(下の写真は彦根城)

宿修業でお世話になったのは、彦根市の花しょうぶ通りにある、「とばや旅館」さん。明治13年創業の町家旅館で、長年商人宿として営んでこられています。私が、とばやさんにお世話になろうと思い立ったのは、町家旅館ということもあったけど、食事の充実度のほか、お宿の方々(つまり経営されるご家族)からどことなく感じられる安定感や落ち着きに、何か惹かれるものがあったから。で、今帰ってきて思うのは、その直感は間違っていなかった、ということ。ときに時代の激流、風雪にさらされながらも、今日元気にご商売されているのは、それだけのことはあるんです。
(下の写真は花しょうぶ通り。町家が数多くあります)

滞在中、私は客室や廊下、お風呂などのお掃除や朝夕の食事の配膳、片付け、寝具の据えつけなどをさせて頂きました。細かなことはここではふれませんが、やはりポイントを押さえた、要領の良いやり方はあるのだなと実感した次第。
(下の写真は老舗の「とばや旅館」さん)

(とばや旅館さんのURL)
http://www.tobaya.jp/
そして何より、お宿の一日の流れを肌で感じられたこと。朝食の後、午前中は掃除や食材などの仕入れに費やされ、午後は4時まで、オフタイムに。で、4時頃、お客さんが来られると、ご主人や女将さんは、急に表情に緊張感を漂わせ、きびきびと動き出すんです。俗に言う「スイッチが入る」という、それですね。その切り替え、メリハリのある動きに、こちらも身が引き締まりました。こんなシーンは、現場にいないと分かりません。
いろいろと思いをめぐらすこともありました。これまでお客として利用していたお部屋が、今回は数日間ではあるけれど、滞在中の居場所に。「住み込みで働く従業員の気分だな」。立場が変わると、心境も一変するんですね。「昔、小学校を出てすぐに奉公に出た少年は、どう一日、ひと月、一年を過ごしたんだろう」。そんなことも考えたりしました。
とにかく全く非日常の世界でした。連日の猛暑で、いささかボーっとしたところがあっただけに、心身ともに覚醒させる効果もありました。
本日記は次回、オフタイムに足を運んだ彦根市内の穴場的スポットを記載します。
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