あかつき屋のお客様も利用する近所の酒屋「酒のふじた」さん。そこの店内に素敵な衝立が飾られていました。
聞けば、御主人が酒樽を使って手作りされたとのこと。
優美ささえ感じるほどの見事な出来栄え。お店の中に上品な趣を醸し出しています。
(藤田さん手作りの酒樽の蓋を材料にしたミニ衝立)

御主人の藤田さんは、
不用になった酒樽を使って、様々な物を作っておられます。店の看板にもなっている「酒樽モニュメント」は、その代表的なものです。
今回は、酒樽の蓋を使って、ミニ衝立を作られました。藤田さんは、この作り方を説明して下さいました。
酒樽の蓋は、宴会の鏡割りなどで使っていらなくなったものです。これを乾かし磨いた後、塗料のカシューを塗ります。
次に塗料が乾く前に、金箔店から購入した筒入り(七味のような容器)の金箔を板の表面に振りかけて、きらびやかな模様を描きます。この2つの蓋をこれも塗料と同様にホームセンターで買ってきた蝶つがいででつなぎ合わせます。
手前の台も、藤田さんは無垢の木材を適当な大きさに加工し、塗料を塗って仕上げられました。
台の上に載せる置物や花などは、「嫁さんが飾り付けしてくれたんやは」(藤田さん)とのことです。
藤田さんが、酒樽を使ってもの作りを始めたのは、平成15年ぐらいからだそうです。
息子さんが商売の後を継ぎ、時間に余裕ができたから。不用の酒樽を使っていすを作ったのが最初。「酒樽製のいすは、日本でもわしが初めて作ったんじゃないかな」と笑いながら言われます。
(酒樽を使ったいす。素朴な味わいがあります)

でも、もともと器用なたちではなかったそうです。
「少しずつ、やっていくうちに段々ともの作りが楽しくなっていったんですよ」とおっしゃいます。そうこうするうちに電動のこぎりなど、一通りの大工道具もそろったそうです。
そして笑いながら「ボケ防止やストレス解消にもなるんやは」とも言われます。
さらに私が感心するのは、藤田さんご一家のチームワークの良さ。
奥さんは、よく店番に立っておられるし、お嫁さんも書道の腕を活かして、看板や垂れ幕の文字などを書いておられます。
ご家族が明るく協力される姿は、自営業のお手本と感じています。
10月入りした今日、とてもうれしいことからスタートしました。先月あかつき屋に宿泊して頂いた
新潟の女性グループの幹事さんから、手縫いの鏡台掛けが届いたのです。
お泊りのお礼に、ということのようですが、こちらとしては、ふだん通り一生懸命お世話させて頂いただけなので、うれしさとともに、恐縮するばかりです。
昨日と打って変わって、さわやかな秋空が広がった今日、その明るい空とともに、温かな気持ちに包まれた一日となりました。
(新潟の斎藤様が贈って下さった鏡台掛け)

先日お泊りされたグループは、新潟市内で斎藤みどり様が開くパッチワーク教室の受講生さんと、そのお友達ら。
ご一泊でしたが、全室貸切され、心おきなく過ごされたようでした。
夕食は仕出し弁当をとって、あかつき屋で食べられ、朝食も近隣のパン屋さんから買ってきた焼き立てパンを賞味されるなど、お宿と、その周辺の魅力をご堪能されました。
十数人の女性グループにお泊り頂いたのは初めてだったので、初め緊張しましたが、終わった後は、ずしんとした充実感が胸の内に残りました。
その余韻が尾を引いたのか、実はここ一、二日の私の夢に、この女性グループの方々が出てきたのです。具体的なものは思い出せませんが、女性たちが、にぎやかにお宿で過ごしておられるシーンが脳裏に残りました。
この夢は、正夢だったのか。今日届いたお礼の品は、そんな因縁を感じます。
贈り主は、パッチワーク教室を主宰する斎藤様。
(斎藤様からのお礼状。下側にはご一行様のお宿での記念写真も=写真掲載了解済)

斎藤様の許しを得て紹介させて頂くお手紙によると、趣味としている手芸で、お世話になったお返しをしたいということでした。
あかつき屋の2階兼六の間には、私の母の鏡台が置かれています。斎藤様は、その鏡台掛けを「友人から頂いた古い着物をほどいて刺繍を入れ」(お手紙本文)作って下さったのでした。
斎藤様は、鏡台のサイズも計らず、遠い新潟の地で作られたので、鏡台に合うかどうか心配されたようでしたが、今日封書を開いて、早速その心尽くしの品を鏡台に掛けてみたら、ぴったり合いました。
鏡台掛けの生地は、古着を使ったということでしたが、新品同様の真新しさで、刺繍された花も愛らしい感じです。
花嫁道具として、母が持参した鏡台。
60年の時を経て、お客様が手作りした鏡台掛けによって、新たな命が吹き込まれました。
何という幸運、そして、その幸運をもたらした素晴らしい出会いに感無量です。
新潟の皆様、ありがとうございます。
お宿冥利(仕事冥利)を超えて、人生冥利を感じずにはおれない、一日となりました。