数日前から予報されていたように、金沢は暴風雪の日になりました。西から強風が吹き、雪は風にあおられるように舞う天候に。ニュースでは、この城下町に瞬間最大風速30数㍍の風が吹いたとか。台風並みの強風です。
格子戸や障子戸など、ほとんど木で造られているこの町家・あかつき屋は、外に面する戸が強い風を受けて、音を立てて揺らめきます。寒中にあっては、静けさを一層際立たせます。
用心のため、外に出ることは控え、書類整理など、静かに中の仕事に専念する日となりました。
しばしば、消防車などの救急車両がサイレンを鳴らす音が聞こえました。詳しいことは分かりませんが、このような天候ですから、火災というよりは、物が落下したとか、スリップなどの事故での出動でしょうか。大事に至らなければ、いいのですが。
(雪吊りが見事な木々=あかつき屋のお庭)

雪吊り、整然と美しくあかつき屋のお庭。年末の降雪の後、雪はいったんは消えたのですが、今回の風雪でお庭は再び雪をかぶりました。
でも風が強いこともあり、雪吊りが施された松の木は、ほとんど雪を着けることはなく、支柱から下に向けて整然と張られた縄は、揺るぎない円錐形の美を見せています。
雲が足早に東の方向へと動いています。こんな日でも、青空が見え、気持ちが明るく。
北陸地方は、週末にかけて大雪になるのだそう。不測の事態を招かぬように、準備をしなければ。
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いきなりメガトン寒波が北陸を襲い、金沢は記録的大雪となりました。積雪は一㍍ほどになったでしょうか。辺り一面雪野原。20年、30年に一度の大雪で、いっぺんに豪雪地帯のようになってしまいました。
数日大雪が降った後の最初の日曜日の今日、金沢は一斉除雪デーとなり、町内挙げて雪かきを行いました。住民の奮闘のかいあって、道路はみるみる内にきれいになりました。「もう(雪は)降ってくれないでくれ」。参加した誰もが心に思い、スコップなどの除雪道具を置きました。
(一斉除雪デーで町会の人とともに除雪に奮闘しました=あかつき屋前)

(あかつき屋からクスリのアオキさんへ続く道)

金沢は週初めの4日頃から再び本格的な雪になり、あかつき屋界隈も雪が時間とともにうず高く積もっていきました。数日後、狭い道では人が一人歩くので精いっぱいの状態に。道の両脇は除雪により雪の壁ができ、豪雪地帯の様相。
駐車場は、幾台もの車が雪の下になり、“遭難”したようになりました。
(前の道は雪の谷になりました=2月8日)

(雪野原になった駐車場。車数台が雪の中に=同)

週末に小康状態となり、日曜は金沢市挙げての除雪デーに。私も加わり、汗を流しました。
あかつき屋が所属する町内会・御親会でも、隣のクスリのアオキさん前に住民の方々が参集。硬くなった雪を金属製のスコップや鍬などを使って掘り起こし、それをママさんダンプ(除雪道具)に移し、近くの小川に捨てる、という流れ作業を行いました。
誰が役割を決めるという訳でもないのですが、それぞれ自分がすべきことを心得、パワフルに、スピーディーに体を動かしました。
午後一時から始まった作業は一時間半ほどで、ほぼ目途が立ちました。重機に頼らず、人の力だけで行ったのですが、大勢が集まるとすごい威力だなーと、我ながら感心しました。
藩政時代に金沢城を築城する時もこうだったんだろうか、とふと思いました。今はAIとかロボットの時代と言いますが、この作業は100%アナログでしたが、見事に難事をやり遂げました。
作業が終わると、皆の顔に達成感と安ど感が漂いました。
この雪の中でもお客様は来て下さいます。あかつき屋としましては、できるだけ雪によるご不便をかけずに、雪の風情を楽しんでもらえればと思っています。
暖冬ムードで推移するこの冬。この調子で春に、と言う訳にはいきませんでした。
金沢は寒波の急襲で雪が絶え間なく降り続け、今朝起きると街は真っ白。真冬の佇まいへと様変わりしました。
一日の仕事は、雪かき(雪すかし)から。あかつき屋の前の道で、スノーダンプを押して、雪を側溝へと移す作業に汗を流しました。いったん作業を終えて、お宿の中にいると、午後に再び雪。冬空が恨めしくなりました。
(雪に覆われたあかつき屋の前の通り)

(お寺も白く雪化粧)

