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あかつき太郎の町家日記

金沢町家ゲストハウス あかつき屋をめぐる出来事や思い、人とのふれあいなどをつづるブログ。街角の話題や四季折々の風情も紹介していきます。

あかつき屋のホームページはこちらです。

古い写真前に学芸員と往時想像

およそ90年の歴史をもつ国登録有形文化財のあかつき屋。ここは、建物が古いだけでなく、遺された備品や調度類についても注目すべきものがあります。前の家主さんは、そんな逸品について、建物とともに私どもに託されたので、私たちはそれらを大切に使わせてもらったり、保管もしています。

その中で、モノクロの古い写真の数々があります。これらを倉庫にしまっていたのですが、この度その中を整理した際、とても貴重なものと思えたので、先日、県歴史博物館(歴博)に持っていき、学芸員の方々に鑑定をお願いしました。
セピア色に変色した写真には、大正時代のものではないかと思われるものもあり、学芸員さんと往時に思いをはせました。

(軍人さんらが整列した古い写真)
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古い写真は10点ほどあり、テーブルの上に並べて見てもらいました。その中の一つに軍服姿の男性が幾列かになって整列しているものがあります。写真の隅には、兼六園のそばで撮られたものとの記載があります。

学芸員さんはこれは金沢を拠点とした第9師団第7連隊の集合写真とした上で「大正末期から昭和初期にかけての写真じゃないか」と事もなげに話されました。というのは、軍服の色がまちまちになっているからです。

写真は白黒ですが、色が濃いのが実際は紺色で、薄めのものがカーキ色と学芸員さんは推測されました。
「紺色の制服は日露戦争が終わる頃まで使われ、カーキ色のものは大正末から昭和初期にかけて(兵隊さんが)着用したから」と写真の年代推定の根拠をおっしゃいました。

(歴博で古い写真の数々を見てもらいました)
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その写真の中に、民間人らしき人も多数映っています。これについては「当時、地元で徴兵業務に尽力した地域の世話役さんとも考えられる」と想像されました。「その労に感謝する意味での記念写真的なものではないか」と学芸員さんは話されました。
その人たちの表情を見ると、厳粛な中にも、誇らしげにも見えます。

一方で、当時の地元金沢(?)の産業事情が垣間見える写真もありました。織物工場の内部が写され、女工さんたちが大勢働いています。繊維産業は戦前から戦後のかなりの期間まで、石川の基幹産業でしたから、そんな写真があっても何ら不思議ではありません。

そして、その工場を開設するに当たっての建物の上棟式(建ち前)や完成したと考えられる写真も残っていました。また、記念写真や、何人かの人物の写真もあり、学芸員さんは「この人とこの人は同一人物だ」と顔の様子から判断されました。

これだけの歴史資料からは、5W1Hを特定するには遠く及ばず、また歴博さんにおいても、その史料を今必要ということもないとのことで、これらを持ち帰った次第です。

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12年目に 感謝と新たな一歩へ

明けましておめでとうございます。令和4年の幕開け。今年もよろしくお願いします。

あかつき屋は創業12年目に入りました。早いような、短いような。様々な環境の変化がありましたが、私どもが、健康に新たな一歩を踏み出させたこと、慶びつつ、お客様をはじめ、関係の方々に感謝申し上げたいと思います。

(新年を迎えたあかつき屋)
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年末には、私どもの友人の華道教師・角尾宏子さん(金沢市)に、新春を寿ぐ生け花を生けてもらいました。
角尾さんは上がりの間に、えだ若松を中心に、千両、ビワの葉、柳、葉ぼたん、水仙、ツゲ、アテ、ラナンキュラスの9種類の花材を配した草花を生けて下さいました。「立て花」という様式だそうです。清新さと華やかさを備えたもので、お部屋は正月ムードに満ちています。

(上がりの間に飾られた生け花と寅の絵皿)
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(玄関には万年青)
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玄関には、万年青(おもと)を整えて下さいました。立て花と違って、地味な印象がありますが、万年青にあやかって着実に歩むようにと、諭してるようでもあります。

そして、上がりの間には、これも恒例となった現代美術家・中村元風さん(加賀市)の手による今年の干支の寅を描いた飾り皿を置かせてもらいました。
「寅」は魔除け、厄除けの象徴とされ、安息の地である竹林も描写されています。

中村さんは、新たな理念と技術の創造を通じて、陶芸家の域にとどまらない新しいアーティスト像を目指しておられますが、一方で、大衆のニーズに応える作品の制作もおろそかにされていません。その幅広さが、中村さんの持ち味と言えましょうか。

角尾さん、中村さん、今年もありがとうございました。

(初詣した椿原神社)
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元日の午後は、地元の氏神様である椿原神社へ初詣。この日は、前日とはうって変わって、穏やかな天気。雪で白くなった参道を足元に気をつけながら拝殿まで行き、参拝しました。

その後、届いた年賀状に目を通しました。お客様からの賀状では、いまだ終息しないコロナ禍の宿泊業を心配して下さる方が少なくなく、ありがたいことと感謝しています。

「コロナ」は終息していませんが、活路はあると信じ、今年は新たなものを打ち出そうと、年頭に当たって計を立てたことでした。
皆様にとっても、新年が幸多いことをお祈り申し上げます。

水回りリニューアル 気持ちもすっきり

6月から工事を進めていたあかつき屋の水回りゾーンの工事がこの度、完了しました。シャワールームや洗面所、トイレなどが最新の設備を備えて真新しく。お客様に喜んで頂いているのはもちろんですが、こちらも見ているだけで気持ちもすっきりします。

