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あかつき太郎の町家日記

金沢町家ゲストハウス あかつき屋をめぐる出来事や思い、人とのふれあいなどをつづるブログ。街角の話題や四季折々の風情も紹介していきます。

あかつき屋のホームページはこちらです。

木彫りと古寺の町・越中井波へ

百万石の城下町金沢は、北陸三県の中核都市であるのに加え、能登半島への観光の出発地という地理的特徴を備えていますが、一方で、越中富山や奥飛騨にも近接しており、その方面の要所とは昔から様々な交流が行われてきました。その点は、遠来から訪れた観光客には、あまり知られていないところでしょうか。

私どもは仕事が一段落ついた時、気分転換を兼ねて、車で一時間ほどで行ける、それらの場所へカジュアルに出かけることがあります。そして、この度足を運んだのは、富山県南砺市の井波町でした。私はそこは以前訪れたことがありましたが、観光的な訪問は初めて。井波別院瑞泉寺の壮大な佇まいや、その門前に連なる木彫り師の職人街は、重厚な歴史を感じるに十分な街並みでした。

(瑞泉寺の壮大な山門)
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(本堂も圧倒する大きさ。向かって左は太子堂)
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(境内に紅葉の木々も)
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瑞泉寺は、明徳元年(1390年)、本願寺5代綽如上人によって開かれ、その後、戦乱の時代の焼失を経て、現在の本堂は、明治18年(1885年)に再建されたものです。木造建築の寺院としては、日本でも有数の規模と技の粋を誇る建物とされています。

山門は、天明5年(1785年)、京都の大工によって建て始められましたが、京都本願寺の再建工事が始まったため、井波大工がその後を引き継ぎ完成したものだそうです。

圧倒的な迫力をもつ山門。それだけでもって、井波という町のイメージを決定的なものにします。地元の大工たちが全身全霊で造り上げた豪壮な門。この寺院への崇敬と、大工たちの気概をいやが上にも感じさせます。

本堂や太子堂にも足を踏み入れ、古文書や古い絵図にも見入り、この古刹の歴史をたどりました。
境内には、五月には、花が見頃となる藤棚があり、また、紅葉も目に留まり、行く秋の感慨にも浸りました。

(門前に続く木彫り職人の店や土産物店)
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(店内で作業する職人さん=写真掲載了解済)
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瑞泉寺前に展開する商店街。木彫の街とあって、木工製品を展示販売する店が目につきました。その店内では、職人さんが、鑿(のみ)などを使って、木彫り細工を熱心に作っている姿を見ることができました。木彫の町の息遣いが伝わる光景です。

観光客の賑わいが退いた後の訪問でしたので、街全体に静けさが支配していました。世界遺産の合掌集落が残る五箇山へと続く、井波の里。冬の足音をそこはかとなく感じる小旅行となりました。

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喜多家のしだれ桜に感嘆 -最終・桜花点描-

春を迎える歓び。それは、雪が解け、寒さが和らぐだけではありません。様々な花が開き、街は彩り豊かになるからです。心がいっぺんに明るくなります。

その中で、桜花との出会いは、格別です。日本人が古来から、この花を愛好してきたからでしょうか。今回初めて目にした、かほく市上山田の「喜多家のしだれ桜」は、今春の桜物語に印象深い1ページを刻むものでした。

そのしだれ桜は、金沢のあかつき屋から車で20分ほどのところにあります。里山と呼んでいいところで、周囲は田んぼや丘陵地が広がっています。

(圧巻。喜多家のしだれ桜)
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そのしだれ桜はかほく市指定文化財となっており、高さ13㍍、幹回り1.6㍍、枝張り11㍍と立派なものです。
明治26年(1895年)に喜多家十五代善兵衛さんが兼六園から桜の種子を持ち帰り、現在地に植えたのが始まりだそう。辺りを覆うようにして垂れさがる桜の花々は、息をのむ迫力と美しさです。

県内では名の知れたしだれ桜なので、私たちが訪れた時には、すでに何人も見物客がいて写真を撮るなどしていました。夜はライトアップされるそうで、家の軒下には、照明器具が設置されていました。

(喜多家周辺の家でもしだれ桜が見頃でした)
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その桜の木とともに、面白いなと思ったのは、喜多家の近隣の家でも、しだれ桜が植えられていることで、時を同じくして、満開になっていました。近くに特設の花見団子の出店もあり、集落挙げて、花見のシーズンを楽しんでいる、といった趣でした。

北陸縦横無尽 ‟飲み仲間5人”

新型ウイルスでなんとなく世に漂う不安感を一掃するような、エネルギッシュな金沢ステイでした。男性5人のお客様グループ。ここあかつき屋に二泊されました。

二泊目は、レンタカーで能登へ福井へ。北陸ならではの景勝にふれ、完全燃焼の三日間となりました。

(福井・東尋坊で。「火サス気分」=ご提供写真)
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お客様は、千葉県内の居酒屋に集う「飲み友で、平均年齢35歳」(お客様)だそう。このうち一人は二年前に転勤となり、赴任先の奈良県内から金沢に駆けつけました。

二日目は、アクティブな一日に。レンタカーを借りた後は「八幡のすしべんで朝ご飯を食べ」(同)、能登羽咋・千里浜へ。そこで「カースタントをしました」。(危なくなかったかな。気をつけて、安全運転をね=筆者)。