それでも、あかつき屋には、何人かのお客様がお越しになりました。
あかつき屋、そしてその前のお寺・広済寺さんなど、城下町の風情を感じさせるこの界隈。お客様は、肌寒さを感じながらも、白く染められた古い家並みの趣を楽しんでいるように見えました。
そのお客様たちは、荷物をいったんあかつき屋に置かれた後、兼六園へ行くというので、前の細い道から兼六園へと通じる最短ルートをご案内しました。
(滝のように水が流れる八坂)

(坂の上部は、雪が多く残っています)

兼六園手前の八坂に着きました。
路面を水が滝のように流れていました。雪を溶かすため、松山寺側にある側溝の水の流れを堰き止め、坂に水を流しているためでした。下手にその坂の上に立つと、滑って下まで転げ落ちそうな按配です。
坂の上部は、水が流されていないため、多くの雪が残っていました。人の足跡や車の轍が残り、荒っぽい雰囲気でした。
(八坂からの絶景に感嘆し、写真撮影されるお客様)

そんな中で、圧巻は坂の中ほどから眺める風景。家々の屋根が雪に覆われて真っ白。この時は、晴れ間が広がっていたので、下界は清純な世界でした。
お連れした外国からのお客様は、心が動かされ、カメラを向け、熱心に写真を撮っておられました。
春が到来したのかと思ったら、8日は一転して雪になりました。城下町金沢には、再び冬の風景が広がりました。9日も終日雪が降り、その天候の激変ぶりに困惑するほどでした。
その中で、あかつき屋には、アメリカ人夫妻や三重県内の職場仲間の女性がお客様としてお泊まりになりました。このうちアメリカ人のお二人にとって、古い街並みや町家に降り積もる雪は、心とらえるもののようでした。
今朝起床し、木戸を開けてみたところ、外のお庭は真っ白。「とても素敵ですね」と感動されたご様子でした。
(お泊まりになったアメリカ人ご夫妻=写真掲載了解済)

お二人は、長町の武家屋敷跡などを回られ、夕刻チェックインされました。その日は、近所のまるよしさんでお寿司を召し上がり、続いてみろく温泉で初体験の銭湯を経験されました。
(雪に包まれたお庭)

(Lisaさんがお宿ノートに描いた旅思い出)

翌朝起きたら、外は真っ白。お庭は、雪に包まれており、ピュアな白の世界。妻のLisaさんは、肌寒さを感じながらも、しばらくお庭を眺めておられました。
受けた感動を早速お宿ノートに達者な筆遣いで絵を描かれました。どこで覚えられたのか、漢字で「雪」の文字も書かれました。
異郷から来られた旅人には、雪は文字通り「天からの贈り物」になったようでした。
夏の暑さは、峠を越えたのでしょうか。金沢は今日、幾度かにわか雨があり、涼しさも感じる一日となりました。「暑いですね」とご近所の人とごあいさつ代わりに言葉を交わしていた毎日だっただけに、今日のような気候は、正直うれしくなります。
夕暮れ時、車で移動中、兼六園の付近を通ったら、西の空は、秋の色を帯びた青空が広がっていました。暑さと格闘していた折、そんな風景を見るとほっとし、元気づけられます。この夏も、もうひと踏ん張り、といったところでしょうか。
(夕暮れ時の城下町金沢=兼六園から西方を望む)

(兼六園横・兼六坂上から北西方向を望む)

朝11時頃に、突然強い雨がありました。「忍者寺(妙立寺)に行って来ます」と出かけられた二人連れの女性のお客様は、あかつき屋に戻って来られると、「帰りに雨にあいました。あわてて、カフェに入り雨宿りしました」と、昂ぶった調子でおっしゃいました。こればかりは、金沢に住む人でも、なかなか予想のしにくいところです。
昼頃からは天候は穏やかになり、晴れ間が広がりました。
夕方5時過ぎ、外での用件を済ませて、あかつき屋に戻る途中。兼六園付近。西側の空は、青空が横長に広がっていました。茜色の夕焼けというまでには至らないものの、秋の気配を感じさせる、清澄感のある空でした。
お盆が過ぎたとあってか、周辺の通りは、観光客の方の数も少なめに感じました。
夜のあかつき屋。お客様たちはご夕食を済ませた後、近所のお風呂屋さん(温泉の銭湯)へそれぞれ歩いて出かけられました。その帰り道に、にわか雨に遭遇した方もいらっしゃいました。
「傘は欠かせませんね」とお客様。「そうなんです」と私。
そんな片時の出来事においても、お客様は夏から秋へと変わろうとする北陸・金沢の気候を感じ取られたようでした。
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