この週末、大阪などの若い人が参加して、ユニークな旅が実施されました。滋賀県・近江八幡市と金沢にある浄土真宗の古刹・広済寺さんを相次いでめぐるツアーです。
二つのお寺は、いずれの土地においても、その古い歴史から、枢要な地位にありますが、そのお寺の足跡を学ぶため、一日で訪問する旅が初めて企画されました。暑い一日でしたが、住職さんらお寺の関係者のご協力のお蔭で、収穫の多い、濃密なツアーとなりました。
(近江八幡市の広済寺さん=1昨年12月に撮影)

(貴重な古文書に熱い視線を注ぐ参加者の皆さん=ご提供写真)

このツアーを実施したのは、主に大阪に在住する人たちで、仏教、とりわけ浄土真宗の学習に勤しんでおられます。あかつき屋は、金沢の広済寺さんの前にあり、そのお寺の本家に当たる近江八幡の広済寺さんともご縁があることから、この企画の実現に、陰ながら協力させてもらいました。
近江八幡の広済寺さんは西暦593年、聖徳太子が地元の武河綱に命じて伽藍を建立したのが始まりとされています。浄土真宗本願寺派の中でも、枢要な地位を占める古寺です。
金沢の広済寺さんは、文亀元年(1501年)3月15日に蓮如上人の命を受けた近江八幡の広済寺十代厳誓房祐念の二男祐乗坊が、本山の別院・尾山御坊の看坊職として派遣されたのが創立の起源です。
早い時代の流れの中にあって、広済寺さんのそもそもの始まりが、1400年以上も前にさかのぼる訳ですから、幾多の困難を乗り越えて、今日立派に存在することは、極めて価値のあることと思います。
(金沢の広済寺さんでご住職のお話をうかがう)

このツアーの参加者は、本家と分家に当たる二つのお寺で、いずれも住職さんから、お寺の歴史について、詳しくお話をうかがいました。
近江八幡の方では、江戸時代に徳川家との関係を示す貴重な古文書を見せて頂きました。金沢では、近江八幡のご住職の実妹に当たる奥様からもお話を聞かせて頂き、奥様が500年近くの時を経て、金沢に嫁いできたことが、両寺のつながりを再び強固にしたというストーリーに耳を傾けました。
参加された方々は、どのお話もとても興味深く、広済寺さんの歴史を通じて、各時代の断面を見る思いをしたようです。
ツアーに参加された方の多くは、その夜、あかつき屋に宿泊されました。猛暑の一日でしたが、浄土真宗にまつわる歴史秘話を間近で聞き、昂奮冷めやらない表情で一日を振り返っておられました。
皆様、お疲れさまでした。また、ありがとうございました。
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あかつき屋の前の浄土真宗寺院・広済寺さんは、最近相次いで貴重な史実が明らかになっています。滋賀県・近江八幡に本家があり、約500年の歴史を有する広済寺さんは、金沢では格式のあるお寺ですが、これまで歴史学者らによって本格的な調査が行われていませんでした。
今回、地元の歴史研究者の調査によって、いくつかの貴重な出来事が確認されました。それを踏まえて、3月2、3日に広済寺さんで営まれた伝統行事・「
法宝物開帳の御忌(ぎょき)」を利用して、その研究者による調査報告があり、門徒さんらが熱心に聞き入りました。
(広済寺の秘史について語られる中田さん)

法宝物開帳の御忌は、蓮如とこのお寺を開いた実如上人を追悼する催しで、春の到来に合わせて、同寺で継承されている多くの宝物の御開帳も実施されます。長期間蔵にしまわれていた掛け軸などの虫干しも兼ねています。
このお寺の古文書などの調査に当たられたのは、長年、高校の日本史教師を務めた中田隆二さん(62)=金沢市高坂町=で、昨年秋以来、
お寺の梵鐘や古文書を通じて新事実を明らかにされました。
(御忌が営まれた広済寺さん山門)

中田さんは、大晦日などに鳴らす鐘については、その表面に加賀の一向一揆の拠点・尾山御坊の時代からの歴史が漢文で刻まれているという事実を突き止めました。これによって、この鐘は滅却処分を寸前で免れました。
また、中田さんが
近江八幡のご本家も訪ねて調査した結果によると、戦国武将浅井長政の異母兄弟に当たる近江国の僧侶、岡崎安休が、門徒の指揮をとったこと、さらには後年、このお寺の家紋「三つ葉葵」は、徳川家康から賜ったことなどが、判明しました。
2日に始まった御忌では、中田さんが、こうした貴重な史実を家系図などを配って詳しく説明されました。
門徒の方々は、興味深い逸話の数々に熱心に聞き入り、このお寺に秘められた数々の歴史ドラマに感銘を深くしておられるようでした。
慌ただしい師走の中、過日お休みを頂いて滋賀県近江八幡市まで遠出しました。ここに、あかつき屋の前のお寺・広済寺さんの本家筋に当たる浄土真宗本願寺派武作(むさ)寺・廣済寺さんがあり、そこを訪れるためでした。
金沢の広済寺さんについては先日、長年使用されてきた梵鐘の表面に、同寺が尾山御坊にあった時のことなどの史実が刻まれていることが分かったことから、その鐘が辛うじて処分を免れたという
出来事がありました。
この鐘に記された文章の解読に当たった元日本史教諭中田隆二さん(62)=金沢市高坂町=が、広済寺さんの各種古文書を調査した際、このお寺の本家に当たる近江八幡の廣済寺さんに所蔵されている古文書を調べる必要性を感じ、近江八幡への訪問を計画、私もそれに同行させてもらったのです。
(近江八幡市の浄土真宗本願寺派武作寺・廣済寺)

(境内に建つ親鸞聖人像)

