あかつき太郎の町家日記

金沢町家ゲストハウス あかつき屋をめぐる出来事や思い、人とのふれあいなどをつづるブログ。街角の話題や四季折々の風情も紹介していきます。

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新商品次々 金箔散らしたおぼろ月

小なりと言えどもお宿業を営む日々の中で、近隣の商店から刺激を受けることが多々あります。今回感心したのは、兼六園下交差点そばで和菓子店を開いておられる中島菓子店さんです。

お店は兼六園、金沢城のすぐそばという好立地なのですが、それに安住せず、新商品を絶えず開発しておられます。今日お訪ねした際、お目にかかったのは、金箔を散らした、おぼろ月「一(いち)」です。

(金箔を散らしたおぼろ月の「一」)
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おぼろ月は、中島菓子店さんの代名詞と言ってもいい和菓子。そのお菓子の表面に金沢の伝統工芸の一つ金箔を散らしました。それにより、お菓子に気品と高級感が生まれました。
その素敵なお菓子とともに、若いご主人の飽くなき商品開発意欲にも、大いに刺激を受けました。

中島菓子店さんは明治創業の老舗ですが、新商品の開発に余念がないのには、いつも敬服しています。端午の節句の時季には、鯉のぼりの形をした鯉のぼり最中を製造するなど、タイムリーな商品を世に出す一方、数年前には地元の高校とタイアップしてオリジナルなお菓子も製造されました。

(新商品を紹介する若女将さん)
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今回の金箔を散らした和菓子は、先日の金沢百万石まつりに合わせて作ったものだそう。生地に竹炭の粉末を練りこんで漆黒の夜空をイメージ。金箔が散らされた丸い形は、黄金のおぼろ月だそうです。

北陸新幹線開通で金沢は観光客は増えているのですが、そこにさらに新商品を打って出すアグレッシブな姿勢。お菓子作りを楽しむ店主のハートとともに、見習いたいところです。

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街なかで「羊」と出会う -新春点描-

金沢は雪が降ったり、やんだり。寒い日が続きます。そんな中で心が温まるシーンがあります。

先日、あかつき屋のお客様と材木町のパン屋森長さんを訪ねた時のこと。商品の陳列棚を眺めていたら、見慣れないパンが。そのパンの下には、「ひつじパン」の商品札がありました。今年の干支にちなんだ新商品でした。
思わず買ってしまいました。

(棚に並んだ「ひつじのパン」)
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このパンについて話題にすると、お店の女将さんは笑いながら「中にカスタードクリームが入っているんですよ」とおっしゃいました。
早速あかつき屋に戻って頂きました。カスタードクリームの心地よい甘さが口内に広がります。そのクリームもさることながら、その回りのパンの生地がしっかりしたおいしさであることが、印象的でした。

(新年の飾り付けがされた森長さんの玄関)
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森長さんは、創業が大正時代にさかのぼり、パン屋さんとしては金沢でも老舗です。100年余りの古い歴史をもちながら、新商品への挑戦は怠りません。お店の飾りつけも、いつも気を配っておられ、いつ訪れてもフレッシュな空気が漂います。

お正月ムードの中、そんなお店を訪れても、心が新たになります。

饅頭屋さんの春仕事、よもぎ保存へ

お饅頭(まんじゅう)屋さんの春ならではのお仕事を見聞する機会を得ました。あかつき屋の近所の山本観音堂(以下「観音堂」)さんで、お饅頭の材料に使うよもぎの保存処理作業が行われていたのです。

よもぎが入っている草餅などは、その自然の風味が好きで折々に食べる好物の品。その生のよもぎを長期にわたって保存する作業をお饅頭屋さんで目の前で見学させてもらい、草餅に対する認識が大きく変わりました。これから頂くときは、きっと今日の作業を思い出しながら、口にすることでしょう。

(山本観音堂さんが確保した白峰のよもぎ)
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観音堂さんでは、よもぎは草餅のほか、草あんころ餅や花見団子、柏餅などに使われ、お饅頭づくりには欠かせない材料です。

毎年山の草木が勢いを増すこの時期、金沢市内の里山に出かけたり、時には親戚筋の方から頂いたりしながら、一年分のよもぎを確保しているそうです。
今年はこの度親戚筋から、白山ろく・白峰地区の山で自生していたよもぎを4㌔分ほど頂いたそうです。

