9月に入っても、真夏のような暑さが続く日々。そんな中で、涼風をそよがせ、あかつき屋を出発されたお客様がいらっしゃいました。ポーランドご出身の女性Luizaさんで、ここで一泊されました。
この方は現在、京都に住んでいらっしゃいますが、金沢にご友人がいらっしゃり、久しぶりに会いに来られたのです。
一泊後の朝、女性は、趣味のウクレレを談話室(コミュニティルーム)で鳴らされました。南国ムード漂う、軽やかなメロディー。一服の清涼剤となりました。
(ウクレレを奏でて下さったお客様)

金沢市内で小イベントがあり、女性はその会でウクレレを演奏されたそうです。きっと会を和やかなものにしたことでしょう。
(ポーランドの工芸品のコースター)

(女性がお礼にと下さいました)

宿泊のお礼にと、素敵なものを下さいました。ポーランド中部の小都市・Łowicz(ウォヴィチ)の工芸品のコースターです。表面には、カラフルな花が配されており、いかにも東欧というような雰囲気が漂います。
ポーランドの人、そして文化との出会い。この僥倖に感謝しながら、一日一日を刻んでいきます。
Luizaさん、ありがとうございました。また来て下さいね。
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幸いなことに国登録有形文化財に指定されている、この金沢町家あかつき屋を通じて、様々な分野の方とご縁を結ぶことがあります。その中で特に多いのが、建築関係の方々です。あかつき屋ならではと言えるでしょうか。
この度お付き合いのきっかけを頂いたのは、京都に本部事務所がある、古材文化の会の方々です。この会のメンバーさんたちのお泊まりを通じて、私にとっても木質文化が根付くこの金沢の街への理解が深まりました。
(お泊まりになった古材文化の会の方々)

古材文化の会は、古材の利活用や古建築の保存・再生の推進、木造建築技能の継承などの活動を展開されています。
今回お泊まりになったのは、関西在住のメンバーのほかに、神奈川県内の方もいらっしゃいました。
工務店の経営者や企画会社などを営む方々です。
お泊まりの夜は、ざっくばらんに懇談。私の方からは、ふだんから行っている地域とお客様をつなぐ取り組みのほか、近隣の町家の動向についても紹介させてもらいました。
(通りに点在する町家=横山町、材木町界隈)


翌朝は、お客様を町家のパン屋・森長さんまで歩いてご案内。
あかつき屋近くの賢坂辻交差点から横山町、材木町、橋場町を通って浅野川大橋たもとに至る通りは、今も町家が点在しております。その沿道には、八百屋さんや豆腐屋さん、床屋さんなどのほか、畳屋さん、建具屋さん、設備工事屋さんなど、職人さんの住居兼店舗もあり、往時この界隈では、暮らしに困らないだけのお店がそろっていたことがうかがえます。
ただ、少子高齢化に伴う人口減少の波からは免れず、新築住宅がある一方で、ところどころに空き家跡の更地や駐車場が目に入るのも事実です。
お客様は、そうした変化も見逃さず、旧市街特有の問題の解決策に思いをめぐらすふうでもありました。
私も町家宿を営む一方で、この界隈の生活者でもありますので、時に断腸の思いで良質な景観の喪失を目の当たりにしてきました。
北陸新幹線の開業は間違いなく城下町金沢のエポックをもたらしましたが、一方で長年横たわる課題があるのも地域住民らが認めるところです。
古材文化の会の方々との交流は楽しいものでしたが、そうした問題をも再認識する機会ともなりました。
皆様ご宿泊ありがとうございました。
フランス人ご夫妻との会話から、思いがけず和やかで笑顔になるひとときが生まれました。それは、あかつき屋のコミュニティルームに置いてある折り紙の作品群がきっかけです。
それらの折り紙作品は、お泊まりになったお客様が手作りされたものですが、その奥さんはそれを見て「私折り紙が趣味なんです」とおっしゃいました。そこから一気に話が広がりました。
(新婚旅行でお泊まりにフランス人ご夫妻)

(奥様は折り紙で蝶を手作り)

こちらのご夫妻は二年前にご結婚され、この度の来日は、ハネムーンでした。金沢では、ここにご一泊されました。
奥さんは、テレビ台の中にある、鶴や手まりなどのかわいらしい折り紙をご覧になって笑みを見せ、ご自身が折り紙に親しんでいることを話されました。
あかつき屋では、折り紙を常備しているので、早速彼女に折り紙を手渡し、作ってもらいました。彼女は、楽し気に手際よく、蝶を折り上げました。素敵な出来栄えです。
(結婚式で披露された折り紙で飾られた樹木=ご提供写真)

