているものがいくつかあります。こうして、雪の白が視界の大半を占めていると、瓦が黒であることが、とりわけ強く印象づけられます。

瓦屋根の黒。それは、金沢の色と言ってもいいかもしれません。そして家々が続く背後には、雪にけむった卯辰山が左右に延びています。水墨画のような、この淡い雪景色は、気温が上がると直ぐに消えてしまうので、貴重な片時の風景と言えるかもしれません。
お連れしたお客様たちは、この風景を逃すまいと、熱心にカメラのシャッターを切っておられました。

(馬坂不動尊で湧き水をすくうお客様の学生さんたち)
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そのすぐ上には、小立野台地の湧き水が落ちる、馬坂不動尊があります。メジャーな観光地を紹介するガイドブックには出ていない、穴場的スポット。
学生さんたちは、眼病に効くとの言い伝えがある、その湧き水をすくって、ご利益を願っているようでした。

金沢なごり雪 坂の町を歩く -観音坂-

ここ一、二日、数日ぶりの雪となりました。2月も末ですから、名残(なごり)雪と言えるかもしれません。
そんな中、あかつき屋の仕事の合間を縫って、ふだん訪れることのない、金沢では由緒ある坂を友人らとともに歩いて訪れました。

そこは、観音坂。中腹には、昨年10月にオープンしたという町家づくりのカフェ「観音坂いちえ」があり、しばし歓談の時間をもちました。

(観音坂。数日ぶりの雪で静かなたたずまいを見せていました)
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観音坂は、ひがし茶屋街の山側にあるところ。夏の四万六千日法要で知られるお寺・観音院へと続く坂道です。
七稲地蔵で有名な寿経寺から、ちょっといったところにあります。

訪れた時は、雪が降っていました。滑らないように足下に気をつけながら、一歩一歩階段を上っていくと、お目当ての町家カフェ「いちえ」さんがありました。

(観音坂の中腹にある町家カフェ「いちえ」)
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このカフェは大正9年に造られた建物を昨年改築して、オープンしたそうです。店内は町家独特の深みと落ち着きの中にも、現代的なセンスも感じられます。

(窓外には、雪で白くなった家並みがありました)
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窓外は、そんなに激しくないものの雪が降り続いています。浅野側河畔に広がる町の風情を楽しみながら、友人らとともに近況などを語らいました。

建築学ぶ大学院生、金沢の下町を探訪

今朝、あかつき屋にお泊まりになった若者たちを周辺の天神町や横山町、材木町などをご案内しました。このお客様は、東京の大学で建築学を専攻する大学院生たち。今春大学院を修了し、社会人になるのを前にして、卒業旅行として金沢に来られたのでした。

藩政時代の面影が色濃く残る金沢。その中でも、天神町など、あかつき屋の周辺の町は、町家が多く下町風情が漂うところ。学生さんらは、興味深そうに街並みを見て回られました。

(こまちなみに指定されている天神町界隈を見て回るお客様)
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昨晩、若者たちとおしゃべりしていた際、彼らが建造物だけでなく、金沢の古い街並みやまちづくりにも関心があることが分かり、街並み探訪を企画させて頂いたのでした。

あかつき屋の近くで注目すべきは、天神町。小立野台のふもとに位置するこの町は、古い町家が多いことから、金沢の「こまちなみ」に指定されています。
若者たちは、この「こまちなみ」というユニークなまちづくりの概念のもとに、家主がこの補助制度を利用して、町家の美観を整えている様子に強い印象をもたれたようでした。

この天神町界隈には、昔からの個人商店が何軒も残っており、そのうち魚屋「越吉」さんに立ち寄りました。お客様はガラスケースに並ぶ日本海のお魚を眺めながら、お店の人とおしゃべり。一人の男性のお客様が、ある黒く四角いものを手に取って「これ何ですか」と聞かれました。

それは黒作りでした。ご飯にのせて食べるもよし、酒の肴にするも良しと説明され、新湊(現富山県射水市)産のそれを買い求められました。

(横山町では広見も見学しました)
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若者たちとともにこのほか、横山町や材木町へも足を運びました。横山町では、広見に寄りました。ここで、たまたま犬を散歩されている年配の男性と出会いました。

広見は、まちなかにあって住民が交流できる、貴重なオープンスペース。男性は「ここで5年ほど前まで、盆踊りをしたもんや」とおっしゃいました。

私は以前ここで開かれた青空市にお邪魔したことがあり、そんな場にもなっていることを彼らに合わせて紹介。若き建築家たちは、あちこちで、まちの人とふれあい、金沢に対する認識を新たにされたようでした。