今日はそのよもぎを長期保存するため、ゆでる作業が観音堂さんの作業場で行われました。
まずよもぎ以外の草や、よもぎの太い茎を取り除く下処理をした後、お湯が煮えた釜によもぎを入れます。

(雑草などを取り除いたよもぎ)
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(釜でゆでます)
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(灰汁を抜くため、重曹を入れます)
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(ゆでた後すぐ水に浸します)
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よもぎに十分お湯がしみ込んだ後、今度は重曹を入れます。ご主人は「重曹を入れることによって、よもぎの灰汁(あく)が抜けるんやは。これがあると、饅頭に苦味が出てしまう。それに、(重曹を入れれば)よもぎも色鮮やかになるし」。
重曹を加えることがポイントのようです。

ゆで上がったよもぎは、すぐに冷たい水で浸します。「急激に水に浸さないとだめ。熱いままにしておくと、よもぎが茶色くなってしまう」。
これも長年の経験に裏打ちされたコツのようです。

よもぎは一晩水に漬けておいた後、手でよく絞って、おにぎりよりやや大きめのサイズにして冷凍保存する流れです。
そして、饅頭づくりで必要な時に冷蔵庫から取り出し、解凍して使うのだそうです。

(店頭に並ぶ草餅・手前と草あんころ餅)
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店頭に並んでいる草餅を改めて見ると、そんなご苦労や苦心が詰まっているのかと思うと、これまでと違って見えました。
何より、野山で元気に育ったよもぎを食する訳だから、身体もヘルシーになるのは間違いなしとの思いを強くしました。

鏡餅、松の内終わり“第二の人生”

お正月には欠かせない鏡餅。それが松の内が終わり、いったんその役目を終えると、お餅屋さんによって新たな命がふきこまれ、“第二の人生”とも言える役割をもつことを知りました。

あかつき屋の近所のお餅屋「山本観音堂」(以下・観音堂)さんでは、お客さんに販売した鏡餅を松の内が終わった後、引き取り、それをつき直すなどして再びお餅にして、そのお客さんに届けておられます。
お客さんにすれば、鏡餅を正月のお飾りにした後、今度は紅白のおまんじゅうとして味わうという、二度の楽しみを味わうことになるのです。

(観音堂のご主人からお話をうかがうあかつき屋のお客様)
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鏡餅を扱う、お餅屋さんのそんな作業の工程をあかつき屋にお泊りになったお客様と一緒に、観音堂さんで見せて頂きました。外は雪混じりの空模様でしたが、中の作業場はご主人と女将さんの気持ちのこもった仕事ぶりで熱気に満ちていました。

鏡餅はお正月にはなくてはならないものですが、最近ではお正月が終わると、その処理に苦慮するところが少なくないようです。
これまで鏡餅はお雑煮などに使われていましたが、それが煩雑であるとして、鏡餅自体がビニールに砂糖が入ったものに代わったり、中にはガラス製に代用されたりしているようです。

しかし、やはり本来のお餅で作った鏡餅が主流であることには変わりなく、観音堂さんでは、近隣を中心にそれを作って販売されています。
ただ、上述したように、お正月が終わってからの鏡餅の取り扱いがどこもやっかいのようで、観音堂さんでは、そうしたところから鏡餅を引き取り、安価で食用のお餅につき直すサービスをしておられます。

(観音堂さんに持ち込まれた鏡餅=上、表面にカビが見える鏡餅=下)
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今年も仕事始めが終わった頃から、観音堂さんの近所の銀行や葬祭会社、飲食店などから鏡餅が、観音堂さんに相次いで持ち込まれました。
この鏡餅、硬い上に、ところどころカビが生えているので、まずそれを取り除く作業から始めることになります。観音堂さんは「カビが生えているのは、全然悪いことじゃないんです。防腐剤などの添加物がない証拠。取ればいいだけなんですから」とおっしゃいます。

(包丁でカビを切り落とします=上、餅を小さく切り、水に浸し柔らかくします=下)
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鏡餅はまず水に漬けて餅を柔らかくした後乾かし、包丁でカビの部分を切り落とします。その後、餅を切って5㌢前後の大きさにし、再び水に浸します。
柔らかくなったお餅は今度は、せいろで蒸し、蒸しあがったところで次は、餅つき機でもちをつきます。
つき終わったら、すぐに黒あんをくるみ、紅白のおまんじゅうに仕上げます。