その後は、高速に乗り、一気に県境をまたいで越前海岸・東尋坊へ。
「火サス(火曜サスペンス劇場)ごっこをしました」(同)。

(日本自動車博物館で=同)
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帰りは、小松の日本自動車博物館へ。日本の名車やオールドカーに目を見張りました。
「乗り物は男のロマンです」(同)。

(金沢駅で「オバショット」=同)
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金沢市内に入ると、スーパーどんたくに立ち寄り、地元民のようにお惣菜を買い、あかつき屋で地酒とともに二次会。楽しく夜は更けていきました。

(あかつき屋で最後の宴)
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躍動感にあふれる皆さんに接していると、もやもやした気分も吹き飛びました。ご宿泊ありがとうございました。
また、お会いできる日を楽しみにしています。

カニの漁師町 味覚と人情にふれ

(前回のつづき)
この越前海岸。美しい海辺の風景とともに、もう一つビッグな特産品がありました。それは、カニ、中でもズワイガニです。漁港を有する越前町は、福井県内でもトップクラスのカニの水揚げ高を誇り、県内外にその名をとどろかせています。

その名物にふれないわけには、いかない。カニの博物館を訪ねて造詣を深め、カニ料理店で地元ならではのカニの調理について新たな知見を得ました。

【越前がにミュージアム】
(漁村風景を模したジオラマ)
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(生きたズワイガニがいました)
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ズワイガニは、日本海の冬の味覚の代名詞にされるほどに、私たちの身近にあります。でも、同じ北陸でもその呼び方が異なり、石川県は加能ガニと言い、福井県は越前ガニと呼びます。同じ海産物ですが、おらが海ならではの幸であると主張するようでもあります。

そのカニについて、多角的に紹介する博物館が越前町にあります。越前がにミュージアムです。建物は、カニが足を広げたような形をしています。

そこでは、カニの生態のほか、地元のカニ漁の歴史や、カニを生業とした漁村の暮らしぶりなどを幅広く展示しています。もちろん生きたズワイガニも紹介。カニ専門の博物館では、北陸随一の規模と内容と言えます。ここで改めてズワイガニついて見聞を広げました。

その後は、思い切ってカニ料理のお店へ。訪れたのは、蟹かに亭です。カニ料理専門店が軒を並べる中にありました。
店内は、カニシーズンとあって、既に大勢のお客さんがいました。

(お店の方が手際よくカニの身を出して下さいました)
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出されたカニはゆで上がったばかりのもの。さすがに本場とあって、美味でした。
ここで、新しいカニの食べ方を教わりました。カニの足とカニ味噌などを取り出し、それらを大根おろしと混ぜ合わせます。これをどんぶりのご飯の上にのせて食べるのです。

(地元に伝わる漁師飯のどんぶり)
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スタッフの女性が言いました。「これは、昔からここで伝わる漁師のまかない飯なんです。おいしいですよ」。漁師の家で生まれ育ったという、その年配の女性。はさみでカニ足を根元から切り、カニ足の身を殻から取り出す金属製の細長い器具を使って、つややかな、それを手早く出して下さいました。熟練の技です。

実は、今冬初めてのカニの食事。その濃厚な味に酔いながら、越前海岸を五感で堪能する日帰り旅となりました。

冬の日本海 越前海岸を行く

お正月休みの一日を頂いて、車でお隣福井県の越前海岸へ出かけました。にぎにぎしく、熱気を帯びた状況から身を離し、少し静かな時間を持ちたかったというのが理由です。

着いたその海辺は、波荒く、いかにも日本海という風情。海近くにまで迫る山や崖地は殺風景で、荒涼感さえ漂います。風に吹かれながら、しばしそぞろ歩き。年明けの冬の海を望み、思いをめぐらせました。

(冬の日本海、越前海岸)
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(名勝・呼鳥門)
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ここは越前加賀海岸国定公園に指定されているエリアです。断崖絶壁で有名な東尋坊も含めて、石川県加賀市から福井県敦賀市まで風光明媚な海岸線が延々と続きます。

私たちが訪れたのは、名勝・呼鳥門辺り。呼鳥門は海と接する断崖の一部が、風と波の浸食作用によりくり抜かれてできた天然のトンネルで、ダイナミックな景観は視線を釘付けにします。その付近には園地があり、そこで日本海を展望したり、近くの岩場を観察したりして過ごしました。

人も寄せつけないような、荒々しい地形。訪れた時は、何人もの観光客の姿がありましたが、昔は人に知られることもなく、超然と佇んでいたのでは、と推し量りました。

(可憐な花が咲きそろうスイセン畑)
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帰り道は、越前海岸を北上。ところどころに、白や薄黄色に覆われた斜面があります。近づいて見ると、スイセンの花です。
鈍く、荒い冬の海を見ただけに、その光景にはほっとさせられるようで、気持ちは明るくなりました。

越前水仙と呼ばれる、この花が育つ越前海岸は、日本三大産地の一つだそう。野生だけでなく、人の手によっても守り育てられているのです。このきれいな花々を通して、多少ではありますが、春への鼓動を感じ取りました。(つづく)