新たな門出 あかつき屋で送別会と誕生会

この週末、あかつき屋では、お客様の人生の新たな門出をお世話させて頂く機会に恵まれました。二組のお客様のグループをお迎えしましたが、一組はその中で今年フランスへ出発される女性がおられ、もう一組はこのほど誕生日を迎えられた女性がいらっしゃいました。

二つのグループは、互いに全くの初対面ながら、ともに送別会とお誕生会をしてお祝いし、それぞれの新たな門出に幸多かれと祈りました。

(フランスへ出発される女性の送別会で書いた寄せ書き=写真掲載了解済、以下同じ)
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一組は海外ご出身のお二人を含めて4人で構成されていました。このうちの女性のお客様は、お仕事の関係で今春、フランス・パリへ旅立つことになっておられました。そこでは2年間滞在されるそうで、近く金沢から離れられるそうです。
あかつき屋では、この女性の送別会を兼ねてのご宿泊でした。

夜、二組のグループがともに、大きな掘りごたつのあるコミュニティ・ルームに集い、彼女のパリでのご健康とご活躍を祈り、全員で色紙に寄せ書きをしました。
初めて顔を合わせたにもかかわらず、もう一組の女性のお客様も、色紙にかわいいイラストを描き、パリへと旅立つ女性の門出を祝われました。

(お客様が楽しまれた英語版のモノポリーゲーム)
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4人のお客様はこの夜、お宿では、英語版のモノポリーゲームを行い、楽しいひとときを過ごされました。

もう一組のお客様は、なみちゃんの誕生を祝ってのお泊りでした。お宿に来られた時に、きれいに包装された箱を持ってこられたので、まさかお土産でもあるまいし(万が一そうであるならば、そんな気を使わなくてもいいのに)などど、けげんな気持ちでお迎えしました。

(誕生日をお祝いされた、なみちゃん=左とそのお友達)
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実はその箱には、洋菓子店「ぶどうの木」で買った、なみちゃんの誕生祝いのケーキが入っていたのでした。その夜、もう一組のお客様とともに、なみちゃんのメモリアルデーをお祝いしました。全員で「ハッピーバースデイ トゥ ユー」の歌を歌って。

全く予期せぬ、この二組合同の送別会とお誕生会については、あかつき屋としては、それぞれに、ささやかながらサプライズのおもてなしをさせて頂きました。

(陽光を受けて輝く軒下のつらら)
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メンバーの新たな出発をともにお祝いされたお客様たちをお送りした今朝、外は明るく晴れわたっていました。

家の軒下には、何本もつららが下がっていましたが、春到来を思わせる陽光を受けて、つららは、キラキラと輝いていました。

豪華絢爛 ひな人形の世界に魅せられ

再びまとまった雪。雪かきに追われ、ちょっとうっとうしくもなるところですが、そんな気分を吹き飛ばしてくれる光景と出会いました。
ご近所の横山町の広見近くのTさん宅。そのお座敷には、様々なひな人形飾りがところ狭しと飾られていました。
華やかで、彩り豊か。気持ちが、ぱーっと明るくなりました。

(江戸時代に作られた古今びな)
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Tさん方は、クリスマスシーズンに豪華イルミネーションを整えることで、金沢でも有名なお宅。先のクリスマス時期にあかつき屋のお客様とお訪ねした際、奥様から「桃の節句の時季には、ひな飾りもするので、ぜひ見にいらして下さい」とお誘いを受けたので、この日お伺いしたのでした。

玄関に入ると、早速かわいらしいひな人形が出迎えてくれました。
通されたお座敷には、いくつかのお雛さまの壇飾りや、吊り飾り、そして花や福の神などを題材にした屏風や掛け軸などが据えられていました。

(昭和の初めに作られた壇飾り=左)(ご長女誕生の際に仲間参りした壇飾り=右)
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華麗、気品、優美、そんな雰囲気に満ちあふれていました。その中で、目を引いたのは、江戸時代に作られたという古今びなです。歴史を感じさせる装いですが、お内裏さまと、おひなさまはにっこりと笑みを浮かべており、穏やかな表情です。

このほか、昭和の初めに作られた壇飾りと、ご長女が誕生された際に仲間入りした壇飾りもあります。人形の表情や衣装のデザインに時代の違いが感じられます。

奥様としばし歓談。奥様は「私うれしがりなんで、こうしておひなさまを人に見てもらうのを楽しみにしているんです」とおっしゃり、ご友人らをお招きし、ここでお茶をなさっているそうです。
そして、「まだ寒い時季に、おひなさまを眺めていると、心があったかく、やさしい気持ちになります」「毎日を元気に過ごせますよね」などと、互いに思いを語り合いました。