ここからが、出色でした。実は、彼女は二年前に挙げた結婚式の会場に数多くの折り紙作品を飾ったというのでした。その一つは、鶴が木の枝に鈴なりになったもの。一つ一つ丁寧に折った鶴を枝に葉っぱのように付けていったのでした。
おめでたく、さわやかな雰囲気が漂うデコレーションで、式の参列者から大好評だったようです。
日本発の折り紙が海を渡り、フランスの華燭の典を彩ったのです。
コロナ禍の憂いを吹き飛ばす演出。こちらの気持ちも明るくなりました。
この度のご宿泊ありがとうございました。お二人の末永いお幸せをお祈りいたします。
“コロナ”へのスタンスが変わる中で(With コロナとも呼ばれます)、あかつき屋もコロナ前の状態へと次第に移行しつつあります。海の向こうからのお客様が再びお泊まりになるようになってきました。
この度、あかつき屋にお越しになったのは、アメリカ・シアトルに在住の母アユミさんと息子さん、そしてアユミさんのお父様の3人。アユミさんは石川県出身の日本人で、母子はコロナ禍があって、3年半ぶりの帰国となりました。この町家で三世代水入らずの和やかな時間を過ごされました。
(金沢町家のステイを楽しまれたご一家=写真掲載了解済)

アユミさんは金沢町家に以前から興味をもっておられ、アメリカ人の夫との間で生まれた息子Timさん(愛称)にも伝統的な日本家屋を知ってもらいたくて、ここを選ばれたそうです。
国登録有形文化財のこの町家の雰囲気を堪能されたのはもとよりですが、一泊二日の金沢ステイを通じて、金沢の人々の日常にもふれられました。
(金箔ソフトを味わう息子さん=ご提供写真)

(居酒屋で祖父とお孫さんがビールで乾杯=同)

観光の後、夜は浅野川沿いの銭湯を体験。きれいなお風呂、いいお湯に満足されました。その後は近くの居酒屋でご夕食。ブリカマや地酒など、ここならではの食を賞味されました。
お父様は「(成人になった)孫と飲むのは、さいこーや」と笑顔を見せられたそうです。
アユミさんは、銭湯から浅野川を渡ってすぐのこの居酒屋までのルートを「ゴールデンコースですね」と高評価されました。
皆様、この度のご宿泊ありがとうございました。お父様はいつまでもお元気で、そしてアユミさんとTimさんは健康に留意されご活躍下さい。また、お越し下さいませ。
全国各地から城下町金沢、そしてこの金沢町家のあかつき屋にお越しになるお客様たち。いつもそのご縁に感謝し、お客様のお世話をさせて頂いている時間は、この上なく貴重なものであると感じています。一期一会という言葉では終わらない、先々への希望や期待を抱くことがあります。
今回のお客様もそんな思いをもつこととなりました。若い女性お二人。現在、東京にお住まいですが、出身は東北・青森、秋田県の日本海側を走る五能線の沿線。高校時代頃までそこで暮らしておられ、お宿での滞在中では、故郷のことをうかがう機会を頂きました。
この度の金沢の旅では、お二人は旧交を温めながら、仲良く、紅葉に彩られた観光スポットを訪ね歩かれました。
(一日目、金沢駅に到着されたお二人
=お客様ご提供写真、以下同)

お二人は、お一人のIさんが青森県深浦町、もう一人のSさんが秋田県能代市のご出身です。いずれも五能線の沿線近くにご実家があります。
特にIさんは能代市内の高校へは、五能線に乗って片道約1時間半かけて通ったそうで、「列車内は、いい勉強の場所になりました」(笑)とのこと。
(五能線沿線の鹿の浦から日本海を望む)

もちろん、車窓から眺める日本海の風景は素晴らしく、「夕焼けは感動的な美しさ」とお二人は口をそろえられます。途中の秋田県八峰町の「鹿の浦(かのうら)」からも美しい夕日が見ることができるのですが、Sさんは「そこにあるイカ焼き屋さんが美味しいんですよ♪」。
(金沢城内で)

(鈴木大拙館で)

東京から夜行バスで来て、夜行バスで帰る二泊三日の金沢旅。兼六園、金沢城、ひがし茶屋街等々、主だったところはすべて回り、最終日は、太陽が丘にあるメタセコイヤの並木道にまで足を延ばされました。
お食事では、自由軒さんで洋食、あまつぼさんで金沢おでんを堪能し、森長さんのおいしいパンにも魅せられました。
(お客様が金沢の思い出をつづられたお宿ノート)

この度のご宿泊ありがとうございました。これから寒くなりますが、東京では、健康に気をつけ、元気に頑張って下さい。またお越しいただける日を楽しみにしています。
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