2011年にオープンした、あかつき屋の10周年事業の一環の改修。コロナ禍ではありますが、必要な投資と考え、建築設計士さん、工務店さんと協働で整備を進めました。国登録有形文化財の建築物ということもあって金沢市の支援も頂けることは、幸運でした。

(最新の設備を備えたシャワールーム)
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今回の整備では、浴室をシャワー専用ルームとして最新の設備を導入したのをはじめ、洗面所の増設、トイレの改修などを行いました。
シャワールーム専用とした浴室は、これまで使われていなかった浴槽があった場所で、ここを拡充してシャワールーム専用としました。天井は高く、広々。シャワーは頭上からと管の横から温水が噴き出し、温度調節もできるものになりました。その隣に新たに更衣室を兼ねた洗面所を新設しました。

(新設した浴室隣の更衣室兼洗面所)
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(リニューアルした洗面所)
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従来の洗面所も、最新の機器を導入して、洗練された仕様になりました。

(トイレも最新式に)
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また二つあるうちの一つの水洗トイレもウオシュレット式にしました。

水回りスペースと行き来する渡り廊下も壁や天井板を更新しました。木質の板張りと漆喰の白壁をベースに、全体的にレトロ感の漂う和のテイストになっています。

昭和初期のあかつき屋の建物。でもお客様は「落ち着いた雰囲気は残しながらも、水回りは令和の設備ですね」と笑顔で感想を話されています。

どうぞ皆様、新たな佇まいのここあかつき屋へぜひお越し下さいませ。心からお待ちしています。

花々に彩られ、初夏楽しむ

6月も半ばとなりましたが、北陸・金沢は梅雨入りはまだ。夏のまぶしい日差しを感じる日が増えましたが、蒸し暑さはなく、比較的しのぎやすい。あかつき屋では、西から格子戸の合間を通って吹き込む風もあり、中はけっこう快適です。

今、ここは花に彩られる季節。お庭のサツキ、玄関付近のダイアンサスやルピナス等々。これらの花は、木質の町家によく合い、建物を一段と引き立てます。

ただ、今は、水回りの工事を行っているので、あかつき屋は閉店中ゆえ、お客様の目にふれることはありません。残念ではありますが、リノベーションした後、あかつき屋は一層美しく、利便性が増すと思うので、それもいっときのことと受け入れています。日々、粛々と過ごしています。

(満開となったサツキ)
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(縁側からお庭を望む)
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お庭は、このあかつき屋において、重要エリア。縁側からの風景は、この上ないもので、寒い冬の時季を除いて、お客様には縁側からの眺めを楽しんで頂いています。そのため、水やりや草取りは欠かさず、年に数回庭師さんに入ってもらい、樹木の剪定をしてもらっています。

苔は次第にその面積と厚さを増し、お庭全体に広がっているその様は、毎日見ている自分でも感銘を受けるほど。その中で今は、ツツジに続いてサツキの花が見頃を迎えました。赤や白の花が庭に華やかさを与えています。
大きな葉が特徴のギボウシも茎を伸ばしています。つぼみが膨らんできており、あと一週間ほどで可憐な白い花をつけそうです。

(華やかなダイアンサス)
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(ルピナスなどの寄せ植え)
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家の前のダイアンサスはナデシコの仲間。多年草で先の大雪を乗り越え、一斉に赤い花を咲かせました。前を通る近所の人の目を楽しませているようです。
     
      水回りの改修工事進む
日中、工務店さんや水道屋、電気屋さんなどの工事関係者が出入りしているので、その進捗を見ながら、その方たちと言葉を交わしています。
本格的な夏の観光シーズンを前に、進められる改修。ひと月余り後、リノベされた町家で過ごされるお客様の笑顔を思い描く日々です。

板塀を修復 庭園美高まる

築90年ほどになる、国登録有形文化財のこの金沢町家のあかつき屋。伝統的な木造建築なので、歳月や風雪がもたらす変化は、鉄筋コンクリート造りの建築物より顕著と言えると思います。それは、独特の風合いをつくる一方で、避けて通れない素材の劣化も宿命づけます。ここで宿泊業を営むということは、そんな動きにも日々目を凝らすことにもなります。

この度、お庭の板塀を修復しました。設置後10年余りが経過したこともあるのですが、今冬の大雪で塀の上部が破損したからです。ここ専属の庭師さんに修繕を依頼。ほぼ一日の作業で板塀は見違えるように美しくなりました。
ゴールデンウイーク時には、お客様に、さらに格調が増したお庭を楽しんで頂けることと思います。

(修復が完了したお庭の板塀)
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この板塀は、お隣のお庭との境をつくるもので、あかつき屋の開業に当たって、造園に造詣のある私の友人によって設計、施工してもらいました。手作りの塀で、趣を出すために、上部に細い竹棒を並べた仕切りを施しました。その竹枝は、ホームセンターで買った小さな竹ぼうきをばらして、私も一緒になって骨組みに差し込んで仕上げました。

板塀は今回初めて本格的な修復に着手しました。何といっても、先の一月の大雪が響きました。添え木が破損し、差し込んであった竹棒の落下も目につくようになったからです。

(風合いを出すためにガスバーナーで板塀を焦がす)
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(上部に竹棒を並べ趣深く)
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この度の修復では、庭師さんたちは、板塀を取り外した後、それにガスバーナーを吹き付けて焼き、黒っぽくしました。破損した添え木を取り替えるとともに、上部には、新たな竹棒を差し込みました。
丁寧な作業で、修繕が終わったお庭は、さらに磨きがかかったように、美しくなりました。

そばのツツジは、花のつぼみをつけ、様々な木々は、新芽を伸ばしてきています。和風美の中に、清新な息吹が放たれています。ゴールデンウイークを控え、お客様をお迎えする準備は整いました。