(奥様がお嫁入りされた際に持参された花嫁のれん)
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奥様は、最後に素敵なものを紹介して下さいました。29年前、Tさんの家に嫁いだ際、ご実家から持参された花嫁のれんです。孔雀や梅の花などを描いた雅で気品のあるもの。全く新品同様の光彩を放っています。

Tさんご一家から、幸せをおすそ分けしてもらっているような気持ちになり、お宅を後にしました。

近江町市場 かす汁であったかく

昼時、近江町市場に立ち寄りました。歩いていたら、長いすに腰かけてめった汁風の汁物をすすっている主婦がおられます。
寒かったのでうらやましくなり、思わず聞いてしまいました。「それ、どこに売ってるんですか」。
その主婦は、箸を持つ手で指差しました。「すぐそこよ」。そこは「世界の食品」をキャッチフレーズにする食料品店「ダイヤモンド」さんでした。店の前には、大鍋がありました。

(かす汁の大鍋。既にだいぶ売れたようでした)
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大鍋では、かす汁が煮えており、お店の男性が通行人に声をかけていました。「1杯150円」と値段が手頃なので、迷わず買いました。男性によると、この鍋は、ほぼ毎日出しているとのことでした。

(長いすに腰かけ、一杯頂きました)
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先ほどの主婦がいた長いすに腰を下ろし、かす汁を食べることにしました。かす汁は、豚肉のほか、大根、白菜、ニンジン、キノコ、ネギ、揚げと具だくさん。酒かすが、いい具合にとけており、おいしい、おいしいと心の中でつぶやきながら、汁を胃袋に入れました。

その主婦は常連さんのようで「やみつきになるわ」と言い、さらにこう付け加えました。「夏はソーメンやおうどんもあるんよ」。
「へぇー」。近江町市場。まだまだ知らないことがいっぱいあります。

お客様が折り紙 コマや鶴、手裏剣

今朝、あかつき屋では、ほのぼのとした風景が生まれました。お客様の若者たちが、童心に帰って折り紙をされたのです。
コマや鶴、手裏剣などを折り上げられました。これらは今、掘りごたつの上に並べています。見ているだけで、楽しくやさしい気持ちになり、訪れた人に好評です。

(お客様が手作りされた各種の折り紙細工。手前左がコマ)
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朝ご飯前のひととき、女性のお客様がテレビ台に飾ってある和紙製の雛人形(数日前に飾りつけしたものです)を見て言いました。「これを見ると、仕事を思い出します」。
何のこと?私が不思議そうな顔をしたようです。すると「私、保育士なんですよ。(職場では)よく子どもたちに折り紙をおしえているんです」。

「そうなんだ」。それなら折り紙を折って何か作ってもらえないか、とお願いしました。あかつき屋では、子どものお客様のことも考えて、折り紙を置いているんです。

(お客様の女性がコマを折る様子=左)(完成したコマは勢いよく回りました=右)
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その女性は瞬間ちょっと困った顔を見せられましたが、「じゃぁ、コマを作りますね」と言われました。折り紙のコマって、いったいどんなものなんだろう。私は見当もつきません。
その女性は早速、三枚の色紙を使って、てきぱきと紙を折ったり、紙と紙の間に紙をはさんだりしながら、折り紙のコマを完成させられました。

「折り紙のコマって、こんな形をしているんだ」。私は驚き、感心しました。「これ、どんなふうに回すんですか」。

お客様は、上の方に突き出ている取っ手を持って、えいっと指をひねりました。するとコマは、勢いよく回転しました。単なる紙に過ぎないものが、こんなにも速く回転するなんて。私は、またびっくりしました。
彼女は続いて、鶴も器用に折って下さいました。

そんな様子を見ていた仲間の男性のお客様も折り紙作りに取り組まれました。
彼は、巣に入っている鳥や手裏剣、シャッターが開くカメラを作って下さいました。

私は、子ども時代のことを思い出してみましたが、世代が違うといろんな折り紙細工があるんだなと思いました。意外な発見でした。

(折り紙した後、朝食を囲まれるお客様の若者たち)
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埼玉県内からお越しになったこの若者たちはこの後、お宿のキッチンでパンを焼いたり、インスタントの海鮮味噌汁などを作って、朝食をとられました。掘りごたつの上の手作りした折り紙細工を眺めながら。