近江八幡の廣済寺は西暦593年、聖徳太子が地元の武河綱に命じて伽藍を建立したのが始まりとされています。浄土真宗本願寺派の中でも、枢要な地位を占める古刹です。
金沢の広済寺さんは、文亀元年(1501年)3月15日に蓮如上人の命を受けた近江八幡の廣済寺十代厳誓房祐念の二男祐乗坊が、本山の別院・尾山御坊の看坊職として派遣されたのが創立の起源です。
金沢の広済寺さんの古文書を紐解いて調べている中田さんは、こうした経緯を踏まえ、尾山御坊があった当時の金沢の宗教的状況を詳しく把握したいと、より広範な史料を求め、近江八幡行を思い立ったのでした。
近江八幡の廣済寺さんに到着すると、武(たけ)敏信ご住職が私たちを出迎えて下さいました。ご住職は、金沢の広済寺さんの坊守さんの実のお兄さんです。
(古文書を調べる中田さん=右と、廣済寺の武ご住職、そして奥様)

早速ご住職は私たちに各種古文書を見せて下さいました。中田さんは、それを広げて、真剣に見ておられました。広済寺さんの古文書に記載されていることが、このご本家にある古文書でも同様に記されていれば、様々な出来事の信ぴょう性が高まると、中田さんは考えています。
中田さんは、ざっと史料に目を通しただけで、今回の訪問の目的が達せられるのではないかと、手ごたえを感じたご様子でした。
中田さんは、このお寺で史料をじっくりと見る時間がないので、お目当ての文献をデジカメで漏らさず撮影されました。
一方、私はこのお寺周辺を散策。お寺が地域の中心的存在であることを示すように、一帯は「武佐町」という町名がつけられ、お寺の隣には、武佐小学校がありました。
お寺の前の通りは旧中山道(歴史的建造物が立ち並ぶ旧中山道の通り)

(本陣跡も)

そして、出色なのは、お寺の前の通りが旧中山道となっていることです。この街道の66番目の宿場で、「武佐宿」と呼ばれています。
その通りには、歴史的建造物が軒を並べ、古民家を利用した「いっぷく処」あり、本陣跡の建物ありで、落ち着いた雰囲気。観光客の街歩きのコースにもなっていると、本家・廣済寺のご住職が教えて下さいました。
かつて近江の商人が移り住んだことから、町ができたと言われる、現在の金沢・近江町市場界隈。この例を挙げるまでもなく、金沢は近江(滋賀県)とは、古くから結びつきがあります。
今回、近江八幡での訪問では、さらに宗教の面でのつながりが強いことを再認識しました。
近江八幡、そして金沢の二つの広済寺さん、この度は大変お世話になりました。ありがとうございました。
この週末、あかつき屋にアメリカ・オレゴン州と東京からお客様をお迎えしました。
いずれのお客様もデザインをお仕事にされており、意気投合。あかつき屋の前のお寺・広済寺さんの重厚な建物に興味を示され、朝みんなで拝観させて頂きました。
その際は、出来上がったばかりのお寺の英語版リーフレットが大いに役に立ちました。
(お寺を見学されたアメリカと東京からのお客様=写真掲載了解済、以下同じ)

アメリカから来られたのは、マシューさん。大学でデザインを学んでおられ、日本へは知人の方とともに来られ、東京でのデザイン関係のインターンシップを経て、金沢にお越しになりました。
マシューさんは日本の仏教にも関心をもっておられ、お寺のご厚意で中を見させて頂きました。
立派なけやきの柱、天女を配した金箔塗りの欄間、蔓葵のお寺の家紋。どれも珍しいものばかりで、興味は尽きませんでした。
一行は、英語版リーフレットを参考にしながら、お寺の立派な本堂や外観の手の込んだしつらえに感心しました。
(一同正座してお参りしました)

皆で手を合わせておまいり。この後、お客様はそれぞれに百万石の城下町の観光に出発されました。
あかつき屋の前のお寺・広済寺さんを外国人に紹介する英語版リーフレットが今日完成しました。
昨年後半にお寺さんの発案で英語版リーフレット作りがスタート、お寺の世話役さんや、当あかつき屋など関係者が総力を挙げて、リーフレット作りに取り組みました。
印刷会社から届いた刷り上ったばかりのリーフレットは、A4版を三つ折りしたもので、フルカラー。明るく上品な仕上がりになっており、一同は達成感と満足感に浸りました。
(完成した英語版リーフレットを眺めるお寺の住職さんと奥様、そして孫のゆいちゃん)

(英語版リーフレット)

リーフレットの内容は、表紙にお寺の本堂や山門を映し、お寺の歴史や、おちょぼ伝説を英文で紹介。見開くと写真をふんだんに配して、お寺の四季や、欄間などの建築美、阿弥陀様、ご本尊、宝物などを載せています。
作成に当たっては、お寺の世話役で元英語教師の山川さん、東京の会社で海外関係業務に当たる私の妹らが英訳に尽力しました。
また、ちょっと愉快なことですが、昨年の大晦日にあかつき屋にお泊りになった徳島のWさんにも、ご協力頂きました。
お寺でご一家で除夜の鐘をつかれたのですが、ご了解を得て、お父様が鐘をつくシーンでご登場頂きました。Wさん、ありがとうございました。
今夕、広済寺さんでは、住職さん、奥様、そしてお孫さんのゆいちゃんも加わって、出来上がったリーフレットを広げて見ました。きれいな仕上がりに皆さん満足そう。
小学校三年生のゆいちゃんは学校で英語を勉強しており、興味深げにリーフレットをご覧に。学校での英語活動の一端を紹介してくれ、きれいな発音で「I like cats.」と話されました。
外国人にお寺を紹介する際に活躍されそうです。
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