(切ったもちは再びせいろで蒸します=上、蒸した後は機械でつきます=下)
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(つき上がったもちには、手際良くあんをくるみます)
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あかつき屋のお客様とともに観音堂さんに伺った時は、もちのカビを取り除き、適当な大きさに裁断して、水に浸すところでした。翌日は、これらを蒸した後、もちつき機でもちをつき、紅白のおまんじゅうに完成することになっており、それに向けて、慌しく立ち働いておられました。

でも、ご主人と女将さんはその合い間に、いろいろとお話をして下さいました。
「昔は、金沢市内に100軒ほど餅屋があったけど、今は60軒ほどに減ってしまった。(経営者が)年をとったとか、機械が傷んだとかという理由で、辞めていったんやは」とご主人。

そして何より、日常生活において以前ほどお餅を用いなくなったのが最大の理由とされました。
「前は、やれお祭りや成人式やと言うて、隣近所にお餅を配ったもんやけど。結婚式なら必ずお餅を作ったけど、今はそんなお金があったら、若い人は新婚旅行のお金に使うんやろね」。
ご主人は笑いながらおっしゃいましたが、ちょっぴり寂しそうにも見えました。
「わしらも体が続く限りは、しっかりやっていきたい」と、ご自身に言い聞かすようにおっしゃいました。

東京からお越しになった若いお二人は、思いがけないお餅屋さんの仕事場見学に興味津々の表情。いくつかご主人に質問をされる一方、年輪が刻まれたご主人の大きな手を見せて頂きました。

鏡餅が観音堂さんに持ち込まれて、一週間ほどで今度は紅白のおまんじゅうに生まれ変わりました。つきたてで、まだ温かく、柔らかいお餅は、観音堂さんの近辺のお店や事業所に再び届きます。従業員の方々は、出来立てのお餅に舌鼓を打ち、気持ちを新たに新年の仕事に臨まれていることでしょう。

店主と従業員 息が合ったうどん屋さん

寒い冬は、あったかいものが食べたくなる季節。そんな時、足が向かうのは、田井町交差点そばのうどん屋「あじいちばん」さんです。
メニューが豊富。お手ごろ価格。そして店内がきれい。それで実は冬に限らず、一年をとおして通っています。
この度、ご主人らにお話をうかがったら、そんなお店の魅力は、ご主人と従業員さんらのチームワークによるものだと分かりました。

(「あじいちばん」さんのご主人と従業員の方々)
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あじいちばんさんは、私のお昼ごはんには欠かせないお店。うどんが好きな上に、セットでミニ丼が注文できるからです。
うどんだけでは物足りない、かと言って、丼を一人前頼むと、完全なオーバーカロリーになります。

そんな気持ちを察してか、準備されているのが、ミニ丼。このお店では、ミニ丼としてえび丼、豚丼、味噌かつ丼など5品があり、いずれも270円。

(注文したいなたまあんかけうどんとねぎトロ丼のセット)
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私はこの日、いなたまあんかけうどん(540円)に、ミニ丼としてねぎトロ丼を注文。満腹感の上に栄養バランスも整っている気がして、大いに満足しました。

このお店は開店して30年近くたつそうですが、女性二人の従業員さんは、オープン間もなくから今までずっと勤めておられるそうです。
その方々は、とても落ち着き、お店にしっくりとなじんでおられるので、私は今の今まで、どちらかが女将さんだと思っていました。

ご主人とその従業員さんらの呼吸はばっちりで、これまで協力して数多くのメニューを開発してこられました。その日食べた、いなたまあんかけうどんは、おいなりさんと溶き玉子がのせられた、あんかけうどん。試行錯誤の結果、店のまかない食から商品化したものだそうです。

このほか趣向の変わったオリジナルメニューでは、「ちーおむうどん」があります。チーズの入ったオムレツがのったおうどんで、人気の品だそう。

ご主人からさらに興味深いこともうかがいました。二人のお兄さんは、金沢と野々市で、うどん店を開いているとのこと。「兄とはライバルなんですよ」とご主人は笑って話されました。

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