大震災被災地支援 「お疲れさまでした」

あかつき屋に今日、友人のYさんが年が明けてから初めて訪ねてこられました。県の公務員であるYさんは、東日本大震災に伴う被災地の復興支援で年明けから1ヵ月間、福島県に赴いておられたのでした。
Yさんからは、現地での様子をいろいろと説明してもらいましたが、表情は明るく、安堵感も漂っていました。
被災地に行く時は、不安や心配もあったと思います。「お疲れさまでした」と心から労をねぎらいました。

【東日本大震災の状況=Yさんが撮影。以下同じ】
(津波で陸地にまで流された船=左)(護岸が崩壊した海岸線=右)
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Yさんは技術畑のご出身で、福島県ではその専門を生かして、主に海岸部で地震や津波の被害を受けた公共施設関係の調査や復旧に向けた計画づくりに当たられました。

Yさんによると、未曾有の自然災害となった現地は、やはり生で見ると言葉を失うほどの状況があったそうです。いたるところにがれきの山があり、海岸からかなり中に入った陸地にもかかわらず、船がいくつも打ち上げられていたそうです。
そんな惨状に心を痛めながら、Yさんは作業に当たられました。

(仮設住宅に設けられた食堂=左)(店主の決意や似顔絵が描かれた色紙=右)
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そんな中で、ほっと一息つく時間もありました。仮設住宅に設置された食堂で昼食をとったひとときです。この食堂の店主は、震災被害で一時新潟県内に避難しておられたとのことですが、その後、この仮設住宅でお店「双葉食堂」を再開したのでした。
お店の壁面には、震災で命の大切さを知り、店主が新たな気持ちでお店をやっていく決意を記した色紙が掛けられており、Yさんは、ここでラーメンを食べてきたそうです。

(現地でYさんが身につけていた作業着)
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行って肌で感じた被災地の窮状。土地や施設の損壊に伴う暮らしや仕事の困難。原発事故による風評被害。
諸々の状況が重なり、被災地の人々は、今も苦しんでいることをYさんは目の当たりにし、「地域社会に奉仕する公務員としての原点を見つめ直した」とおっしゃいます。

Yさんが、現地で身につけておられた作業着をあかつき屋で実際に袖を通して見せて頂きましたが、これは、Yさんにとって勲章と言っていいような、価値あるものになったようでした。

シンガポールからのお客様、雪かき体験

連日雪が降り続き、閉口気味の雪かきが今朝に限って楽しい時間になりました。あかつき屋に6連泊中のシンガポールからのお客様のご夫妻が、お宿の雪かきに取り組んで下さったのです。
赤道直下の常夏の国からお越しになったお二人、雪は大変珍しいらしく、雪かきを自ら買って出られたのでした。いつもは黙々とする雪かきも、この時ばかりは、私の心は軽くなり、作業は随分とはかどりました。

(あかつき屋の前で雪かきに精を出されるシンガポールからのお客様)
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シンガポールから来られたご夫妻は、金沢の冬を体験したいと、あえてこの時季を選んで来られたのでした。
雪は、大いに歓迎するところ。昨晩、お二人はテレビで雪の予報を知るや、自ら翌朝の除雪を申し出て下さいました。

ご主人は長年シンガポールに暮らし、奥様は日本人で、東京のご出身ですが、除雪は初体験とのこと。
それでもお二人は、スノーダンプや、プラスチック製のスコップを上手に扱い、かいがいしく路上に積もった雪を除いていかれました。

(氷になった雪は鉄製のスコップで取り除かれました)
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ただ、アスファルトに氷状となって、カチンカチンに貼りついた雪を取り除くには、さすがに骨の折れる作業のようでした。鉄製のスコップをお貸しすると、気合を入れて、硬い雪をめくり上げておられました。

お二人は、この後の予定が控えていて、雪かきは途中で切り上げることになったので、奥様は「(路面が全部出るまで)もう少しやりたかった」と口惜しそう。だんなさんは「(雪かきは)でも毎日となると大変だなー」と、雪国の苦労をちょっぴり感じられたようでした。

見慣れぬ方の除雪する姿に、ご近所の方も驚かれた様子でした。私は不可解であろうと、その方々に早速説明しました。

テレビの『田舎に泊まろう』の番組で民家に宿泊されたタレントさんが、翌朝「一宿一飯の恩義」と称して、その家のお手伝いをするシーンがあります。

たとえが適切でないかもしれませんが、お客様が雪かきされている間、そんなシーンに居合わせているような感覚にもなりました。